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後輩へ

今回の部員日記は、法学部4年の塚越日和が担当させていただきます。

先日行われた秋リーグへの熱いご声援ありがとうございました。今大会をもって引退を迎えることができました。これまで支えてくださったOBOGの方々や先輩、後輩、家族、友人等、日頃から応援してくださった方々には、感謝してもしきれません。

今回は、小学校から続けてきた自分のテニス人生に区切りをつけるためにも、テニス人生を振り返りたいと思います。伝えたいことを思うままに書いたので、支離滅裂で真の意味で長く拙い文章になってしまいましたが、お許しください。

1.大学2、3年


部活をする原動力は何ですか?
どんな目的をもって練習していますか?

こう問われたときに、すぐに答えられたりいくつも出てきたりする人は、日頃からは高いモチベーションをもって部活に臨めていると思いますが、大学2.3年の私は間違いなく言葉に詰まっています。

客観的に振り返ってみても、大学2.3年で私の成長は微々たるものでした。大学2年で途中入部してからの約2年は、入部までの3年のブランクを高校レベルに戻した程度、且つ弱気なプレーになっていました。後輩と組み、大会や練習試合等の試合で0勝100敗くらいでした。笑い話ではなく、ここまでくると「勝ち」を模索することもなくなり、負け癖だけがついていき、「自分はなんのためにテニスをしているのだろう」と心の底から思っていました。体育会である以上「勝利」という目標は当然大前提としてあるものですが、そのゴールも見えず曖昧なまま、「部員としゃべりに行くか」「4人しかいない部活を存続させる」程度にしか思えませんでした。
ミーティングで定量目標を立てるときも「悔いのない試合をしたい」と主観的且つ曖昧なことを書き、先輩方から注意されました。ですが、「(関東1部リーグという)身の丈に合わない環境にいるから自分の位置がわからない」と、下手くそな自分を変えようとするのではなく、テニスをすること自体に不貞腐れていました。後になってみるとそんな舞台に臨める機会は限られていて、先輩たちが勝ち得てくれた場所で、試合に出れる喜びを感じるべきだったと後悔しています。

そんな風に部活がただこなす作業のようになっている時期、周囲からかけられた言葉でいくつか心に刺さったものがあります。練習中にOGさんから「練習何の目的でやってるの?」と尋ねられたこと。私の成長のしなさを見かねた先輩から「ひよりんだけ1年前からひとつもうまくなってないよ」と言われたこと。男子部の後輩から、「日和さんって何のために練習してるんですか?教えてもすぐ戻りますよね?向上心ありますか?時間の無駄じゃないですか?」と言われたこと。
実際にこれらの言葉をもらい、自分が目的を持たずに練習をこなしていること、現状維持は衰退でしかないことを思い知らされました。
また、人は簡単には変わらないと感じました。悔しい思いをして一時的に「強くなろう」「変わろう」と思っても、その時の熱い想いは持続せずに、寝て起きる度に薄れ、元の姿に戻っていきました。悔しさを悔しさのままにせずに、しっかりとその後の自分の糧にできていれば、現状はもっと良かったかもしれないと思いますが、このことに気付けたことも収穫です。
また、この頃、自分が後悔しない選択を取るために、退部という選択肢もよぎっていました。周囲に比べて何ひとつ成長していない自分、努力することさえ怠っている自分が悔しく不甲斐ないという想いはありました。ですが、自分がどうしたいのか、どうすればいいのかわからなく、ただなんとなく楽しかったテニスが、自分を苦しめる原因になっていました。
そんな中でもらったこれらの言葉は辛いもので、そんな辛辣な言葉をくれるのは少しでも期待してくれているからだと信じ、体育会を続けることの意味を探しました。「自分が一番認めたくないことを認めると、一気に成長できます」という言葉を耳にしたことがありますが、私の一番認めたくないことは、この「向上心が足りない」という点でした。この点をしっかり受け止め、「弱点の克服+強いところをさらに伸ばす」プラスアルファの成長を4年になってから真に求めるようになりました。「あの時向上心がないことに気づけたからこそ、今の自分があるんだ」と、このマイナスな現実に意味を持たせられるくらい練習しようと決心しました。

2.大学4年


そして、4年になってから、それまでの2年間0だった自主練の時間が生まれました。4年生になり部活にフルコミットする時間的余裕が生まれたことも大きいです。今まで適当に過ごしてきたんだから最後だけ良い思いできるわけない、と思いつつも、それまでの部に貢献できていない贖罪の意味も込めて、日吉に向かいました。
同期から、「最近めっちゃ練習してない?」と聞かれ、自分勝手で申し訳ないが最後は頑張りたいと言うと、「ピークエンドの法則ってあるじゃん、まだ間に合うよ」と言ってくれました。どうしようもない私への彼からの優しさだったと思います。終わり良ければ総てすべて良しなんて甘いことは思いませんが、あと良くできる点があるとしたら終わりしか残されていなかったので、引退まで頑張ろうと改めて思いました。
また、自身の内側からだけでなく、周囲からの影響も大きいものでした。バイトをしていない私にゆなが夏休みに毎日、「日和さん暇ですよね、テニスしましょ!」と誘ってくれたり、優子が春も秋も授業の合間を縫って「14時から打ってます」とテニスに誘ってくれたり、コーチ陣のいないインカレの個人戦でかほが「日和さん絶対守った方がいいです」、ゆなが「日和さん絶対出たほうがいいです」と根拠のない自信をもってコーチングしてくれたり、こういう、ある意味対等で後輩らしくない後輩ができたことが、部活を頑張るひとつの大きな理由になっていきました。ここまできて、歳下に影響されないと本気になれない自分自身を悔やみますが、自分を再び本気にさせてくれた後輩には感謝しかないです。
そして、自主練の時間が増えたくさん準備し、その準備にかけた時間が自信に繋がって、強気なプレーができるようになり、次に向かってさらなる向上心が生まれるという、そんな好循環を生み出せました。私は確かな量が確固たる自信に繋がってきたので、「量を積むしかない」という結論に至りました。

3.大学4年10月


「量を積むしかない」と言いましたが、私は「努力」という言葉が苦手です。小中高とペアに恵まれて、全国大会や関東大会、インターハイに2、3年で出たりして、周囲からは「もっている」等、運のせいにされることが多々ありました。ですが、私も中高ではナイターやランニングをしたり、授業中もずっとテニスのことを考えたり、今思えば譲れない目標があったから、無意識にテニスに時間を割いて、苦になることなく報われるための「努力」をしてきました。もちろん運にも準備は必要で、大学ではこの準備不足によって運を逃していました。
努力を知っているから、大学に入ってからは一日練習の後も毎日残って練習している男子部のように、努力を躊躇なくできる人に引け目を感じていました。また、現状では勝てまいと自分の可能性を閉ざしていたから、本気で向き合って努力が報われなかった時に苦しくなることを想像し、少しストッパーをかけていた部分がありました。そのため、引退までラストの1ヶ月の10月は、「練習しようかな、と少しでも迷ったらする」と心に決め、秋リーグの28.29日まで毎日日吉で練習しました。
そして秋季関東リーグの日を迎えました。結果は、自分としては悔いのない試合ができました。最後の試合が終わってから、ゆなが「ひよりさん成長してなくなんかないですよ?めちゃくちゃ強いですよ!」と言ってくれて、私の頑張っている部分しか知らないゆなに対する申し訳なさやら嬉しさやらで、なんだか泣かされました。
最後の1年に関しては悔いなく終われましたが、最後の最後で「やればできる」ということを知っただけに、「最初の二年無駄にしたな」「自分どこまでやれたのかな」という悔しさがどっと押し寄せてきました。

こんな感じで、私の大学でのソフトテニス人生は幕を閉じました。ここまで読んでくださった方は、なんて自分勝手なんだと引いているかもしれません。もう少し、お付き合いください。

4.OBOGの方々、同期、家族へ

OBOGの方々へ

土日だけでなく平日練習にもたくさん来てくれて「強いんだから、好きに動いて」と言って常に励ましてくれる林田監督。過程をしっかり評価してくれて、「これで結果出なかったら俺らが責任取るから」って言ってくれた村上さん。毎日仕事終わりにナイターに駆けつけて21時まで球出ししてくれて、「塚越はあとは精神力だけ」と信じてくれた開田さん。このようなOBOGの方々のおかげで、とても恵まれた環境でした。最後の大会では、OBOGの方々を「感動させたい」「泣かせたい」という想いで大会までの練習に臨みました。今後は、慶應義塾大学体育会ソフトテニス部の名を恥じないような社会人になりたいです。そして、OBOGの方々から受けた多大なる恩を、自分も後輩たちに回していきます。

同期へ

君たちが同期で良かったです。テキトーな話ばかりしていてあんまり深い話したことないなって思ってます。しっかり書くと長くなってしまいそうなので、卒業旅行とかまだまだ会う機会あると思うし思い出話がてらいっぱい話そう。

家族へ

小学校から高校まで日本中どこでも全試合に駆けつけてビデオ撮ってくれてたね。大学でプレーする自分は負けてばかりな上に大した努力もしてないし自信をもって見せられなかったから、応援に行きたいと言われても「まだ無観客だと思うよ」って嘘ついて断り続けてました。ごめん。でも、私が実家でログインした女子部のYouTubeで、全試合見てくれてたね。この間引退してから「勝ったからこの試合も見てね」と言ったら、「勝ったから見たいわけじゃないから」と言われたとき、私はこういう無償の愛に支えられて、ここまで競技を続けてこれたんだと実感しました。バイトもしないで仕送りだけで暮らして、最後まで、情けなくてごめんなさい。これからは少しずつにはなりますが、たくさん恩を返していきます。今までやりたいことは全部やらせてくれて、ありがとう。

5.後輩へ


部活をする原動力は何ですか?
どんな目的をもって練習していますか?

私は今まで、中学・高校・大学に入ったとき、それぞれの分岐点で、他の競技と迷いながらも惰性でテニスを選んできたところがあります。惰性で選んでしまったからこそ、目的を見つけようとしました。みんなも、「惰性でコートに来ているな」と感じたとき、自分がこの部でテニスをする意味を今一度振り返ってほしいです。

体育会は「所属しているだけで成長できる」と思っていた2、3年でした。ですが決してそんなことはなく、自分から意味を見出さないとそこに成長はありません。私は、長く無駄な時間を過ごしてしまいました。だからこそ、みんなには体育会での限られた時間を無駄にしてほしくないです。

私自身高校までは、「自分が勝ちたいから」という利己的な理由でテニスをしていました。大学2、3年ではその目的すら薄くなっていまた。ですが、4年になってからの部活の意味は大きく変わりました。
まず、部活だけではなくテニス自体を楽しいと思い、「好き」になれました。「好きは物の上手なれ」という言葉があります。そのとおりテニスを楽しいと思い好きになれば、心の内側からテニスに対する熱意が自然に生まれて没頭できました。
また、体育会でやる意味を見つけられました。自分自身の技術の向上、人間的成長、そしてなにより「これまでダメな自分を見捨てず支えてくれた周りに勝利で還元したい、勝ってみんなを感動させたい」という気持ちに変わりました。そんな風に、自分のためはもとよりチームのための努力を念頭に置くようになりました。支えてくれる周囲が原動力になると、辛い時やくじけそうなときに、自分のため以上の力が出るなと感じました。遅いです。本当に遅いですが、気づけてよかったです。
女子部のみんなは、強豪校とはいえない高校から体育会の右も左もわからずに入部してきてくれました。正直、今年みたいに新しく慣れない環境は適応するだけで自然に成長できると思います。この一年弱、みんながいっぱい努力してきたことを知っているから、現状の努力量や成長量に満足せずに、今以上に努力してもっと強くなったみんなを見たいです。

また、今後も組織面での壁があります。私は、「高校時代は部員がたくさんいたから切磋琢磨できたし成長できた」と思っていました。他にも、「自分が下手なのは周りのせい」「自分の方が上手いのに」「球出し下手くそで練習にならない」「周りに熱量がないせいで自分もなくなる」等、組織に対する不平不満は多かれ少なかれあると思います。ですが、組織はあなたのことを一番に考えていません。組織の目標・目的がそれぞれある中で、組織への不満ばかり考えて期待を持つより、今の自分にできることを考えてほしいです。

言葉で言うのは簡単ですが、実際に4年間常に部活に100%の力を注ぎ続けることは難しいと思います。たとえ目的を見失うことがあっても、私みたいに不貞腐れないで、卑しくて打算的な理由でもいいから体育会で続ける意味をプラスに考えて欲しいです。自分で考え抜いて環境を変えようと決めたなら、それはそれで一つの選択肢だと思います。周りが決めたことだと後悔してしまいますが、最終的に自分で決めたことならば、たとえ最適解でなかったとしても納得できると思います。
私自身は、退部したくなってもやりきってみて、間違いなくプラスでした。こうやって、偉そうにみんなに文章を届けられているのも、最後まで続けてきたからです。ですが、退部を考えたことがある人間なので、悩んだ時はお力になれると思います。いつでも相談してください。 

最後に、慶應ソフトテニス部での時間が有限であることを引退してから実感しています。
2年もの時間を無駄にした私から偉そうに言わせてもらうと、時間を無駄にしないでほしいです。
ソフトテニスを楽しんで、部活を楽しんでほしいです。
努力が報われないとか傷つくことを恐れないで、気が済むまで全力で駆け抜けてほしいです。

慶應のソフトテニス部に入ってこのチームで戦えて、心の底から幸せでした。よかったこともよくなかったことも含めて、すべて私の財産です。関わってくださった全ての方々、ありがとうございました。
こんなにテニスが楽しめたのは、今年が初めてです。



長く拙い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました

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