2018年 認定内科医試験(アレルギー)

備忘録。著作権に関わる問題文等は記載していません。

▼問題121

※アナフィラキシー

ステロイドの二相性防止緩和の効果は立証されてはいない。
作用機序には数時間かかるので発症初期の効果は期待できない。

▼問題122

※血管性浮腫

血管性浮腫はクインケ浮腫とも呼ばれる。
ブラジキニン誘導性血管性浮腫として、補体、キニン系、凝固・線溶系を抑制する【C1-INH(インヒビター)=インアクチベーター】の遺伝的又は後天的異常、C1-INH正常だが凝固XII因子、アンジオポエチンI、プラスミノーゲン遺伝子異常によるもの、IgE介在性あるいはIgE非介在性の肥満細胞の脱顆粒によるアレルギー性血管性浮腫、ACE阻害剤などによる薬剤性、好酸球性などの原因で生じ、それぞれ治療が異なる。
病態にアレルギーや補体、好酸球などが関与するため免疫内科で鑑別治療を行うこともある。

遺伝性血管性浮腫では幼少時は無症状か軽度であるが、10代ころから最初の症状が出始める。

皮膚深部の浮腫では、圧痕を伴わない境界の不明瞭な浮腫
顔面(眼瞼、口唇、舌)、四肢、外陰部
通常2-5日間で自然消失する。
熱感、痛み、かゆみは伴わない。
誘因として抜歯など外科的処置や外傷、暑さや寒さ、激しい運動、物理的刺激、感染症、情緒的ストレス、身体ストレス、月経など。
誘因不明のこともある。

分類

遺伝性血管性浮腫
 先天性のC1-INH産生異常や機能異常。

後天性血管性浮腫
 C1-INHの消耗、後天的自己抗体の出現など。

正常C1-INH遺伝性血管性浮腫
 C1-INH以外のFXII、ANGPTI、PLGその他の遺伝子異常による血管透過性亢進。

アレルギー性血管性浮腫
 最も多い。牛乳、卵、小麦などの食物、ペニシリンなどの薬物、ラテックスや虫刺症。

非アレルギー性薬剤性血管性浮腫
 NSAIDsによるロイコトリエン産生亢進、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)などによるブラジキニン産生亢進など。

好酸球増多を伴う血管性浮腫
 反復性と非反復性(日本人に多い)がある。

物理的刺激による血管性浮腫
 寒冷、日光、振動などの特定の物理刺激による。蕁麻疹を伴う場合がある。

特発性血管性浮腫
 蕁麻疹を伴う場合があり、肥満細胞の脱顆粒による。

治療
ステロイド、抗ヒスタミン薬、エピネフリンは症状軽減に有効だが、発作を抑えるには不十分で、浮腫発作にはトラネキサム酸点滴(トランサミン15mg/kg 4時間毎)による治療を。
重篤な急性発作や侵襲を伴う処置により急性発作リスクがある場合ではヒト血漿由来C1-INH製剤(ベリナートP® CSLベーリング社)を投与する。あるいは10アミノ酸からなるブラジキニンB2受容体拮抗薬であるイカチバント(フィラジル® シャイアー)を投与する。

▼問題123

※末梢血好酸球 増減

増加
 血管炎(PN,AGA、ウェゲナー肉芽腫)
  注)PN:結節性動脈周囲炎 
    現在は結節性多発動脈炎と顕微鏡的血管炎の2つに分類
 寄生虫
 I型アレルギー
 好酸球性血管浮腫
 アレルギー性気管支肺アスペルギルス
  喘息症状をきたすものとして鑑別に重要
 PIE症候群
  Pulmonary infiltration of eosinophilia
  咳、喀痰、呼吸困難、発熱
  一般的にはカビ、寄生虫等によるアレルギー性の肺疾患
  とみられているが原因は多くは不明。
  治療)大半が原因不明とされているため、ステロイドの投与
     効果乏しい場合はシクロフォスファミド、アザチオプリン

減少
 ステロイドが多い状態

※薬剤性過敏症症候群(DIHS)

drug induced hypersensitivity syndrome

重症薬疹
遅発性(数週間~数か月後)
Ⅳ型アレルギーとみられる。
伝染性単核球症様皮疹
発熱、LN腫脹、肝障害、WBC↑など全身症状

原因薬剤中止後も症状持続・増悪することが多い
 抗けいれん薬
 ジアフェニルスルホン
 サラゾスルファピリジン
 メキシレチン
 アロプリノール
 ミノサイクリン
 ジルチアゼム など

HHV-6 (human perpes virus-6)再活性化の関与が指摘

▼問題124

※急性好酸球性肺炎

20~40歳 男女比2:1

急な呼吸困難
多くの場合喫煙が関与
喫煙から数日~数週間で発症

ARDSをきたすことも

検査
喀痰・BAL・肺生検 好酸球↑
血液 回復期に!好酸球↑(病初期には認めない)
   IgE↑、IL5↑
CT:両側びまん性の浸潤影↓

治療
ステロイドで反応良好
自然改善もある

再発も少ない

参考
慢性好酸球性肺炎(CEP:chronic eosinophilic pneumonia)↓

▼問題125

※NSAIDs過敏喘息

成人喘息の10~15%
20~40歳、やや女性
慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎、嗅覚低下、鼻茸の合併が多い
(必ず鼻腔を観察する)
前駆症状として水溶性鼻汁・鼻閉を伴うことが多い。
薬剤使用後遅くとも2時間以内に発症

アスピリン喘息の機序

アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼとリポキシゲナーゼによって分解される。

NSAIDsを投与することで、

NSAIDSがシクロオキシゲナーゼ(特にCOX1)を阻害

COXによるアラキドン酸の分解が抑えられる

リポキシゲナーゼによるアラキドン酸分解に偏る

ロイコトリエンの生成が増える

アスピリン喘息の具体的な機序は明らかでないが、NSAIDsによってアラキドン酸の代謝のバランスが崩れることが影響しているといえそう。特にロイコトリエンの中でもLTC4、LTD4、LTE4がアスピリン喘息に重要な役割を担っているとされています。

アレルギー性ではない。
 遅発や二相性反応はない
  
治療
長期管理
 通常の喘息と同様

発作時
 β2刺激
 リン酸エステル型ステロイド
  リンデロン、デカドロン
 ボスミン筋注(急速静注は禁忌)

ステロイド内服は非エステル型なので安全に使用可

参考 コハク酸エステル型ステロイド
 ソルコーテフ、ソルメドロール

酸性NSAIDsは禁忌

→塩基性非ステロイド性消炎鎮痛薬
塩酸チアラミド(ソランタール),塩酸ペンジダミン(リリベン)
薬理作用の特徴:PG 生合成抑制作用を示さない.作用機序は分かっていない.抗炎症作用が比較的弱く,慢性関節リウマチに対してはあまり効果がない.

→その他(NSAIDs に分類されない解熱鎮痛薬)
ピリン系:イソプロピルアンチピリン
非ピリン系の解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン

▼問題126 ※ラテックスフルーツ症候群

それぞれの間のアミノ酸配列の類似性に起因するIgE交差反応性。
特に交差リスクの高い食品(ハイリスク群)としてアボカド、キウイフルーツ、バナナ、クリの4品目が知られている。

▼問題127 ※抗体薬

オマリズマブ(抗IgE抗体)

元々はアレルゲンに対する感受性を低下させる事を目的として開発された薬であるが、一般的に高用量のコルチコステロイドに反応しない重度のアレルギー性喘息の治療に処方される事が多い。慢性特発性蕁麻疹にも使われることがある。

セツキシマブ(抗EGFR抗体)

上皮成長因子受容体 (EGFR) に結合して、EGFRの働きを阻害するモノクローナル抗体である。抗がん剤として使用され、癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬。

効能又は効果
○ RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
○頭頸部癌

トシリズマブ(抗IL-6受容体抗体)

インターロイキン-6 (IL-6) の作用を抑制し免疫抑制効果を示す分子標的治療薬である。関節リウマチ (RA) や全身型若年性特発性関節炎(英語版)(小児の重症型関節炎)の治療

メポリズマグ(抗IL-5抗体)

重症好酸球性喘息を適応として2015年に初めて承認されたメポリズマブは、IL-5を標的とするファーストインクラスのモノクローナル抗体です。.メポリズマブはIL-5と好酸球の表面にある受容体との結合を阻害することで、血中に含まれる好酸球数を減少させます。. メポリズマブ(製品名:ヌーカラ)は、好酸球により引き起こされる炎症がもたらす疾患の治療薬として開発されました。

重症好酸球性気管支喘息 
アトピー性皮膚炎、
特発性好酸球増加症候群(HES)、
好酸球性食道炎(英語版)(EoE)、
鼻茸、
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)(チャーグ・ストラウス症候群)[1]、
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して有効である。

効能・効果
日本で承認されている効能・効果は、
「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」
および
「既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」である。

リツキシマブ(抗CO20抗体)

抗がん剤・免疫抑制剤などとして使用されている
〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、
 免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉
〈多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎〉
〈慢性特発性血小板減少性紫斑病〉
〈後天性血栓性血小板減少性紫斑病〉

▼問題128、129

※アナフィラキシーショック

※NSAIDs過敏喘息

内服ステロイドは治療にOK

静注薬はリン酸エステルを
デキサメサゾン(デカドロン)
ベタメタゾン(リンデロン)
ヒドロコルチゾン
 (ハイドロコートン、 サクシゾンやソルコーテフは×)

アドレナリン0.1㎎~0.3㎎も有効
内服可能なら抗ロイコトルエン薬も

▼問題130 ※過敏性肺臓炎

特異抗体や鑑査リンパ球の免疫反応
Ⅲ、Ⅳ型アレルギー

近年IPFと診断されていた中に羽毛布団による慢性過敏性肺炎が存在することが注目されている。

代表的なもの

夏型過敏性肺炎
 居住環境のトリコスポロン(真菌)
 5~10月 高温多湿 日本人に多い
 風通し不良 木材、水回り
 暴露後6~8時間、数日で消失する。

農夫肺
 干し草や飼料中の好熱性放線菌
 Thermoacti-nomyces
 北日本の酪農家

空調肺・加湿器肺
 真菌

鳥関連過敏性肺炎
 鳥の糞、羽毛など

塗装工肺
 イソシアネート

BALF
急性:Tリンパ球↑、
 夏型HPでCD4/CD8↓<1
 鳥関連・農夫肺 CD4/CD8>1

経気管支肺生検 非乾酪性肉芽腫

治療
 1.抗原回避
 2.ステロイド(全身投与)

▼問題131

※食物依存性運動誘発性アナフィラキシー

アレルゲンのコンポーネント検査

卵 卵白・卵黄   → オボムコイド
牛乳  ミルク   → カゼイン
           α-ラクトアルブミン
           β-ラクトグロブリン
小麦 小麦・グルテン →ω-5グリアジン
ピーナッツ→ピーナッツ→ Ara h2

アレルゲンコンポーネントとは特異的IgE抗体が結合するたんぱく質のことを言う。
接触した場合に運動やNSAIDsを避けることで誘発を抑制できる場合がある。

▼問題132

アナフィラキシー(前述にて略)


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