イクラ丼をなめていた愚者のトライアンドエラー

いつか私がまた同じ愚を犯さぬよう自戒を込めて記す。

ことの始まり

普段海鮮物などはもっぱら出先で食べるもので、自宅で作ることなどほどんどない。
海鮮物を買わない理由は2つあり、近所のスーパーで新鮮なものを提供してくれるところがないこと、海鮮物を調理した器具が生臭くなることがよろしくない。

ただ、最近の自粛から外食を控えていることに耐えかねてAmaz●nでタイムセールをしていたイクラを購入した。イクラの量は1合の米であれば4回分イクラ丼を作れるくらいあった。

イクラならば炊いた米の上にのせればイクラ丼の完成だ、何も面倒なことはない、そう思って気軽にカートに入れた。
大筋ではこの思考はあっている。だが完璧なイクラ丼がどんなものなのかという想像が欠如し、海鮮物を使った料理に対しての経験が足りなかった。
その結果、私はイクラ丼を4回作りそのうち3回失敗してしまった。

1回目のイクラをかけたご飯

最初のイクラ丼の作り方はとにかくひどかった。
まず、イクラ丼に使用する米を酢飯にするという発想がなかった。
その結果できたものは、熱々の炊いた米の上に冷たいイクラをのせて醤油をかけたたものができた。
これの味はなかなかにひどく、どこまでいってもイクラ、イクラ、イクラの味しかしない。イクラ自体は美味しいのだが、それはイクラ単体が発揮できる味を超えるものではなく、それはスタンドプレーによる活躍でしかなった。
結果として半分も食べないうちに味に飽きてしまった。大量のシューマイと白飯を買ってしまったゴローちゃんの気持ちがよくわかった。

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2回目のイクラ丼のようなもの

前回の失敗から米を酢飯にしていなかったことによって味に飽きがきてしまったのではないかと考えた。
(その考え方自体は間違えではなかったが、酢飯を作るときにいろはが足りない状態のまま行動に移してしまったことを後に気づく。)
私は酢飯を作るために炊きたての米にボトルに入ったままの酢をそのままかけ混ぜ込んだ。
そしてできた酢飯、いや酢をかけた飯にイクラをかけた。
酢の匂いがする米にイクラがのっただけのものができた。1回目より美味しくなかった、まったくそれぞれの素材が調和せず嫌な部分が出てきてしまった。酸っぱい匂いと生臭い匂いがまぜこぜになって鼻孔を襲う。

3回目のイクラ丼もどき

前回の反省点から私は学んだ、イクラとは生臭くそれをどうにかしないことにはどうしても飽きが来てしまうものだと。
そしてここで初めてイクラ丼のレシピをインターネット上で調べて、大葉を使うと良いという知見を得た。
ここに来て単調だった味をどうにかする要素を織り込むことができた。
更に加え、味噌汁を用意した。これによって途中で飽きてしまうことを防げるようになると周到に準備した。
それによってできたものはかなりイクラ丼に近くなり、また味噌汁によって生臭さをリセットしつつ食をすすめることができた。
だが何かが足りない、大葉によって食べやすくなったがこれは「イクラ丼」とは呼べない。

最後のイクラ丼

残り1食分となったイクラを前に私はこれまでの違和感について思考した。
そこで考え至ったのは酢飯がまずいということだった。
過去に実家で母が作った海苔巻や稲荷寿司を思い返すと酢の酸味以外の味がした。
そこで酢飯の作り方を調べた結果、酢飯を作るためにはすし酢というものにしてから米に混ぜる必要があることがわかった。
すし酢とは、酢に砂糖3:塩1で混ぜた(ここは好みの問題もあるらしい)ものらしい。
全く知らなかった、米に酢をかければ酢飯になるんだと思っていた。
たしかに酢には酸味しかないのだからそれだけでは酢飯のような甘みが出るわけもない。
更にトッピングに海苔を追加した。これはイクラの味しかしないことへの飽きを軽減する目的だ。

これらの改善点をもって私は、私が作り得る完璧なイクラ丼を作ることに成功した。
それぞれの具材が調和し、丼を食べきるまで飽きや嫌さを感じることはなく、食べきるまで箸が止まることはなかった。
酢飯は適度に甘みがあり醤油とイクラの塩気を緩和しつつ調和へと導いた。
大葉はイクラの持つ生臭さを緩和しつつ爽やかな味をもたらしてくれた。
海苔はイクラと相性抜群、軍艦巻きでタッグを組むだけのことはある。
これらが三位一体となった、これこそがイクラ丼であることを理解をさせてくれた。

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終わりに

4食分のイクラを3回うまく作れずに失敗をしてしまったが、最後の1食がもたらした成功は今後の私の海鮮丼生活に彩りをもたらしてくれるだろう。
自粛生活によってストレスの貯まることが多い生活を過ごしていたが、今まで勘違いしていた酢飯の概念を改める機会となったことを喜ばしく思う。
今後も機会があれば自宅で美味しい海鮮丼を作っていきたい。

すべての海鮮丼に幸あれ




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