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建ぺい率の緩和(防火地域と異なる地域にまたがる場合)

おはようございます。🐤

時間余ってないけどブログ書きます……

1つの敷地が、防火地域と準防火地域、または防火地域と指定なし地域などにまたがる場合の決まりをまとめます。意外とややこしいので、まず基本から整理し、徐々に発展へと進んでいきます。


防火規制の基本

防火地域には防火地域の規制、準防火地域には少し緩めの規制、指定なし地域にはもっと緩めの規制がかかります。

図の赤が濃い部分は防火地域、繁華街や幹線道路沿いなど、火事が広がったら困る地域が防火地域に指定されます。防火地域には耐火建築物など、燃えにくい建物を建築しないといけない決まりがあります。

薄い部分は準防火地域、防火地域に準ずる地域です。

白い部分は指定なし(そのほとんどが法22条指定区域と呼ばれるのですが、FP1級には出ないのでスルーします)です。指定なしの地域には木造建物などが多く建つため、火事は燃え広がりやすいのかというとそうではありません。その分建ぺい率を小さくしてあったりするので、建物と建物の間に余裕が生まれて、結果燃え広がりにくいようになっています。

建築基準法の基本的な考え方はこんな感じです、とにかく火事が燃え広がらないようにするための法律と言ってもいいくらいです。

またがる場合の防火規制

1つの建物が、防火規制の異なる複数の地域にまたがる場合、最も厳しい規制が適用されます。例えば一部でも防火地域にかかる建物は、防火地域の厳しい制限が建物全体にかかります。

敷地は同じでも、建物が別々であり、建物が異なる防火規制の地域をまたがない場合は、それぞれの規制が適用されます。

建物が一つでも、防火地域の外の一部分では制限を緩めることができます。そのためには防火壁で区切って、別もの扱いができるような作りにしなければいけません。

文章にすると難しくなります。2017年9月 基礎編の問38にこんなものがあるので言い回しに慣れておきましょう。

建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合において、当該建築物が防火地域外において防火壁で区画されている時は、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定が適用される。

2017年9月 基礎編 問38

実務として考えるとなぜそこまでして準防火にしたいかは謎ですが、きっとそれぞれの事情があるのでしょう。普通は防火壁を作らずに、建物全体を厳しい方の制限で作った方が使い勝手もコスト的にも有利なはずです。テストのための知識です。

建ぺい率の基本

建ぺい率は、誤解を恐れず超ざっくり言うと、1階部分の建物の面積と敷地面積の割合です。例えば建ぺい率が50%だったら敷地面積に対して半分しか建物を建てることができません。

建ぺい率の緩和の基本

角地は隣の建物と接している部分が少ないので、燃え広がりにくいだろうということで建ぺい率が少し緩和されます。+10% 角地は特定行政庁という役所(まあ都道府県とか市町村のようなもの)の基準にあってないといけません。例えば一定以上の道路の幅があるものでないと角地としては認められません。(FP1級試験では「特定行政庁が指定する角地である/ではない」と必ず書いてあるので、そこをチェックです)

他にも、2つの道路に挟まれた敷地とか、川や公園に接する敷地も角地と同じ考え方で、隣の建物と接している部分が少ないので建ぺい率の緩和がありますが、こちらはFP1級試験ででたことはありません。

あと、防火地域に建っている耐火建築物も、燃え広がりにくいだろうということで+10%の建ぺい率の緩和があります。ほかにも、準防火地域に建っている準耐火建築物などもあります(耐火建築物でももちろんOK)

ちなみにこれも、「延焼防止建築物」という2019年の法改正で現れた新しい基準は耐火建築物扱いなのですが、FP試験ででたことはないと思います。

もう一つ、防火地域で建ぺい率80%の地域に耐火建築物を建てる場合は+20%で、建ぺい率100%にしても良いという決まりもあります。

建ぺい率の緩和はこの3つの組み合わせです。ポイントは、防火地域と準防火地域には建ぺい率緩和のきまりがありますが、規制なしの区域には緩和のきまりはないということです。つまり、規制なしの区域に耐火建築物を建てたとしても+10%はされません。これはたまに試験にでます。

2022年5月 応用編第4問
2021年1月 応用編第4問
2019年5月 応用編第4問

またがる場合の建ぺい率の緩和

建物の防火規制と違って、建物が2つの異なる地域にまたがらなくても敷地がまたがれば建ぺい率の緩和は適用されます。ただしもちろん厳しい方の建物の防火規制がかかります。

たとえばこんな敷地だったら、準耐火建築物を100%規制なしの側にたてても+10%の緩和の適用はされます。

2023年5月の応用編第4問では、防火地域と規制なしにまたがる珍しい例が出題されました。普通は防火地域の周辺は準防火地域なので、現実に規制なしと接することがあるのかは謎、私はたぶんこんな地域はないんじゃないかと思っています。テストのための知識です。

2023年5月 応用編第4問

防火規制なしの区域ですが、敷地の一部が防火地域であるので、ここに耐火建築物を建てると緩和が適用されます。準耐火とかではだめです。この問題は敷地のセットバックもあったので、難しかったですね。でもひとつひとつポイントを押さえたら難しくはないはずです。

まとめ

1つの敷地が2つの異なる防火規制の区域にまたがる場合は次のとおりです。

  • 2つの防火規制にまたがる建物には、厳しい方の規制がかかる

  • 1つの敷地に2つの規制がかかっても、建物がまたがらなければそれぞれの規制が適用される

  • 建ぺい率の緩和は、敷地で考える(その際は厳しい方の地域の規制が全体にかかる)

  • 緩和の際は、敷地内の建物のすべてが厳しい方の基準を満たしていることが必要(例えば、防火と準防火にまたがる地域なら、防火の規制を満たさないと+10%適用されない)

2017年9月の基礎編 問38をやっていて「あれ、敷地全体に制限がかかるんじゃなかったかな?」とふと思ったのでまとめてみました。何かの役にたてたら嬉しいです。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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