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31歳322日目のメジャーデビュー、ウィルトン・バーナードという男。

MLBでは毎年多くの選手がデビューをして早くデビューする人も居ればデビューするまでにかなりの時間を要する選手もいるだろう。
歴代MLB最年少でのデビューはジョー・ナックスホールの15歳。
逆に歴代MLB最年長のデビューはサチェル・ペイジの42歳でのデビュー(MLBの前はニグロリーグでプレーをしていた)だった。
また2013年MLBドラフトの全体1位指名選手フィリーズのマーク・アペルは怪我に苦しみ一時引退をするも、昨年現役復帰し6月に31歳でメジャーデビューを果たした。
今日デビューしたこれから紹介する選手は
若手有望株でもない。そのアペルと同じく31歳のベテランの外野手だ。

Wynton Bernardのこれまで

その彼の名はWynton Bernard(以下ウィントン・バーナード)は1990年9月24日にカリフォルニア州サンディエゴで産まれた。父ウォルターさんから野球を学び、高校はコール・ハメルズ加藤豪将が所属したRancho Bernardo HSでプレーし、大学はDuquesneUniversity のコーチの薦めでNiagara Universityという短期大学でプレー。
順調に行っていたバーナードに悲報が。父ウォルターさんが脳卒中でこの世を去った。バーナードは1年休学し野球から離れた。悩むバーナードはこう決心した。
「父はこういう事を望んでいるのではない。私の夢を実現することを望んでいるのだと」
こうして野球に復帰したバーナードは身体能力の高いセンターを守れる守備と足そしてハイアベレージでアピールするも、2012年MLBドラフトに地元サンディエゴ・パドレスに全体35巡目の1065位で加入をした。
しかし、打撃が適応出来ず2013-14のオフにはリリースされデトロイト・タイガースでプレー。
2015年はAAで135試合で打率.302 4HR 36打点 43盗塁を残し翌年はAAAまで昇格するもメジャー昇格はなく2017シーズンはサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約。
1年プレーして今度はシカゴ・カブスで2年半AAAでプレーするもリリース。
その後はアメリカの独立リーグやメキシコやドミニカのウインターリーグで各地転々とする日々を過ごした。
パンデミックがあり中々チームも決まらず、地元サンディエゴで後のチームメイトになるコナー・ジョーと元パドレスの選手とコーチを経験したフィル・プランティエとトレーニングに励んだ。そんな2人の練習をプランティエはある人に連絡して見てもらうことにした。
その人物は現ロッキーズ監督のバド・ブラック。そう奇縁にもバーナードがドラフトされた時と同じ監督だ。
こうして2021年、バーナードはコロラド・ロッキーズとマイナー契約。
この時のバーナードは30歳というベテランに差し掛かった頃だった。
そして今年、バーナードは打高PCLという環境下でありながら打撃好調を維持。5月1週目の週間MVP、7月の月間MVPを獲得。

守備走塁でも大きな貢献。今シーズン2つの盗塁失敗に対して26盗塁そして未だに無失策。
本拠地のIsotopes Parkは、下の写真のように昔のアストロズのミニッツメイド・パークのようにセンターが丘の形状となっている為に、そこで守っていながら164の守備機会で無失策はとても凄いこと。見てくださいこの守備を。

https://www.milb.com/news/isotopes-park-s-unique-center-field-hill-is-a-wild-card-on-fly-balls-i-251445504

そしてデビュー、これからへ

挫けずにアピールを続けるバーナードについに朗報が。12日の試合でセンターのレギュラーだったダザが左肩脱臼により離脱、その穴埋めとしてついに昇格することとなった。

初のメジャー昇格を告げられバーナードは母親に報告。そのことを知った母ジャネットさんは感極まって号泣した。費やした3712日、マイナー10シーズン、863試合、2883打数。遂にメジャーリーガーとしてのスタートを切った。

ダイヤモンドバックス戦の8番センターでメジャー初出場初スタメン。
ノーヒットで迎えた3打席目、ノーアウトランナー2塁のチャンス。投手デベンスキーから打ったボテボテのサードゴロの当たりで間一髪の判定、アウト。
これにはブラック監督もチャレンジを要求。

その結果。セーフに覆りMLB初ヒットをマーク。自慢の足が生きた結果になった。
その後MLB初盗塁でアピールをしチャンスを拡大。イグレシアスの犠牲フライでホームを踏みMLB初得点をマーク。
30代以上のデビュー戦でMLB初ヒットと初盗塁を決めたのは1907年9月30日のカーディナルス ジョー・デラハンティの31歳347日に次ぐ31歳322日の記録となった。
このプレーがチームに勢いをもたらしこの試合を勝利で飾ることが出来た。
また、この試合では母ジャネットさんと大学時代のコーチがバーナーの勇姿を見届けとても喜んだ。
試合後には、バーナーは試合を観戦した子供達にサインをプレゼントとファンサービスを欠かさない。

試合後にバーナードはインタビューでこう答えた。「チームの勝利の為に全力で尽くしたい。チームの為にやり遂げた事が実現してとても嬉しいよ」
ロッキーズは現在センターレギュラーのダザが離脱中、同じくセンターの守備は上手いヒリアードは打率.188 OPS.557打撃不振、ハンプソンはユーティリティである為バックアップに、グリチックはライトに置いておきたい事を考えると広いCoorsで広い守備範囲と足を活かせるバーナードが必要となる。
その為にダザが復帰するまではアピールを続けたいところ。
これからもMLBファンは「オールド・ルーキー」Wynton Bernardの今後を見届けてもらいたい。

一部エピソードはここから抜粋しました。

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