あのシコルスキーならあるいは

昨日インプラントの治療が終わった。
僕の左の奥歯のところに、とってもキレイでツルツルな歯を2本入れてもらえた。

かなり昔の大学生だった頃に左の奥から2本目の歯を抜いて、けっこう昔の祐天寺に住んでた頃に左の1番奥の歯をかなり削って詰め物をしてもらった。
左の1番奥の歯は、バキでシコルスキーがわずかな壁面のサビや凹凸を頼りに登り切った、"ロシアのミサイル発射孔をそのまま利用して建てられた刑務所"くらい深く削ってもらった。

一見ツルツルに見えるその壁面をシコルスキーは登って脱獄した。


毎回歯医者さんに「このあとどうしましょう?」と聞かれたが「まあでもお金ないんでそのままでいいです」と返していた。
セリフこそ悲しげではあるが、なるべく「歯ァなんてねぇ!上に1!下に1あれば十分ですよ!」というような、男らしい雰囲気を出すように心がけた。

しかし去年の今頃、左の奥から3本目の歯が欠けてしまい、笑うとかなり歯が無い感じになってしまった。

鏡の前の自分に
「こんなにもいつも笑顔な俺なのに、歯がかなり無くていいのか?」
と問いかけ、
「こんなにいつも笑顔な俺は、歯もあったほうがええやろ」
となり、重い腰を上げてインプラントを入れるため歯医者さんに行った。

奥歯にインプラントをパッと入れて終わりかと思ったら、他にもけっこういっぱい虫歯があって、まずはそれらを治療するところから始まった。

毎回1本ずつ虫歯を治療して撃破していく様は、まるでワンピースの各編のバトルが連続するあたりを読んでいるようで、「今週はフランキーがフクロウを倒してくださりありがとうございました」と心の中で思いながらお会計をした。

僕の先生は麻酔が上手くて、何度も麻酔をしてもらったが一回も痛いと思わなかった。

むしろその麻酔を利用して歯医者終わりにすぐヒゲ脱毛にも行き、左頬の脱毛の痛みを軽減したこともあった。
歯医者も脱毛も自分の好きで行ってるのに、少し痛みがマシな気がした時に「俺の勝利や!ざまあ見やがれ!」と勝ち誇った気分になった。

右アゴメインでご飯を食べるのが何年も続いていたので、慢性的に肩コリもひどくなっていたが、左の奥に仮歯が入った頃から左右のバランスがめちゃくちゃ良くなって肩コリはかなりおさまった。いつもマッサージしてくれる美容師さんも「檜原さん昔は揉んでも揉んでも一切手応えがないくらい肩凝ってましたけど、今はまるで凝ってないですね」と言ってくれた。

「そうでしょう!歯ァ!入れたんですよォ!アンタも歯が無いならァ!入れるとイイ!!」と豪快な海の男で返事をさせてもらった。

インプラントの費用約100万円(2本分)のうち、50万円はお父さんにお金を借りて、後半の50万円は自力で払った。
お笑いで歯を1本入れられるようになってかなり嬉しかった。

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