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昨日は日本橋Upsという会場で「ドラゴンボール亭G」というライブにゲストで出させていただいた。
過去にはズンズンポイポイさんや日本クレールさんも出ていた大阪の老舗インディーズライブで、事務所の関係で告知はできない芸人さんもたくさん出ていらっしゃった。

日本橋Upsは倉庫を改築したような会場で、2階の楽屋がとにかく広く不良の溜まり場のような味わいもあった。僕は10年前に三浦マイルドさんの大喜利ライブに呼んでもらったとき以来の日本橋Upsで、懐かしさでテンションもMAXだった。

リハーサルのとき、僕が高校生のときから知っている主催の村橋ステムさんが「どんな企画にしましょう?今日は東京から来てる芸人も多いんで、東西に分かれて大喜利対決するとかですかね?」とメンバーに投げかけた。
なんとなく全体に「う〜ん」という空気が流れたあと、いくつかやりとりがあり、「まあ、今回もちんちんでいくか」という一声が飛び出した。

すると他のメンバーからも「ちんちんですね」「前は金玉でしたもんね」と賛同の声がどんどん上がった。

僕は1時間くらい会話を聞き逃したのかと思ったが、実際は議論が始まってまだ3分ほどしか経っていなかった。

「ママタルトはちんちんでも大丈夫?」と聞かれ、大鶴肥満は「はい、もちろんです」と「ちんちんのコーナーですよね?東京でもよくやってますよ」と言わんばかりに平然と答えていた。

僕もここで躊躇しては「東京の芸人はあかんで...」と思われてしまうので、ADさんのように手を叩いて笑い、全部のアイデアに「それいいですね」と相槌を打った。
僕らだけならまだよいが、ストレッチーズやさすらいラビー、ひつじねいりまでもが、東京でちんちんのコーナーをやっていないと思われてしまっては申し訳が立たないからだ。

そのあとも少し議論が行われ、最終的にコーナーでやる企画は、目隠し金玉握り・ちんちん綱引き・ちんちん伸ばしの3択になった。

挙手での投票が行われ、ちんちん伸ばしに圧倒的な票が集まった。「ちんちん伸ばしに圧倒的な票が集まるんや。」と思った。

僕はこのときもまだ「あの、すいません。これって今、お客さんからちんちんって見えてる状況ですかね?」と言い出せずにいた。

そこからはちんちん伸ばしのリハーサルが始まった。
舞台袖から畳くらいのサイズの半透明のパネルが登場した。それを舞台上に設置して、パネル越しだとどれくらいちんちんが見えるかをみんなで確認することになった。

僕は「あ、やっぱりパネルがあるんやね。だってみんな大人やもん。そらそうよな、ちょっとばかし、ヒヤヒヤしちゃったじゃん。」と安心した。

そのあとパネルの奥でパンツを脱いだ芸人さんが「どうですか?」と客席にいるメンバーに尋ねると、口々に「普通にめっちゃ見えてますね」と返ってきていた。

これは終わったかと一瞬諦めかけたそのとき、客席にいたメンバーから「ちょっと離れたらちんちん見えへんくなるやろ」と高IQアイデアが飛び出し、事なきを得ていた。確かにちょっと離れるだけで格段にちんちんは見えなくなった。

そのあとさらに、舞台奥からライトで照らすことでちんちんをより隠せるんじゃないかというアイデアも飛び出し、「完璧や、絶対いける」とリハーサルは終了した。


開演時間になり、まずはネタコーナーが始まった。演者もみな面白く、お客さんもあったかかったのでとてもライブは盛り上がっていた。

そして後半の企画コーナーとなり「ちんちん伸ばし」が始まった。なぜかお客さんは一層盛り上がっていた。一人目のチャレンジャーが現れて、パネルの奥でちんちんを伸ばした。
臆病な僕は「これ、いったん客席でどんな感じに見えてるか確認してきますね」と客席の後方に逃げた。
客席の後方から確認したところ、一人目のチャレンジャーのちんちんは一切見えていなかった。

そのあと「ほなライトアップしますか」の号令がかかり、会場の照明は全て消え、舞台奥からレインボーの照明がちんちんを照らし、半透明のパネルにシルエットが浮かび上がった。

もしCM前のポケモンシルエットクイズでこれが映ったとしたら、100人中100人が「ちんちん」と答えるくらい、そこにはちんちんのシルエットが浮かび上がっていた。
めちゃくちゃウケていた。

計測係が「14cmです!」と高らかに発表したあと、次から次へとチャレンジャーが出てきた。

「お前がいけや」「お前がいけって」みたいな状態になるのかと思ったら、

「俺がいく」「俺がいく」状態になっていた。
8人目くらいのチャレンジャーが「24cm」を出して、その方が優勝した。

臆病な僕は最後までコーナーを客席後方で見守っていた。「僕は見とくわ」と小学校低学年のときジェットコースターに乗らなかった頃の自分から全く成長していなかった。

あとから大鶴肥満に「24cmって、どんな感じやったん?」と聞いたところ、「とにかく凄かったとしか言いようがない。これでもかというくらい皮が余ってて、しかも賢い引っ張り方してたんだよ。まず頂点と頂点を対角で結んで、ひし形になるように引っ張ってたんだ。」と、花山薫とスペックの戦いを目撃した人のように雄弁に説明してくれた。


【告知】

にぼしいわしさんとのツーマンライブの配信が今日ありました。
昨日とは違って「ぷくぷくママタルト」というかなり平和なコーナーをやったので安心してご覧いただけます!
僕らの新幹線代をBAR舞台袖さんが負担してくださったので、もし余裕がある方は見てくださると嬉しい😊です!

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