ガム

久々に、住んでいる世界が狭すぎる人がする推測をした。

小学生の頃、校区内にファミリーマート・ローソン・サンクスと3つコンビニがあった。
コンビニ以外に買い物ができるような場所はKマート(愛称ケチマ)という小さい商店しかなくて、ゲームを買うには自転車を40分漕いで和泉中央駅に隣接するイズミヤというショッピングモールに行くしかない地域だった。

僕たちはみんな小学校から一番近いローソンで遊戯王カードを買ったり駄菓子を買ったりした。土日には校庭で1時間遊んでローソン、1時間遊んでローソンを何セットも繰り返した。

3つ入りのうち1つだけすっぱいガムが入っている「すっぱいぶどうにご用心!」を買って、すっぱいガムを引いてしまった者は罰ゲームという遊びをしていたが、すっぱいガムが一番美味しいことに気づいてからは、本当は内心美味しいと思ってるのに「これアカンって!すっぱー!」と負けたリアクションを取るのもお約束になっていた。
のちに中学に上がってから「今日は腹割って話そうや」という日があり、みんなすっぱいガムのこと昔から美味しいと思っていたことを打ち明けた。

小学校高学年になる頃には友達の中に高額のお小遣いをもらう者も現れ始めた。その友達はローソンでお昼ごはんを買うことで、昼ごはんを家で食べてきてから集合するのが常識であった僕らの遊びを根底から覆した。
その行為は「ほんまの買いもん」と呼ばれだし、「ほんまの買いもん」をする者は周囲から一目置かれた。金曜日に「明日、ほんまの買いもんするかも...(ボソッ)」とホームラン予告をする者もいた。
「ほんまの買いもん」をする者はたくさん買い物をしているだけあって新しい飲料にもトライしており、「ひわらよ、ロイヤルミルクティて知ってるけ?あれめちゃうまい」と紅茶花伝を教えてくれた。

しかし僕はその当時、円になってサッカーボールをワンバン以内にパスしあい、ツーバンしてしまったり遠くに蹴ってしまったらペナルティが溜まり、それが累積すると壁に張り付けになって自分の体に向かって全員からシュートを喰らわされるゲームでめちゃイケの数取団の山本さんくらい負けまくっていたのでみんなのことが嫌いになっていて、「どうせ紅茶花伝も死ぬほどまずいんやろう。」と飲まずにいた。

そんな僕に対して、「ほんまに美味いんやって紅茶花伝」と真摯に説得をしてくれた友達を信じて紅茶花伝をグビリ。そのあまりの美味しさにその日は"仏並"から"北田中"まで立ち漕ぎで帰った。その日以降毎日紅茶花伝をローソンで買って飲んだ。

そんな日々を過ごしていて、ある時友達がある一言を発した。

「俺らこんくなったらこのローソン潰れんちゃうん?」

小学生の僕はその問いかけに対し、

「そんなん確実に潰れるやろ」

と返事した。

友達も全員「俺らだいぶローソンに落としてるもんな」と、納得していた。

今日、同居人の大久保八億から近所のOKストアで買った惣菜のスパイシーポテトをもらったとき、「スパイシーポテト美味すぎるやろ。これマクドナルドのポテトSしか無くなったらOK激混みするんちゃうん?」と言って、久々に住んでる世界が狭すぎる人の推測をしてしまった。

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