【R6.6.16】マーメイドSの予想

【アリスヴェリテの扱い】

 前走同舞台の2勝Cで前半56.8-後半61.0の1.57.8と自爆上等のオーバーペースで斤量差を活かした逃げ切りを決めたアリスヴェリテ。
 昇級戦で3勝Cの身ということで今回50㎏と暴力的な斤量、前走のインパクトが大きかったこともあり結構な人気となっていますがこの馬をどう扱うかからですが、まあ切りでしょう。
 牝馬限定のハンデ戦ではありますが、前走の2勝Cと比べるとメンバーレベルは格段に上がります。牡馬も交じっての2勝Cではありますが、2勝Cを勝ち切れずにいる4.5歳の古馬と重賞勝ち馬も交じってのOPクラスとでは流石にレベルが違いますし、メンバーのレベルが上がるとその分基準となる追走スピードも速くなるので、どんなペースで逃げようと前走ほど自由には差せてもらえないでしょう。
 また、今年の愛知杯が開幕週のイン有利小倉で前半57.4のハイペースで底力が試される一戦でしたが、愛知杯ではそのペースで逃げても馬郡がばらけなかったというのが今回を考える上で一つ重要。やはり力のある馬が多くなり、騎手のレベルも上がれば、逃げ馬はよほどの人気薄でなければそこまで自由にはさせてもらえず、ある程度の位置で射程圏にいれながら早めのスパートで捕まえにこられる。

 なので、展開想定としては、永島騎手も乗り替わり50㎏で前走の競馬を考えたら行かないわけにはいかないので、流石にある程度のペースで逃げ。前走のペースはやり過ぎなので、もう少し抑えて最後に使える足を残そうとしつつも馬と喧嘩をして消耗してはどうしようもないので前半は流れて57秒台中盤程度で愛知杯と同程度の流れ、それを少し離れた位置で見る馬郡の戦等がベリーヴィーナスorコスタボニータで差が1秒あるかどうか、坂の下りに合わせて捕まえに行って4Fのロンスパ戦、最後まで足を伸ばせた馬での決着。この展開に合う馬を探していきます。

【狙いたいキャラクターは】

 飛ばす逃げ馬がいることで、前半流れたペースを追走した上で最後まで末脚を伸ばす、シンプルな足の速さとスタミナが求められそうなのが今回のマーメイドS。
 まず狙いたいのが短い距離での実績がある馬。ある程度のレベルのマイル戦だと、最初から最後まで11秒台が連続する流れでも足を溜めて最後まで末脚を伸ばす必要があるので距離が持つかどうかはともかく今回の早い流れにも対応できる可能性は高まる。
 今回のメンバーでマイル以下の距離で実績を持っているのは
・ジューンオレンジ
・ピンハイ
・ラヴェル
・コスタボニータ
 の4頭(新馬・未勝利は除く)、16頭中4頭しかいないというのは価値の高い実績になりそうなので、この4頭にはまず注目したい。
 次に狙いたいのが、スローからの瞬発力戦よりもハイペースやロンスパ戦の上りのかかるレースで実績を積み上げてきた馬。こういった馬は実績にもムラが出やすく人気の盲点にもなりやすいので、上手く見つけていきたいが、今回のメンバーだと
・ピンハイ
 3勝C勝ちこそ上がり33.0での素晴らしい差し切りだが、古馬になってから好走したのは2走ともある程度上がりのかかるレース。
 3歳の頃も距離延長でスタミナが求められるオークスで上がり2位の4着など、切れ味よりはスタミナが活きる展開で良さを発揮。
・ミッキーゴージャス
 勝ったレースは上位の上りを使っているが34秒~35秒台の上りがかかる決着ばかり
・マリネロ
 上がり上位が35秒台になるようなスタミナ戦での実績が目立つ。そういった舞台を選んで使っているというのも、もちろんあると思うがこれだけ時計のかかる競馬の経験が多いというのは魅力。
・コスタボニータ
 稍重で3連勝を決め、重賞で馬券内に好走した時も上がりがかかるタイミングばかり。
・ゴールドエクリプス
 瞬発力戦を制した実績もあるが、直近の勝利は稍重の1800mで上がり35.5、自分である程度タフな流れを作っての押切。前走はキレ負けという感じの内容であり、スタミナが活きる展開の方が望ましい。
・インザオベーション
 勝ったレースはロンスパ戦で上がりがかかるレースばかり。溜めた上で加速する時間と距離をもらえればトップスピードは出せるが、基本的には好位からのスタミナ戦がベスト。
・タガノパッション
 持ち時計はメンバー内でも上位、ハイペースの愛知杯でを上がり最速で2着に差し込めたのは今回につながる。
 このあたりは今回のレース質と適性がかみ合ってきそうなので、注目していきたい。

【逆に嫌っていきたいのは】

 まず展開的に恵まれなさそうな逃げ馬
・アリスヴェリテ
・ベリーヴィーナス
 ベリーヴィーナスは2連勝で勢いもあるが、ここ2走は相手関係と展開にかなり恵まれた面もあり、逃げの形に持ち込むのがほぼ不可能な今回は流石に上位には評価できない。
 早い上がりで実績をあげてきた馬
・セントカメリア
 3勝C勝ちは33秒台の上り、愛知杯では追走で手一杯という感じで足が溜まらず凡走、前走はスローからの瞬発力勝負で3着好走と溜められる展開でこそ良さが出ている。(調教時計を早めにまとめた時に良績が固まっている中で今回凡走の多い遅めパターンというのもマイナス)
・ファユエン
 ある程度クラスが上がってからは上がりのかかる展開では好走できておらず、重賞でも着差をまとめられた前走はスローからの瞬発力勝負。今回は適性が合わない。
・エーデルブルーメ
 かなり扱いが難しいと思うが、前走のパフォーマンスが良すぎるのが引っかかる。よっぽど能力が抜けていない限り、ハイパフォーマンス=適性がばっちり噛み合った。というのが多いので前走の内容がこの馬の適性と見るのが良さそう。レースラップは12.7-10.9-12.0-12.2-12.0-12.3-12.2-11.9-11.3-11.3と前半59.8-後半59.0のミドルペース。ラスト直線で一気に加速する展開で外枠を活かして揉まれないポジション取り、中団から抜群の手ごたえで一気に差し切っている。過去のレースを見ても自分のペースで走って直線まで足を溜められるかどうかがパフォーマンスに大きくかかわっていそうで、追走でスピードが求められそうな今回は案外伸びないという可能性もありそう。

 このあたりを意識しながら馬を選んでいきたいと思います。

【予想印】

◎2ジューンオレンジ
〇11インザオベーション
▲3ピンハイ
△9コスタボニータ、4ミッキーゴージャス
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

◎ジューンオレンジ
 はい、大穴本命で行きたいと思います。
 まず評価したいのが今回のメンバーでは唯一無二のスプリント実績。キャリア4勝のうち1200が2勝で1400が2勝と単距離でしか勝っていないジューンオレンジですが、ハイペースで追走力が求められそうな今回はこのキャリアが活きてきそう。11秒台前半が続くタイトな展開でも先行して早い上がりを使ってきた実績があり、距離さえこなせれば今回激走があってもおかしくない。
 その距離がこなせるかという点ですが、距離を伸ばして溜める競馬に移行した近2走はいずれも上がり最速。馬券にこそ届いていませんが、距離が伸びても自分のリズムで運ぶことが出来れば問題なく上がりを使うことが出来ているのは距離延長に対する適性の高さを感じさせる。
 今回内枠を取れたのも良く、前の逃げ馬を捕まえに行くのは他の馬に任せて最内で待機、じっくり勝負所まで足を溜めて差しに行くというのはいかにも展開に恵まれそう。
 人気薄の身でありながら「追走スピード」と「末脚のキレ」ではメンバー上位の物を持っているというのは一発に期待したくなる。
 また、推したい要素がもう2つ。まず鞍上の富田暁騎手。桜花賞の大敗を除いて、コンビを組んで掲示板外になったことが無い相性の良さ。何もなければ北海道で騎乗しているはずの富田騎手が京都まで駆けつけてタッグを組むというのは勝負気配の高さを感じる。更に、ローカルでの騎乗が多い分、乱ペースでの消耗戦で最後まで馬を動かすのが上手い富田騎手というのも今回の展開にハマりそうで、馬場がタフになってくる開催が進んだ洋芝では思わぬ差馬で大穴を開けることも珍しくない富田騎手の培ってきた技術が発揮されることに期待したいタイミング。
 更に今回注目したいのが調教時計、ジューンオレンジ自身調教時計の良さとレースの結果が直結するタイプであり、今回は坂路で53.1から終い12.3-11.9の素晴らしい加速ラップ。今回のレースに向けて出した時計は全て坂路加速ラップであり、終い11秒台加速ラップでレースに臨むのは最後に勝利した昨年の白秋S以来。
 右の小回りコースも実績的に得意で、コーナリング中の加速も問題なし。
 OP入りしてから馬券外が続いていることで大きく人気を落とす今回ですが、一流のスプリンターが揃ったシルクロードSで積極競馬も撃沈→延長馬がとにかく苦しい外差展開の京都牝馬Sで大敗→牡馬混合の谷川岳Sで僅差の4着に好走→前残りの展開でも追い込んで上がり最速0.9差8着と力を見せたメイSと敗因は明確で近走は内容も良くなってきている。
 不安は距離のみで、一発の可能性を多く秘めたジューンオレンジ、積極的に本命で狙っていきたいと思います。

〇インザオベーション
 こちらも2桁人気の穴ですが、ハイペースの消耗戦なら出番有と見て対抗評価。
 注目したい理由は前述のとおりロンスパの上りがかかる展開でこそ実績を出してきたその適性。ある程度先行の位置から競馬ができる脚質もありますが、何より評価したいのが血統。
 インザオベーションは父ハーツクライ、母父ExceedAndExcelですが、今年のクラシックでよく見た覚えのあるこの母父ExceedAndExcel、母はインザスポットライトということでインザオベーションはライトバックの姉に当たります。
 ライトバックとジャスティンミラノで知名度を上げたこの母父ですが、現時点での私の印象としては、マイペースで足を溜めて、思いっきり加速し続けた時の破壊力と、ハイペースで流れに乗った時にしぶとく粘り込めるのが良さ。
 インザオベーションの実績もそれがあらわれており、2勝Cのライラック賞は逃げて誰にも邪魔されずに時計のかかる札幌で後半1000を12.1-11.4-11.5-11.2-11.8と早いラップを刻み続けての逃げ切り。1勝Cもラスト5F11秒台が続くロンスパ展開を中団からスピードに乗って差し切り。スタミナを要する展開でのしぶとさを見せながらもどスローだった初音Sでは後方で溜めて直線32.8の切れ味を見せている。
 前走のパールSでも後半4Fが11.6-11.3-11.5-11.8のロンスパ戦を外回しのロスがありながらしぶとく伸びて着差なしの3着。
 前走で実質3勝C勝ちに等しいレベルの競馬をしておきながら勝てなかったおかげで今回51㎏の斤量はかなり恵まれており、前走比較でー5㎏ならば、多少オーバーペースになっても対応できそう。
 逃げ馬が目立つだけで先行争い自体はそこまで激しくならなさそうな今回ならば、適性と斤量を上手く噛み合わせての粘り込みに十分期待できると見てこの人気ならば高く評価していきたい。

▲ピンハイ
 メンバーではピンハイとゴールドエクリプスのみが牡馬混合重賞で馬券内実績あり。前走もリステッドで4着と力を見せていながら今回ここまで人気を落とすのは意外。
 小柄な馬ということも合って、斤量の影響が大きく、斤量55㎏以上で(0-1-0-4)斤量54㎏以下で(2-1-1-2)馬券外の2走も内の馬場が壊滅していた3歳時のエリ女と前残りの展開を後方から外回しで全くかみ合わなかった大阪城Sと敗因明確。
 54㎏の斤量で臨める今回はピンハイらしい安定したパフォーマンスに期待できる。ペースが流れたとしてもこれまで使ってきた距離や相手関係なりに他のメンバーよりペース耐性は高く、実績から見ても距離延長ローテは苦にならない。
 調教内容にムラがある本馬だが、今回は坂路でしっかり加速ラップを刻んでの出走であり、調整過程もいい。北村騎手に乗り替わりのタイミングで内枠というのはやや不安ではあるが、ピンハイとしては内は歓迎なので、上手く立ち回ってくれれば十分チャンスあり。

△コスタボニータ
 時計のかかる右の小回りでの安定感を考えるとある程度は評価せざるを得ない。コンスタントに使われて上積みにも期待しづらく、前走は落馬の影響を受けない位置での競馬から恵まれての重賞勝ちで今回56㎏を背負うというのはかなり妙味が無いが、それでも近走の充実度、安定して勝負圏内にいる脚質、スタミナを要する展開への適性の高さを考えると今回もあっさり馬券内確保して来てもおかしくない。

△ミッキーゴージャス
 能力はこの中に入れば上位なのは間違いなく、適性的にもこの舞台と今回想定される展開は合いそうだが、川田騎手が乗らないというのは大きいマイナス。
 乗りやすい馬ではなさそうで、デムーロ騎手に乗り替わった前走では最内が苦しかったというのもあるが、ポジション取れずズルズルと下がって見せ場なしの大敗。今回は一気の相手弱化で斤量もこなしてあっさりというのもあり得るのでこれ以上評価は下げられないが、最終追切もソフトな調整で、転厩後2戦目となる今回、まだ厩舎としても仕上げのパターンを確立できていなさそうな不安感もあり、絞るならば思い切って切るのも……と思いつつもこの評価で。

(抑え)
・ラヴェル
 前走は11着だが、渋った馬場でイン前を上手く立ち回ったコンクシェル、シンリョクカが好走する中で大外枠は厳しかったものの着差は0.6とまとめており悪くない内容。京都記念でも重賞で実績ある古馬牡馬相手に掲示板を確保しており、そこまで悲観する内容ではない。
 好枠確保で調教の動きも引き続き良く、ここまで舐められるならば抑えておきたい。

・マリネロ
 前走は昇級初戦×斤量増×距離短縮でゴールドシップ産駒ならば苦戦して然りのタイミング。今回50㎏への斤量減は大きく、スタミナを要する展開で3着すべりこみというのはゼロではないかなと

・ゴールドエクリプス
 調教良し、スタミナあり、実績の割に斤量にも恵まれ、立ち回り次第ではチャンスがあっても良さそう。

・タガノパッション
 愛知杯の内容を評価。小回りでのハイペースでは堅実に好走できており、今回距離延長のタイミングというのと、追切があまり良く見えないのは少し引っかかるものの、切るのは怖い。

(切り)
・ベリーヴィーナス、セントカメリア、アリスヴェリテ、エーデルブルーメ、ファユエン
 前述のとおり。

・ホールネス
 4戦3勝の上り馬で52㎏は魅力もこれまでは流石に相手関係にも恵まれている感あり、時計のかかる舞台ばかりで追走に手一杯という可能性は高そう。最終追切芝もマイナス。

・エリカヴィータ
 割に合わない斤量が続いていたところからやっと54㎏になった今回少し魅力はあるものの、外枠からいきなり馬券内まで来るイメージは沸かず。

【まとめ】

 ということで、今週も懲りずに穴から狙っていきたいと思います。
 印としては◎〇どちらも穴ですが、ジューンオレンジは単勝の妙味を感じる穴、〇は人気の割に馬券内に来る可能性が高そうな穴という感じです。
 なので、馬券としては
〇単勝 ジューンオレンジ
〇ワイド 3.11-2.3.4.9
〇3連複 11-2.3.9-2.3.4.5.7.9.10.12
 こんな感じで狙っていくイメージでいます。
 ジューンオレンジが差し切れるくらいの展開ならばインザオベーションが前目から残しきるのはややハードルが高そうだけど、差が決まり切らない程度のロンスパ戦ならば斤量と適性がかみ合うインザオベーションが馬券内確保でピンハイが差さるorコスタボニータが残すのセットでのセットで的中を狙えるというコンセプトです。
 今回の出走馬の前走を見た時にやはりアリスヴェリテとエーデルブルーメはインパクトのある内容なので、オッズもそれに引っ張られる感じで変に歪んでいる感じがしますね。エーデルブルーメの前走は確かに強かったですが、馬場傾向としてもダンチヒ系絶好調のバイアスがありつつ、展開もハマったからこその圧巻の差、簡単に再現できるのであれば5歳のこの時期までにとっくに重賞を勝ってるんじゃないのかな?というのと川田騎手×福永厩舎の初重賞チャンスで過剰人気感ぬぐえないということで今回は逆らってみたいと思います。
 まあ、今回は大穴勝負ということで、この記事を読んでジューンオレンジとインザオベーションが面白そうだなと思ってくれた人は、馬券の紐に入れてくれると嬉しいです。今週唯一の重賞、楽しんでいきましょう!

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