大阪杯の追切メモ

・エピファニー

 前走の小倉大賞典ではCWで6F78.4から終い11.8-12.5と失速するラップ、今回はそれを引き継ぐような感じで6F80.0から終い11.7-12.6。
 全体時計が緩んだように見えるが、5F時計で比べると今回の方が早いので気にする必要なし。単走というのも前走同様だが、通している位置は今回の方が内目。肝心の動きは前走よりも今回の方がストライドの伸びは良くいい意味で力が抜けてリラックスした走り。馬体の仕上がりも今回の方がよさそうで、前走よりは状態面で上積みは見込めそう。
 自分の持っている力は出せる出来にありそうなので、あとはこのメンバーに入ってどこまでやれるか。

・カテドラル

 最終追切は坂路で単走。53.3から終い12.6-12.3の加速ラップ。カチッとした安定感のある走りで集中した動き、近走と比較しても良く映り状態は上向いてきていそう。
 ただ推進力、スピード感という点で見ると年齢を重ねたなりに衰えがある感は否めず、このメンバーでは上位には取りづらい。

・キラーアビリティ

 サウジ帰りというローテの関係もあり最終追切は阪神芝で。内容としても軽めで、体をほぐして動きを確かめるというような感じで前走以上の上積みは期待しづらい。
 見た目から馬体の状態は良さそうで、走りも力強く出来落ちは無さそうなので、前走並に走ってどこまでか。

・ジオグリフ

 めちゃくちゃ良いですね……
 最終追切はCWで3頭併せの真ん中。栗東滞在にも関わらず3頭併せできる環境を作って臨んできている時点で今回の大阪杯に向けての気合というか勝負度合いの高さが伝わってくるところ。
 私が個人的に木村厩舎の馬の追切を見るときのチェックポイントとして気にしているのが2点、まず1つが”3頭併せの真ん中になっているかどうか”重賞ならばこれは大前提で、そして動きで注視するのは”後肢の蹴りの鋭さとそれが生む推進力”これがかなり仕上がりと直結している印象。
 今回はその動き、後肢の生む推進力の良さが前走比較で大きく上昇を感じる。3頭併せ馬の真ん中で直線の入りは抑えながら足を溜め、そのままじわじわと加速して先着、後肢の可動域が大きく一歩一歩の伸びが目立っており、それだけでも十分良いがゴールを過ぎてから手綱を緩めて手前が替わったのに併せて更に走りに軽快さを増した。かなり状態が上向いていることを感じられる。
 前走中山記念時の見解でも「ここを使った次走で更に良くなりそう」との印象だったがまさに期待通りという感じの仕上がりで、2週連続騎手騎乗でコンタクトが取れているのも非常に好感。追切映像を見て一気に注目度が上昇した一頭。

・スタニングローズ

 10か月半の久々だが今回に向けて1か月厩舎でしっかり厩舎で時計を出してきており仕上がりは順調に見える。
 一週前の時計も良く坂路で53.7から終い12.4-11.9の加速ラップ。馬体にも休みを挟んで年齢を重ねたのに応じてその分筋肉量が増している印象であり、長期休みによる能力の低下というのは気にしなくていいかと思う。
 最終追切は全体時計緩めの坂路で56.1から終い11.9、15.3-15.3-13.6-11.9ということで全体を見ると綺麗な加速ラップにはなっていないが気にする必要はなく、全体時計遅めから終いを伸ばす形は厩舎としても成績が良いパターン。
 肝心の動きも良く、非常に安定感高い走りで軸にブレが無く、鞍上の合図に併せて推進力の高い加速。終いはぐんぐんスピードが上がっているのが見て分かるレベルであり、一週前からの比較でも順調に見える仕上がり。
 状態面では問題なく能力が出せる状況にあると思うのであとは実績あるこの舞台でこのメンバーに入ってどこまでやれるか。

・ステラヴェローチェ

 一週前追切が6F78.5から終い11.0-11.3と誰が見ても分かるレベルの猛時計。動きもかなり良く見えるが、長期休みを挟む前と比べると走りは変わっている印象。決して悪くなったわけではなく年齢を重ねたのと休み明けからのローテもあってか、走りに重厚感、厚みが増しており、スピード感がありつつも力強さが目立つ走りができるようになっている。その分一瞬のキレ、瞬発力と言った面ではやや若いころよりも落ちるかもしれないが、長くトップスピードを維持するような能力が求められるこの大阪杯という舞台への適性は増してきているのではないかと思う。
 最終追切はこれまでパターンとしては皐月賞時くらいでしかなかった全体時計遅めの坂路仕上げ、55.2から12.4-12.2の加速ラップで時計はまずまず。映像を見ると直線の動きは非常に活気があり軽快な登坂。手前替えが非常に鋭くスピードのロスが無いのも好感で追われるごとにしっかり加速出来ている。一週前に十分仕上げたところから最後の仕上げとしては文句なしの好内容であり前走以上の状態での出走に期待できる。

・ソールオリエンス

 最終追切はCWで3頭併せ馬の内側。6F81.1から終い11.2と好時計ではあるが、映像を見ると併せた馬も良く動けているのもあると思うが時計ほど早く見えない。一週前はブリンカーをつけていたが最終では外してきており、外しても問題なく集中して前向きに走れているのは好感。3歳で最も状態的にも良かったであろう春の時期は楽なコーナリングから直線で矢のように鋭く伸びるのが印象的だったが今はそこまでの鋭さは感じられず、馬体の完成度が上がってきているのもあってか走りのバランスが変わってきているような印象。
 今であれば大味の追い込み競馬よりはもう少し前に、せめて中団には構えての王道な競馬に切り替えていくのが理想的だとは思うが、それを考えると前走の位置取り、内容はかなり致命的。
 ここで武史騎手に手が戻って、少しでも前に行こうとした上でどういった結果が出るか。状態自体は悪くなく力は出せると思う。

・タスティエーラ

 ちょっとこれでは厳しいかなというのが第一印象。
 一週前、最終とともにCWで単走、どちらも耳をフワフワとさせながら集中しきれておらず、本気でスピードを出しているタイミングが無い。
 いつも調教では良く見せ、スピードも出る馬なだけに過去の映像と比較しても見劣り感否めない。馬体的にも前走で大きく馬体重が増えて筋肉量は増えているが、その分もあってかやや前の出が窮屈に映り仕上がり途上感が強い。
 3月7日にダノンベルーガと併せたのと、次週の14日の時計が良かっただけに、どうしてこういった仕上がりになったのか、個人的にはこの追切で走られたら仕方ないと割り切って、馬券からは完全に外しても良いかなと思える。

・ハーパー

 最終はCWで単走。最終までCWである程度の時計を出すのは厩舎の最も成績が良いパターンとは少しずれるものの、ハーパー単体で見れば秋華賞の時など結果も出ている調整過程なので、これで評価を落とす必要はない。
 動き自体は追うごとに良化していった感じで、最後は馬なりでも6F81.9から11.7-11.7があっさりだせているようにかなりいい状態に仕上がったかと思う。馬体を見ても4歳になった分筋肉量も増えた上で馬体にもメリハリがあり、単純な比較で昨年の秋シーズンのどのレースと比べても今回が最もよく見える。走りのバランスも良くなっており、シンプルに競走馬としての完成度が増した。
 しっかり自分の能力を出し切れる状態で臨めそうな上に、成長分でパフォーマンスの上昇にも期待できそう。

・ハヤヤッコ

 CWで併せ馬の外側、6F83.4から終い12.5-12.7と終い伸びず。前走の金鯱賞から間隔が詰まる分、今回に向けては早い時計多くないがそれにしても攻め不足に見える。動きとしても直線での走りは安定感欠きスムーズさもなく、単純な比較として前走の方が良く見える。ちょっと評価するポイントが見当たらない。

・プラダリア

 一週前はCWで併せ馬の内側。6F83.5から終い11.3と好時計だが併せ馬には遅れ。まあ元々切れるタイプの馬ではないし、ここまで時計が出ているので気にしすぎる必要は無いが、追ってもあまり抵抗できずにおいて行かれてしまったのは少し気にはなる。
 最終追切は坂路で単走。53.2から終い12.6-12.4と綺麗な加速ラップ。前走が52.2から12.2-12.4と坂路早いラップ仕上げで結果が出ているので、坂路仕上げ自体は悪くないが、基本的にはCWでの仕上げが多めの馬。今回の時計に近いのは昨年の宝塚ぐらいなので、全体時計よりも綺麗なラップを刻んであっさり目の仕上げになったのは少し気にかかる。
 動き自体も完成度の高い走りで、推進力ある軽快な登坂。前走と見比べても遜色ないが、いい意味でも悪い意味でも大きく変わってきている感じはしないかなという印象。
 今回のメンバーで、前走並のパフォーマンスを出してどこまでか。

・べラジオオペラ

 最終追切はCWで2頭併せの内側。5F83.4から終い11.7-11.3とまずまずの時計ではあるが、最終追切の映像を見た印象としてはまだ上の状態が望めそうというのが第一感。
 グイッと首が下がって推進力が上がるタイミングがあるが、その一番いいバランスが長続きしない。一週前に早い時計で動かしている分最終追切はあっさりということでもあるのかもしれないが、一週前追切→最終追切で仕上がりが上がっている、キープされているという感じではなく、若干下がるかなというのが正直なところであり、ここからレース当日にピークを迎えるような上昇に期待しづらい。
 状態としては前走と同じか若干上くらいに納まりそうで、相手強化となる今回、実績あるコースに戻ることと短縮ローテな分でどこまでやれるか。人気になるのであれば、頭では狙いづらい。

・ミッキーゴージャス

 安田隆行厩舎解散により転厩初戦。前走は坂路加速ラップで仕上げたが今回は一週前最終共にCWで時計を出しており、調整過程は変化。転厩前でもCW仕上げで出走して勝っていることはあるが基本は前走含め坂路での仕上げが多く、CWで出走したとしても日曜には坂路で60秒を切るまずまずの時計を出しての坂路併用が多かった。今回坂路で早めの時計が15日を最後に無いというのは少し気になるところ。
 肝心の動きは良く、CW単走で楽な動き。4歳になって筋肉量も増しており前後のバランス良く素質の高さを感じさせる走り。一週前に併せ馬で終い鋭く伸ばして負荷をかけた分最終は単走だったが、かなりリラックスして動けており馬体の仕上がりも良く見せる。調教過程の変化は合っても能力は出せそうな仕上がりと映るが、その分前走から大きく上昇があるかと言われると微妙な感じがする。

・リカンカブール

 一週前はCWで併せ馬の内側。6F82.1から終い11.8、前の馬を追走してから直線で並びかけ、じっくり併せて最後は先着と好内容。そこから日曜に坂路で56.6から最終は坂路で52.5から12.7-12.5と好ラップ。前走が53.9から12.3-12.3だったところから終いは劣るが全体時計は詰めており好感。
 この早い時計でもしっかり併せて最後は促されたのに反応してしっかり先着の好内容。前走と比較しても、前走は割と最後強めに促して何とか減速せずにラップを維持していたが、今回は楽に走りながら最後に少し促してこの時計なので状態面でかなりの上積みに期待できそう。
 前走から一気に相手強化となる分人気は全くなさそうではあるが、調教の動きからは穴で期待しても面白いかもしれない。

・ルージュエヴァイユ

 一週前はCWで好時計、手前替えはややもたつく面合ったが替わってからは一気に加速して併せ馬を突き放す好内容ですでに上々の仕上がりに見える。そこから日曜に坂路で55.9から終い12.6を挟んで最終はCWで併せ馬。同厩のアスコリピチェーノと併せたがどちらかと言うとアスコリピチェーノの方が主役に見える追切内容だったのは気になる。コーナーではルージュエヴァイユを前において直線で並走して併せてから最後はアスコリピチェーノが先着。時計も出ているので気にする必要は無いのかもしれないが、G1に出るにあたっての仕上げの最終追切の内容としてはやや勝負気配に欠くような印象は受けてしまう。

・ローシャムパーク

 香港から帰ってきての初戦になるが、乗り込み入念で仕上げ順調、一週前はCWで併せ馬の内側で6F82.1から終い11.2と好時計。動きにもスケール感があり直線の伸びも良く既にまずまずの状態にありそう。そこから土曜に坂路で53.7から終い11.9とこれが最終追切でもおかしくなさそうな好時計を出してから更に最終でCW6F80.6から終い11.9-11.2の好時計。
 併せ馬の内側から抑えながらの追走、手前を替えるタイミングが早く少し逆手前になるタイミングはあったが全く問題にせず直線は抑えきれない手ごたえで伸びての先着。かなりいい状態にありそうで、昨年秋と比べても成長がありそう。5歳秋で競走馬として完成してきた。
 ただ、走りからは小回りコースよりは大きなコースで末脚が活かしやすい舞台ほうが良さそうで、今回の舞台でどこまでか、状態、能力で行けばメンバーでも上位の水準にあると思うが……扱いの難しい一頭。

【まとめ】

 出走予定各馬の追切を確認して特に目に付いたのはジオグリフ、それに続く形でステラヴェローチェとハーパー、穴目で面白そうだなと思ったのがリカンカブール。全体的に自身の能力は出せそうな好仕上がりで出走してきそうな印象ではあるものの、タスティエーラだけがちょっと良く見えなかったのが気になるところ。
 べラジオオペラも実績ある舞台でのG1挑戦にしては状態面がこれまでと比べて特段良さそうにも見えず、追切を見た時点で買いたいと思える4歳はハーパーのみ。
 個人的には4歳牡馬は世間で言われているような弱い世代とは思っていないのですが、今回は苦戦を強いられそうな予感がします。
 追切からは
A+ジオグリフ
Aステラヴェローチェ、ハーパー
A-リカンカブール、エピファニー、ローシャムパーク、スタニングローズ、プラダリア、べラジオオペラ
 が良く見えたところですかね。最終的な予想は枠でもかなり変わってくると思うので、枠順発表を楽しみにしたいと思います。

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