【R6.4.20】福島牝馬Sの予想

【先行馬が多いとペースが速くなりますか?】

 今回の福島牝馬Sを予想するにあたって、結構目にしたのが「先行馬が多くてペースが流れそうだから差し馬に展開が向きそう」という意見。
 これ、このレースに限らず結構見かけますが、常々本当か?と思っています。
 出走メンバーに先行馬が多いレースが結果的にハイペースになることはありますが、ハイペースになったレースを振り返った時に、その理由が「先行したい馬が多かったから」となることってあんまりないと思うんですよね。
 実際の例で考えてみると直近では先週の皐月賞。これはレースとしてはハイペースだったと思いますが、皐月賞がハイペースになった理由って「先行馬が多かったから」ではないですよね?スタート直後はシリウスコルトやジャンタルマンタルが一度はポジション争いで前に出たけれど、内からメイショウタバルがハナを譲らずに押して押して主張してきた結果、そのまま勢いがついてハイペースの逃げとなった。これが実際のレースの流れだと思います。これはまぁ確かに大雑把に見れば先行馬が多かったからとも言えなくはないですが、正確に言うならば「複数いる逃げ馬の内、スタート直後のスピードで劣る馬が強引にハナを主張したから」こうだと思います。これは結構他のレースでもハイペースの要因になりやすいものなので、逃げ馬が複数いるときはスタート直後のスピードで劣る方の馬がどれだけハナに固執するかを考えてみるとペースの予想がしやすい。(今回のレースに関係あるところだと愛知杯もこのパターンですね。)
 他の例だと、昨年の天皇賞秋。これはハイペースでしたが、これも「先行馬が多かった」という訳ではない。逃げたジャックドールやそれについて行ったガイアフォースが「イクイノックス相手に溜め逃げしても勝ち目が薄いからできるだけリードを作った状態で直線を向きたい」という意図をもって飛ばしたものの、イクイノックス及びイクイノックスをマークしたい各馬がついてきてしまった結果のハイペース。という理解でいいと思います。これは「単に逃げ馬が早いペースを刻んだからハイペースになった」これがハイペースになるパターンとして最も多いパターンだと思います。
 そして、もう一つ多いパターンとしては2番手につけた馬の動きによるハイペース。このパターンの印象から「先行馬が多い=ペースが流れる」という考えになりやすいと思いますが、これは「多い」からではなく番手につけた馬が逃げた馬よりも明確に能力上位だったり、追走スピードが速い場合に起きやすい。イメージとして分かりやすそうなのはマスクトディーヴァがワールドレコードを出したローズS。あれはスタートから人気薄のユリーシャがハナに立ってから単騎で行かせてもらえず後ろからマイルより短い距離からの延長だったリサリサやセーヌドゥレーヴが掛かり気味に上がってきた結果、息を入れるタイミングが無く走破時計がかなり早くなった。
 このパターンだと先行馬に息が入るタイミングが無く、基本的に差馬有利になりますが、このパターンになるかどうかに大きく影響するのは「番手の馬の振る舞い」です。番手の馬が逃げ馬のペースに合わせきれないほど早かったり、気性的に難しかったりする場合に起きることが多いと思います。
 まとめるとハイペースになるかどうかは。
①早い逃げ馬がいるかどうか
②複数逃げ馬がいるときはテンのスピードで劣る側がどこまでハナにこだわるか
③番手につけそうな馬が逃げ馬のペースに合わせて走ってくれそうかどうか
 この3点が重要になってくると考えます。

【じゃあ今回のレースはどうなの?】

 まず①早い逃げ馬がいるかどうか、ですがこれは「居ない」で良いでしょう。今回逃げはウインピクシスかラリュエルあたりが濃厚と思いますが、どちらもハイペースで飛ばすタイプではないと思います。ラリュエルは1600から延長の逃げ馬ではありますが、前走は上手くスローで逃げたのも勝因として大きく、ハイペースになった2走前はウインスノーライトとの兼ね合いの結果。ウインピクシスも前走の愛知杯はハイペースになっていますがあれは出負けたグランスラムアスクが強引に内から突っ張ってきたのが要因なので、自分のペースで逃げた時にハイペースにするタイプではない。
 次に②ですが、前述の2頭のテンのスピードは過去のレースを見るにそこまで差は無く、枠なりに行けばウインピクシスが前になると思いますが、それを外からラリュエル押して前を取ろうとするかと考えると鞍上が北村友一騎手ということを踏まえてもあまり強引にハナを取りに行くことは無いかなと思います。仮に押して前を取りに来たとしてもウインピクシスは唯一重賞で馬券内に好走したクイーンSは番手だったように、押し返してハイペースに持ち込むことは無いと思います。
 最後に③ですが、番手につけるのはハナを譲った馬なのでハイペースは無さそう。その後ろに着けそうなのもコスタボニータ、キミノナハマリア、フィールシンパシーあたりになる可能性が高いと思いますが、この3頭の鞍上はいずれもハイペースよりはスローの前残りを狙う傾向が強いですし、特に岩田望来騎手と横山琉人騎手は中山牝馬Sでハナと番手を確保しスローの逃げ切りを演出しています。番手から積極的に動いてペースを上げることはしないでしょう。
 ライトクオンタムが引っかかった場合やペイシャフラワーと永島騎手が無理な仕掛け方をしてきた場合などは流れる可能性はあがるかと思いますが、第1コーナーまでで隊列が落ち着いてしまえば、先行馬もかなり動きづらい展開になるのではないかなと思います。
 もちろん、奇襲的に逃げ先行の手に打ってでる馬がいたり、作戦決め打ちで仕掛けてくる馬がいれば流れるパターンもあり得ますが、今回の福島牝馬Sは基本的には先行馬が多いけれど案外流れが落ち着いて、前有利の競馬になる可能性が高いのではないかなと思います

【予想印】

◎8ウインピクシス
〇5トーセンローリエ
▲14フィールシンパシー
△10キミノナハマリア
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

◎ウインピクシス
 狙うスロー~ミドルでの前残りです。
 前走の愛知杯は内から強引にグランスラムアスクに主張された故にハイペースに巻き込まれる形で展開的にかなり損な役回りをさせられたので評価を下げる内容ではない。
 ターコイズSでは大きく負けたがマイルは適性外、その前の福島記念では牡馬に交じってかなりタフな展開を前目からインを上手く立ち回って4着と好走。実績的にも時計がかかる馬場コンディションでの小回りコースがベストという感じで今回の牝馬限定での福島1800はベストな条件と考えて良い。
 昨年の福島牝馬Sは13着と結果が出ていないが、人気薄のストゥーティがスローで逃げようとした番手につけるも早めに上がってきたストーリアやそれにつられる形で上がってきた各馬の影響でロングスパートを強いられる前に行った馬には不利な展開。この舞台に適性が無かったから敗れたというわけではない。
 今年はローテも良く、前走の愛知杯でハイペースかつ展開的に恵まれない競馬で大敗してから、前走比でペースが落ち着きそうな上にラチ沿いを通しながらの逃げが叶う可能性がそれなりに高そう。この馬からしたら時計が出やす過ぎた開幕週の小倉からBコース替わりとは言え3週目の福島に足元が変わるのもプラス。昨年の53㎏で逃げさせてもらえた中山牝馬からのローテとは全く違う。
 今回は調教の動きも良く、3か月しっかり休みを取った分のリフレッシュ効果もあってかいつも以上に伸びが良く、最終追切ではCWで軽快に終い10.8。かなりいい状態でレースに向かうことが出来そう。ある程度オッズが付きそうなこのタイミングで、頭から狙っていきたい。

〇トーセンローリエ
 穴だけど対抗に評価して期待したいのがトーセンローリエ。
 2歳の内に未勝利からアネモネSまで3連勝して出走権を獲得し桜花賞に挑戦したがその後は結果が出ず。
 桜花賞では大外枠からは流石に不利も大きく、押せ押せのローテや時計の出やすい馬場も向かずで大敗。
 クイーンSではまた大外枠に入ってしまい開幕序盤の札幌ではかなり不利。上手く内に入れて競馬をしたものの直線は進路も狭く、やや足を余しながらの6着。
 前走の京成杯AHではクッション値は低かったものの高速馬場と言っていいレベルで時計が出ていた中山でまたまた大外枠。重賞でも好走経験のある古馬に交じって積極的にポジションを取りに行ったが最後は時計負けもあったような感じで沈んで殿負け。
 近3走はいずれも結果が出ていないが、条件的にも厳しく、大きく評価を下げるような内容ではなかったかと思う。
 今回しっかりと休みをとって立て直し、調教では活気のある動きが出来ており状態はまずまずに見える。久々に内目の枠を取れたのも良く、福島1800という小回りでまずまず時計がかかるコースは適条件。
 過去のレース傾向を見ても父や母父にノーザンダンサー系を持っている馬は相性が良く、マイル以下の短い距離で実績を持っている馬の激走も目立つ。前に有利な展開になった時最後決め手比べになれば33秒台の上がり1位で勝利したことがあるという経験も活きてきそうで、ここまで人気が無いならば高めに評価して狙ってみたい。

▲フィールシンパシー
 外枠に入ってしまったのはマイナスではあるものの、前走はスムーズに外からでもポジションを取れているので、今回もスタートの反応の良さを活かして逃げ馬の後ろあたりに納まることが出来ればかなり面白い。
 距離的にも1800はギリギリかと思うが、前走が稍重とスタミナを要する馬場コンディションだったところから、同距離の良馬場に変わる分でこなせる可能性は上がりそう。
 展開的にも上手く前有利の展開になれば、足が溜まった状態での瞬発力ではメンバー上位であり、血統的にも福島コースは合いそう。
 調教もこれまでからパターンを変えてきており、土曜に坂路で51.7と好時計を出してから、火曜日にCWで最終追切で悪くない内容。この変化がいい方向に転べば上昇も期待できそう。
 展開利を期待してこの人気なら高めに評価。

△キミノナハマリア
 時計のかかる馬場でスタミナを要する展開がベスト。
 過去のレース傾向を見ても、大型馬の好走が目立っておりメンバー内でもグランベルナデットの次に馬体重のあるこの馬には適性向きそう。
 今回のメンバーだとそこまでテンが早いわけではないので、スタートから決め打ち気味にポジションを求めて出していく必要がある分、良いところに納まることが出来るかは不安であるものの、ウインピクシスを目標にしながら上がって行ける枠に入ることが出来たのはかなり良く、うまく好位に納まって、最後直線で馬券内に滑り込んでくるような競馬を期待したい。
 先行できそうな馬の中では横の比較で決め手もあるのが魅力か。

【無印の各馬】
(紐で抑えたい)
・コスタボニータ
 前有利想定なので抑えてはおくが流石にローテが厳しい感は否めない。
 特に愛知杯と中山牝馬Sはいずれもタフな競馬だったので、1月しかあかずに出てくる今回はダメージもありそうで、調教の動き的にも時計はまずまず出ているがどこか活気に欠けるように感じる。

・エリカヴィータ
 内枠からの立ち回りは上手いが、今回のメンバー構成、この脚質で内に入ってしまったのはあまり嬉しくない。ポジション争いで押し込まれてしまうとかなり厳しいが、もしスタートを決め手前目のポジションを確保できればチャンスあり。重賞勝ちがあるように地力は足りているので、ここまで人気が無いならば抑えておきたい。

・ラリュエル
 距離延長ローテでハナを取れなければ厳しいとは思うが、上手く番手で折り合って足を溜めながら直線に向ければチャンスあり。

(今回は軽視)
・ライトクオンタム
 流石にちょっと外すぎる。近走復調傾向であり、素質的にはここでも足りるとは思うが、脚質的にもこの枠からだとどうしても外々を回らざるを得ず、あまり馬券内に来るイメージが湧かない。

・グランベルナデット
 これまでの実績を見ても、時計が出る条件、スローの展開を先行、タフなロンスパに持ち込んで押切というのがベストという感じで今回はそことは少しずれる。
 先行馬が多いメンバー構成でそこまでスタートの早くないこの馬が大外というのも厳しく、昨年向こう正面で押し上げた結果最後まで持たせられなかった武史騎手が、別の馬で同じような競馬をするのも考えづらく、こちらもあまり好走のイメージが湧かない。

 基本的に前有利を想定しているので、ポジションが後ろになりそうと見えるこれまで名前を出していない各馬はバッサリ行きたいと思います。

【まとめ】

 ということで、今回の福島牝馬は展開決め打ち気味に前残り期待の馬券で行きたいと思います。
 馬券構成は
〇単勝 ウインピクシス(トーセンローリエも少々)
〇馬単・ワイド ウインピクシス-5.10.14
〇3連複 8-5.10.14-1.2.5.10.12.14
 こんな感じで行きたいと思います。
 どうですかね?流れますかね??私にはあまり流れそうには見えないのですが……ただこんなこと言いながら先週も皐月賞はあてが外れてハイペースになりましたからね……どうなるかはふたを開けてみなければ分かりませんが、配当にも期待できそうだし、私は割り切って前有利と予想して楽しみたいと思います!!逃げ切れ!ウインピクシス!!

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