『平家物語』に登場する女性(祇王)の話

アニメ『平家物語』が現在放映されているが、エピソード2で祇王が登場する。仏御前が落ち込んでいるから話に来るようにという場面。

平家物語は軍記物語ではあるが、男の物語ばかりではない。武将に劣らず、印象的な女性の物語も多く取り上げられている。ここで描かれる白拍子・祇王は「諸行無常・盛者必衰」をまさに体現しているような女性。清盛の寵愛を受けていたにもかかわらず、新たに登場した仏御前に愛情が移ると、あっさり捨てられてしまう。そして、清盛の屋敷を追い出される。最終的に祇王は母、妹とともに出家して嵯峨の庵で念仏の生活に入る。仏御前ものちに世の無常をさとり、清盛の屋敷を出て祇王親子とともに修行に励んだとされている。数年前に、勤務校の先生と嵯峨にある祇王寺に行ったことがあるが、正直あんまり覚えていない。

私は、『平家物語』に登場する女性たちの話が好きだ。以前、この祇王の話を授業で扱ったことがあるが、生徒たちにもなかなか評判がよかったことを記憶してる。
特に、こちらの本は生徒に勧めたい本である。

授業で扱った部分は、こちら。本文と現代語訳を添付する。よければ読んでみて欲しい。

祇王が清盛の屋敷を出ていく場面で書きつけた和歌のインパクトがすごい。

萌えいづるも かるるも同じ 野辺の草 いづれかあきに あはで はつべき

(春に草木が芽をふくように、仏御前が清盛に愛され栄えようとするの
も、私が捨てられるのも、しょせんは同じ野辺の草-白拍子ーなのだ。どれも秋になって果てるように、誰が清盛にあきられないで終ることがあろうか)

「祇王」『平家物語』

「かる」や「あき」などの掛詞を巧みに用いている。そして、あなたも結局は私と同じなのよ、というメッセージ。技巧的でありながら強い鋭いメッセージ。この和歌は何だか折に触れて思い出してしまう。
アニメの『平家物語』では、仏御前を元気づけるために祇王が呼ばれるところからはじまる。ぜひ、時間があったらその前から読んで欲しい。

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