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HEY BOY GOD LUCK

私が最も好きなバンド、バズマザーズ。
世の中に牙を向いていたり、卑屈っぽかったり、生きづらいと感じる人に強く刺さる曲が多く存在する。
彼らの曲は背中を押してくれるのではなく
笑ってくれるのだ。生きづらいと感じる私たちを。
そんなバズマザーズの曲の中でもとくに私が一番好きな「HEY BOY GOD LUCK」について紹介させて頂こうと思う。

まず歌詞がこちら。


切り刻めアイロニーで 馴れ合いの甘露煮を
自分勝手ばら撒いて 孤独になって卑屈になるべし
その劣情をホルマリンに 漬けて置いておくといい
蒙古斑が治る頃に 唄になるぜ 武器になるぜ

鼓膜にはメロディー ブッ刺したまんま巳の刻
あらぬ空想揺蕩わす 君にとって世界は無音さ
その中央でブランチを摂る 出目金の顔を見たかい?
それに迎合して笑う 排泄物の顔を見たかい?

さぁ、千の痛みを抱いて翔べ
想い付くまんま駆け抜けて行けよ
その足跡は消えるけど、
その方がスマートだって想うぜ

流星群を捕食しろ
ヘルメスの斧は全て欲しがれ
君の名前は消えるけど、
その方がキュートだって想うぜ

HEY BOY GOD LUCK BE ROCK MONSTER!


こちらの歌詞を少しずつ区切りながら私なりの解釈を綴っていく。

切り刻めアイロニーで 馴れ合いの甘露煮を
自分勝手ばら撒いて 孤独になって卑屈になるべし

アイロニーとは卑屈という意味。
甘露煮は文字通り甘く煮詰める調理法。

世の中の甘く浅く馴れ合う奴らを卑屈で自分の好きなように切り刻んでその結果孤独になって卑屈になればいいさ。

序盤でも話した通り彼らの曲は世の中に対して卑屈に感じてる生きづらさを持つ人によく刺さる。
そんな私たちの心情を、「なるべし」と言い卑屈になることを否定しないでいてくれている。
アイロニーと甘露煮で韻を踏むのも耳にスっとはいって来やすい。


その劣情をホルマリンに付けて置いておくといい
蒙古斑が治る頃に歌になるぜ武器になるぜ


ホルマリンは長期保存が可能な液体
蒙古斑は子どもに見られる青あざ
ここでいう蒙古斑は実際のというより10代頃の内面的な幼さ、心の未熟さを表しているのではないか。

自分の嫌な性欲の部分をホルマリンに付けておく。
蒙古斑が治る頃つまり子どものような気持ちを終え、自分の劣情も許せるような大人になった時それは歌になって武器にもなるから、そうなるまで劣情は捨てずに取っておけ。

10代頃の性欲なんて人によっては見れたものではなくすぐに忘れたいものかもしれない。
だけどそれが歌という武器になるから忘れるな、捨てるなと言ってくれている。


鼓膜にはメロディーブッ刺したまんま巳の刻
あらぬ空想揺蕩わす君にとって世界は無音さ

鼓膜にメロディーを刺すはイヤホンをつけている
巳の刻は午前10時頃

みんな1度は「もし世界が滅んだら...」「自分以外の人間みんないなくなれば...」なんてあらぬ空想に耽ったことがあるのでは無いだろうか。
イヤホンをつけたままそんな空想を揺蕩わしてる
君に世界の日常の音は聞こえない。

その中央でブランチを摂る出目金の顔を見たかい?
それに迎合して笑う排泄物の顔を見たかい?

出目金は金魚のこと
迎合とは自分の意志を曲げてまで相手に気にいられようと意見を同調すること
このように自分の意見を持たず相手の意見に引っ付いていることを金魚のフンという。

出目金も金魚の種類だが、目がぎょろりと出ており少し不気味な見た目をしており嫌だなと感じる人も多いのではないか。
それをこの歌詞ではさも不細工な顔のように
歌っている。
呑気にブランチを取る不細工な奴と
そんな奴の金魚のフンの顔みたかよ?
とバカにするような言い方。


さぁ、千の痛みを抱いて飛べ
思いつくまんま駆け抜けて行けよ
その足跡は消えるけど
その方がスマートだって想うぜ


千程もある心や体の痛みを思いつくままに歌にして駆け抜けろ。ゆっくり踏みしめる訳じゃないから足跡は残らないけどその方がスマートだと「想う」

「思う」じゃなくて「想う」なのが世間一般からしたら足跡が残るくらい踏みしめた方がいいかもだけど俺はそんな生き方くらいがいいと思うっていう優しい気持ちが寄り添ってくれてる。


流星群を捕食しろヘルメスの斧は全て欲しがれ
君の名前は消えるけどその方がキュートだって想うぜ

ヘルメスの斧はイソップ童話の金の斧のこと。
これは欲張らず本当のことを言えた人が得をするお話。

流星群は1個1個流れ星に願いを言うんじゃなくて捕食するくらい貪欲に。
金の斧だって本当に落とした斧だけでなく
全て欲しいと言うくらい貪欲に。
そんなことしたって功績にはならず名を残せなんかしないけどそれだって可愛いじゃないか。


HEY BOY GOD LUCK BE ROCK MONSTER


少年。ロックモンスターになれよ。
幸運を祈るぜ。

直訳するとこんな意味。
この英文に全てが詰まってるほど
端的かつ暖かい文。


世の中全てが恨めしくなったり何も無いのに辛くなったりすることも生きていればそりゃあるだろう。そんな時頑張れなんて言われたところで卑屈な私達は「うるせぇよ」としか思えないんじゃないか?

でもこの曲はそうじゃない。卑屈になったっていいさ。むしろそれが武器になるさ。なんて根拠の無いことをさらりと言ってくれる。
それでも「なんだよ」とは思うものの少し心が軽くなるんじゃないだろうか?

「卑屈で小心者の自分に幸あれ」なんてくらいに思えれば充分だろう。



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