お姫様ごっこには飽きたので、サブスク彼氏を3社同時利用してみた #テレ東ドラマシナリオ


■ ざっくり言うと

サブスク彼氏常連のツムギ。
お姫様ごっこに飽きたツムギは3社のサブスク彼氏を同時利用してみることに。
3人同時に来て修羅場っぽい展開になったところまではツムギの予想通りだったものの、
それぞれのサブスク彼氏が「自分が一番だ」をアピールするために、ツムギとのこっ恥ずかしい過去を自慢し始めツムギは顔が真っ赤に。
おまけに、リアル彼氏がサブスク彼女を連れてやって来ちゃったから、現場はもう……。
シチュエーション大渋滞系のドタバタコメディ。


■ 主な登場人物は

ツムギ(30代前半) サブスク彼氏のヘビーユーザー

ショウくん(20代前半) カレシアンリミテッド社のサブスク彼氏(王子様彼氏)
ハルトちゃん(10代後半) スポスポンティカレシ社のサブスク彼氏(弟くん彼氏)
アツシ(30代前半)プレイオンカレシ社のサブスク彼氏(オラオラ系彼氏)

カズヒロ(30代前半)リアル彼氏
ツキコ(10代後半)リアル彼氏のサブスク彼女

(※社名に重要な意味はありません、はい。)


■ くわしく


「シンデレラはそろそろカボチャの馬車に乗る時間でしょ」

深夜23時59分、ツムギはサブスク彼氏のショウくんに肩を抱かれていた。

「ショウくん、キス」
「ダメだよ。そんなことしたら魔法が解けちゃうよ」
「お願い。1回だけでいいから」
「僕はワガママなお姫様は嫌いだな。おやすみ、マイリトルプリンセス」

と、そのまま帰ってしまうショウくん。なんならダッシュで。

「ちっ」聞こえないように舌打ちするツムギ。


だけどこれはツムギの逆ギレである。
ツムギはナイトタイムレギュラー会員(平日21時~23時59分限定だ)だったし、キスするためにはキスオプションを付けるか、プライム会員になる必要があった。
「萎えるわー。マジ萎える」
ブーたれながら駅へと向かうツムギ。



別の日の深夜23時59分。

「ハルトちゃん、お姉ちゃんがお家まで送っていってあげようか」
「大丈夫。ぼくおっきいから、一人で帰れるもん」
「そっか、じゃあお姉ちゃんとキスしてみる?」
「僕まだ子供だもん。またね、ツムギお姉ちゃん」

と、そのまま帰ってしまうハルトくん。なんならダッシュで。

「な~にが子供だ、夜中まで出歩いてて」自販機を蹴り飛ばすツムギ。
「痛ってー」

ブーたれながら駅へと向かうツムギ。


だけどこれはツムギの逆ギレである。
ツムギはナイトタイムレギュラー会(以下略……)



また別の日の深夜23時59分。

「ねえ、アツシ。キスしよう?」
「言ってるだろ。俺は自分からじゃねえと、キスしねえんだって。いい加減分かれよ。じゃあな」

と、そのまま帰ってしまうアツシ。なんならダッシュで。

「ちっ、プライベートは性欲モンスターのくせに」
ブーたれながら駅へと向かうツムギ。

だけどこれはツムギの逆ギレである。
ツム(以下略……)



そして別の日のお昼。

「どいつもこいつもワンパターンだな」

3枚の会員カードを手で弄んでいるツムギ。

そう、ツムギはサブスク彼氏のヘビーユーザーだった。それも3社で。
基本的なサービス範囲として、ほとんどのサブスク彼氏サービスはデートまでで、キスとか、その先とかには別料金が必要だった。

そういう濃厚サービスよりも、気分に合わせてカレシを連れ回したい、ツムギはそういう考えだったけど、
だいたいのサブスク彼氏サービスは、1か月1人までだったし(ただし使い放題)、
別のカレシに乗り換えるには、別途事務手数料がかかったり、いろいろ面倒だったのだ。

というわけで、ツムギは必然的に3社に月額課金していた。

「おっ!」なにかひらめいたツムギ。

とっても悪代官的な笑いを浮かべている。



そして夜。
都内のバーにやってきたツムギ。
ショウくんにエスコートされている。
その振る舞いは正に王子様()で。

「美しい君と、美しい夜に、カンパ……」
とグラスを合わせかけたその瞬間……

「お姉ちゃーん。待ったー?」勢い良く駆け込んでくるハルトちゃん。
「あ……」顔を見合わせて固まるショウくんとハルトちゃん。

そしてさらに……、
「こんなとこに俺を呼び出してんじゃねーよ」言いながら入ってくるアツシ。

3人の男性に囲まれて、満足気なツムギ。
呆気にとられている3人のサブスク彼氏たち。
「さ、せいぜい私を取り合ってちょうだい」とかなんとか高らかに宣言して、酒を呷る。


ところが、状況が飲み込めてきた3人は、
「どうもどうも……」と名刺交換を始める。
そして、顧客の満足のさせ方とか、体を求める悪質顧客のかわし方とか、マージン率とか、勝手に情報交換会を始めてしまう。

「ちょっと待ちなさいっ!」
声を上げるツムギ。
「なんでもっとバトルしないのよっ!」憤って声を張り上げる。

すると逆に「お姉ちゃん。みんな仲良くだよ。ねっ♡」とハルトちゃんになだめられてしまう。
「な~にが仲良くよ、ふざけんじゃないわよ」

そして、ツムギは、1番になった男性との契約を上級会員に格上げ、残りの2人の課金を打ち切ると言い出す。

「それは困ります」的な感じでバトルを始める3人。
「よしよし」と、3人のバトルを肴に再び酒をのみ始めるツムギ。


そこにやってきたリアル彼氏「カズヒロ」。
カズヒロもまたサブスク彼女のツキコを従えていた。

「あっ、やべっ」
「ちょっとどーゆーことっ!」

自分のことを棚に上げて、カズヒロに詰め寄るツムギ、カズヒロ大ピンチ!……と思われたが、
佳境を迎えた男性3人のバトルは「俺が一番だエピソード大披露大会」の様相を呈してきた。

「リトルプリンセスとの食事は「はい、あーん♡」がデフォだから」とショウくん。
「お姉ちゃんってね、僕のお口についたご飯粒、食べてくれるんだよ」とハルトちゃん。
「コイツ、俺になじられると、ウットリした目するんだぜ」とアツシ。

「ふーん、へぇー、ツムギがねぇー……」ニタニタした目で男性3人の会話に加わるカズヒロ。
「もうやめてーっ!みんな上級会員にしてあげるからっ!」


こうして、サブスク彼氏たちとツムギの楽しい夜は更けてゆくのであった(ただし23時59分までですけどね)。

                             (おわり)




■ 今回使用したテーマは

クマキヒロシさん作の
サブスク彼氏


■ 最後に

こんにちは、ひとつもです。

6本投稿できることを目標にがんばってます。
これはそのうちの 4本目です。

ひとつでも、これ好き、って思ってもらえるストーリーがあったらいいなって思います。

台本の本文は書けたら書きます。


それはもう、とてもとても大切に使わせていただきます。