図示が分かりやすいとは限らない

先日何かの行政資料を見ていて、そこで図が使われていた。図を使ったほうが分かりやすいと思っているんだろうけど、すごく分かりにくかった。

一般的に「図示は分かりやすい」と言われている。でも、図というのは描いた本人以外に正しく伝えるのが難しいケースが多い。そうとう用心深く "図以外で" 説明しないと、図を読み解くのは難しい。これは図だけでなく、イラストだろうとグラフだろうと同じだ。下手な描き手によっては逆に混乱を招く。

書籍によっては、改めて「図解〜」と称して図解付きの書籍が出版されることがある。でも、もとの文章メインの書籍のほうが分かりやすい。

最悪なのはマインドマップだ。マインドマップをプレゼンの資料としてそのまま使う人がいるが、マインドマップは連想を記述していくツールなので、そんな人の頭の中のゴチャゴチャを見せられても分かりにくいだけだ。

特に行政資料なら、きちんと文章をメインとして提示することで言語化して伝えるほうが確実だ。文章というのは必然的に前から順番に読み解いていくしかない。そういうシークエンシャルな情報伝達は解釈の余地が少ないぶん、誤解なく伝わりやすい。

そして分かりにくい文章というのはすぐにバレる。分かりにくいと指摘すればいいだけだ。逆に図を描く本人が厄介なのは、ドヤ顔で「これで分かるだろ」「分からないやつが悪い」という態度でいることだ。図示至上主義だとそういうメンタリティーになる。

最近はドキュメンテーションを作成するツール(documentation generator)が増えていて、テンプレート化されている。そういうツールを使えば簡単に見やすい文書ができる。最近オンラインのコンピューター系の技術文書ではそういうものが増えた。さっと検索しただけでも以下のようなツールがあった。

MkDocs
https://www.mkdocs.org/

Welcome — Sphinx documentation
https://www.sphinx-doc.org/en/master/

頭を使うなら極力シンプルにすべきである。あくまで文章の簡易的な補助として使う。そもそも図は自分の理解のためだけ描くのがいい(マインドマップのように)。

図に頼ると怠けてしまう。僕はあえて文章を書くときは図を使わず、文章だけで勝負するように練習している。

「図示すると分かりやすい」というのは多くの人が持っている盲点だとおもう。何でもかんでも図示すればいいわけではない。


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