見出し画像

MAZDA3(SKYACTIV-X)

MAZDA3のエンジンラインアップは
・1500cc 2000ccのガソリンエンジン
・1800ccのディーゼルエンジン
・2000ccのSKYACTIV-X
があります。
試乗した中で感じた結論としてのおすすめのエンジンは、
1500ccのエンジンとSKYACTIV-Xエンジンなのですが、

今回はMAZDA3の最大の特徴でもあるSKYACTIV-Xにフォーカスしたいと思います。
SKYACTIV-Xの仕組みはSPCCI(ガソリン圧縮着火)が採用されているところがポイントです。
世界中の自動車メーカーが実現しようと研究を繰り返したが、マツダが商用化を実現しました。
HCCI(混合圧縮着火)がベースなのですがこれに火花点火させることで実現したといわれています。
SPCCIのおかげで、全域でリーンバーン(希薄燃焼)が行え、下から上までの回転域でトルクとパワーがスムーズに出ます。
よく言われているのが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いとこ取りといわれていますが、
ディーゼルエンジンのトルク感が全域でスムーズにアクセルレスポンスに呼応して反応していきます。
マツダの公式から抜粋した図を用いると以下のような仕組みです。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

このエンジンは2020年11月のアップデートで
最大トルクが向上(224Nm→240Nm)し、最高出力も132kW(180PS)→140kW(190PS))へと向上しています。
しかもこのアップデートはアップデート前の車も対象となっています。
マツダは国土交通省と粘り強く説明を重ねた結果だと思いますが、今までの日本車には考えられないアップデートを
車検証の変更なしに加えているところは凄いと思います。

価格は決して安くはないです。
ガソリンエンジン(2000cc)と比べてしまうと70万円の差が出ます。
カタログを広げ価格とトルク・出力だけを見てしまうとこの価格差は埋めるのが難しいと思います。もっとスコープを広げてあげる必要があります。
70万円の中にはエンジン部分だけ見てもスーパーチャージャーとマイルドハイブリッドが搭載されていることも加味しなければなりません。

SKYACTIV-Xにはあまり表にでていない細かい差別化があります。
MAZDA3には走行時の空気抵抗低減とエンジンルーム内の熱コントロールをするためにフロントグリル内にエアシャッターを装備しています。
これにSKYACTIV-Xではエアシャッターの開閉を緻密に制御されており、
開閉をすると揚力が発生しやすくなりますが、開閉状態に合わせてリフト変化を調整するために、
GVC(Gベクタリングコントロール)を協調制御するようにしています。AWDになるとこれがGVC+となり4輪全て制御対象となり、TURANZAタイヤとの組み合わせにより足回りの成果を体験できます。

さらにSKYACTIV-XはEGRの予測精度が上がったため、より緻密にトルクの制御を行なうことができるようになっており、
そのおかげで、車両運動制御の能力を引き上げることができるようになっています。
ブレーキは回生ブレーキの関係で、初期制動の効きの甘さに最初は戸惑いましたが、しっかりと奥まで踏めば効きますし、特性を理解すればコントロール幅の広いブレーキだと思います。

これらが実際に試乗でどこまで体験できるか・・・だと思いますが、スーパーチャージャーとマイルドハイブリッドを除けば、他は積み上げても僅かな差であることは間違いありません。
しかしながら、車のアジに拘る方であれば試乗し、アクセルを踏んだ瞬間に良さがわかると思います。
1言で表現すると、「ドライバーのリクエストと車のレスポンスが1対1の関係になれる」です。
ガソリンエンジンだと、踏んでワンテンポくらい遅れて、少しずつトルクがでてその後、期待値に到達します。
ディーゼルエンジンは、踏んでワンテンポちょいくらい遅れて、一気に期待値を少し超える形で到達します。
SKYACTIV-Xは踏みこみに応じてスムーズなレスポンスがあり、あの標識まで、これくらいの感覚で到達したいな・・・という想いにリンクするかのように
一体感あるレスポンスが感じられます。人馬一体と言えばその通りですね。
これは言葉では表現が難しく、試乗して人それぞれの感じ方があるかと思いますが、
今までの内燃エンジンには感じたことがない気持ちの良い体験ができると思います。
この車とエンジンに少しでも興味がある方は、カタログと価格だけで判断してはいけません。もったいないです。興味が少しでもある方は必ず試乗をしてみてください。

ディーゼルエンジンのような、ドロドロした音がかすかに聞こえてきますが、
遮音制御が高いため嫌な感じはしません。Xのエンジンはフルカプセル化されていて、熱と音を同時にコントロールされています。
ステアリングの振動もほぼなく、アクセルを踏み込んでいくと、乾いたエンジン音が車内に入り込んできます。
年次改良の影響も出ているのかもしれませんが、恐らくここはあえて入れているのだと思います。気持ち良いサウンドに私は感じました。

このエンジン搭載車は日本では決して数が出るものではないでしょう。先に触れたように、価格やトルク・出力だけでみてしまうと高いと判断されてしまうからです。海外だとガソリンエンジンモデルにはマイルドハイブリッドが搭載されているので、価格差が30万~40万ともいわれているので、SKYACTIV-Xモデルが売れているようですが、日本だと70万円の壁が立ちはだかってきます。
乗れば違いがわかる人に、価値を感じてくれる人に買ってくれれば良いと言わんばかりの強気の価格設定てす。積極的なプロモーション活動もされていません。よって、極端な値下げは無く車の価値を悪戯に下げる気がそもそも無いです。
しかしながら、このエンジンの車とリンクする気持ちよさの積み重ねは、長く乗れば乗るほどに差が出てくると私は思います。私はその気持ち良さに価値を感じます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?