ついにリリース。「コスト削減をゴールにしない」逆張りの店内モバイルオーダー、トレタO/Xとはどんなサービスなのか
トレタ代表の中村です。
これまでも断片的に情報が出ていましたが、弊社の新サービス「トレタO/X」(トレタ オーエックス)が、2021年7月26日にようやく正式リリースとなりました。事業化の検討から足掛け2年半。コロナ禍をきっかけとして生まれ変わった新しいトレタを象徴する、期待の新サービスです。
トレタO/Xはコロナ禍の逆境から生まれました
コロナ禍で、僕らトレタも深刻な危機に直面しました。創業以来、僕らは飲食店の皆さんと命運をともにする覚悟を持ち続けてきたつもりでしたが、その覚悟が本物かどうかを問われる一年でした。
そんな中で僕が感じていたのはただひたすら、「無力感」です。
予約を便利にするだけでは、コロナ禍で経営危機のさなかにある飲食店に対し、何の力になることもできないという無力感。同時に、予約事業だけでは、コロナ後に待ち受ける飲食店経営のパラダイムシフトに何も貢献もできないという危機感も持ちました。
そこからトレタは一気に「予約一本足」の事業モデルから脱却して、のべ10にもおよぶ新規事業の同時立ち上げに挑戦することになります。トレタO/Xもその一つとして生まれ、事業化を断念しクローズとなる新規事業もある中で、お客さまから強い支持と共感をいただき、立ち上がってきたのです。
飲食店経営者が求める店内モバイルオーダー
トレタO/Xは「店内モバイルオーダー」あるいは「セルフオーダー」に分類されるサービスです。飲食店内で、お客さま自身がスマホを利用してオーダーできるツールですね。
中国ではコロナ前からかなり浸透していましたが、日本では普及が進んでいませんでした。「おもてなし」重視の文化から、店員さんとお客さまとのFace to Faceの接点が聖域化し、この接点をITに置き換えることに抵抗を持つ人が多かったためでしょう。(僕はこれを『おもてなしの呪い』と呼んでいます)
ところがコロナによって非接触が求められるようになると一気にニーズが顕在化。それを狙って数多くのスタートアップが参入しました。少なくとも10は下らない、もしかすると20以上の類似サービスがしのぎを削っている世界です。
そんなレッドオーシャンに、なぜトレタも参入するのか?
答えはシンプルです。「飲食店経営者としての自分自身が『使いたい』と思える店内モバイルオーダーが全く存在しないから」でした。これほどたくさんのサービスが誕生しながら、どのサービスも飲食店経営者が真に必要とするものを理解しておらず、大きな誤解のもとにサービスが開発・提供されていると感じたのです。(今になって振り返ると、この事業化の動機は予約台帳立ち上げのときと全く同じですね)
ではその誤解とはなんでしょう。
誤解1:オーダーテイクは「伝達作業」という思い違い
最初の誤解は、オーダー業務についてです。多くの店内モバイルオーダーは、オーダー業務を「お客さまの注文を正確にキッチンに伝える」、つまり伝達作業であるという前提で作られています。
正確に伝達できればよいのですから、スタッフを介さずにお客さま自身がキッチンにオーダーできれば、当然手間を削減できます。こうしたコンセプトに基づいてサービスを作ると、必然的にスタッフ向けの業務用オーダー端末をそのままお客さま用に改良したような注文画面が作られることになります。
ところが、このコンセプトには大切な視点が抜け落ちているのです。
そもそも、よく考えてほしいのですが、飲食店での体験の質を決めるのは「どんな料理/ドリンクを注文したか」です。何を選んだか次第で、そのお客さまの満足度は大きく変わります。自分好みのお料理を注文できれば、そのお客さまは間違いなく満足して最高のひとときを過ごすことができるでしょう。その逆に、好みでないお料理を注文してしまったら…
つまり、オーダーテイク業務の本質は「伝達」ではないのです。大切なのは、お客さまが料理を選ぶ際のお手伝いをすること。つまりお客さまの「意思決定支援」なのです。迷っているお客さまにアドバイスをすること。お店のこだわりやオススメを伝え、お客さまが自分好みのお料理を選ぶお手伝いをすることなのです。
飲食店の皆さんが必死に料理を勉強してオーダーテイクをしているのだって、単なる伝達係としてではなく、お店の代表としてお客さまが好みのお料理を見つけるお手伝いをし、満足していただくためなのです。
このように整理したら、既存の店内モバイルオーダーでは力不足だと言わざるを得ません。
迷っているお客様に対して、お店のオススメを伝え、お客さまが自分好みのお料理を見つけてもらうために、店内モバイルオーダーはどうあるべきか。
トレタO/Xは、僕らがこれを必死に考え続けた一つの答えです。
誤解2:メニューブックとは商品の一覧という思い違い
次の誤解は「メニューブックとはなにか」です。
メニューブックとは、一見すると「商品の一覧」です。実際、多くの店内モバイルオーダーが、そういう前提で開発されています。見つけやすいように料理をジャンル分けしてあって、料理が並んだシンプルな一覧画面がある。せっかくモバイルで使うんだから、画像があったほうが見つけやすいよね?じゃあ料理画像も表示できるようにしようか!みたいな形でしょうか。
しかし、これが大きな誤解です。
飲食店にとってのメニューブックとは、単なる商品の一覧ではないのです。
メニューブックとは、飲食店にとって唯一にして最大の「メディア」であり、「メッセージ」なのです。
これまでの20年以上にわたる激しい競争の間に、飲食店はこだわりをどんどん高度化させ、進化してきました。そのこだわりはどんどんハイコンテクスト化し、もはや店側の人が伝えきれないくらいのレベルになっています。メニューブックは、それらをお客さまに伝えるための数少ない手段なのです。
実際、僕の知る飲食店経営者の多くが、メニューブックに対して尋常でないこだわりを持っています。何店舗も経営していても「メニューブックだけは自分が手で書く」と決めている経営者もいます。それは、メニューブックこそが自分に代わってお客さまに想いを届けてくれるメディアだと理解しているからだし、メニューブックが変われば売上が変わることを身を持って知っているからでしょう。
実際、僕も現場に出ていた頃は、ほぼ毎日自分でメニューを手書きで書き換えていました。仲間からは『そんなに頻繁に書き換えるのは異常だ』と言われたこともありますが、でも僕はそのくらいメニューにこだわるべきだと確信していました。
だから、店内モバイルオーダーは「メディア」として定義され、紙メニューとは全く異なるものとして開発されなければなりません。単なる料理の一覧でなく、誰よりも雄弁にお店の魅力を語ってくれる「第三のスタッフ」として。
そういう目線で見ると、既存の店内モバイルオーダーがいかに物足りないか、わかってもらえるのではないでしょうか。だから僕らは、飲食店の想いやこだわりを伝えられる店内モバイルオーダーを作ろうと考えました。
誤解3:ツールを導入できたら万事OKという思い違い
店内モバイルオーダーの開発検討のため、僕らはさまざまな導入店舗を視察しました。その際に頻繁に目にした問題があります。
例えば・・・
◆メニューデータがきちんと管理できておらず、写真が空欄だったり、分類がごちゃごちゃに混乱して料理を選びづらくなっている。そもそもオススメはなに?というレベルでわからない
◆メニューを見ても、全然美味しそうに見えない。全く食欲が刺激されないので、見ていてもワクワクしてこない
◆「注文は代表者のスマホ一台からお願いします」など、顧客の利便性を損なう謎の制約が多すぎて、どう使ったらよいか不安になる
◆導入が中途半端なので、スマホのオーダーと店員の口頭注文が混在。現場のオペレーションがむしろ複雑になっている。店員さんも混乱、お客さまもどうしたらいいか迷ってしまう
◆スマホからオーダーできるようになっているのはよいが、単に注文を取る業務が減っただけで、スタッフさんがブラブラしている
◆せっかくスマホでオーダーしたのに、会計は従来と変わらない対面決済のままなので、会計待ちが発生してがっかり
なぜこんな事が起きているのでしょう。理由は「運用の軽視」のひとことに尽きます。
原因は、ツールを提供するベンダー側の都合と、利用する飲食店側の双方にあります。
ベンダー側はサービスの収益性を担保するため、可能な限りサポートコストを抑えたい事情があります。一方で飲食店側は、ツールを導入すれば上手くいくと信じているので、導入できた時点で安心してしまいます。
こうして、店内セルフオーダーは「面倒を見る人」がどこにもいない状態で運用されていくことになります。面倒を見る人がいなければ、放置された空き家と同じです。雑草が伸び、窓が割れ、どんどん荒れていってしまうのは避けられないでしょう。
デジタルツールの導入を成功させるには、業務全体の見直しと再設計が必要です。さらに、きめ細かい丁寧な運用も求められます。ツールの導入はゴールではなく、あくまでもスタートなのです。
もちろん、運用には手間やコストが掛かります。だからといって導入後の「放置プレイ」が多発し、運用に失敗する飲食店が生産され続ける限り、外食産業のテクノロジー不信はいつまでも続いてしまうでしょう。
現場オペレーションを変えるという、経営インパクトの大きな店内モバイルオーダーだからこそ、重視すべきは「導入のあと」です。ただツールを入れただけでは現場の働き方は変わりません。ブラブラするスタッフを量産し、デジタルメニューはどんどん劣化していくだけで終わります。
ツール導入を前提に業務オペレーションを見直し、従業員のトレーニングをアップデートし、お店のありようを根本から作り替えること。もちろん、現場には変化を拒むスタッフさんもいるでしょう。それでもやりきらねばなりません。腹をくくってこれに取り組もうとしている店内モバイルオーダーの会社が存在しないのであれば、僕らはそれをやりきる唯一の会社になろうと決めました。
理想から逆算して作られた店内モバイルオーダー
僕らがトレタO/Xで目指したのは、以上のような課題を全て解決し、「理想の店内モバイルオーダー」を形にすることです。トレタO/Xを市場でいかに効率よく展開できるかとか、事業をどう拡大させるかは二の次。そんな僕らの都合ではなく、とにかく飲食店の理想に忠実であることだけを追い求めてきました。そして気づいてみたら、数多あるモバイルオーダーの中でも真逆のコンセプトを持つサービスができあがりました。
コンセプトは「オーダー体験」。トレタO/Xとは、そのコンセプトをそのままサービス名に込めた名称 (Order eXperienceの略)です。
結果、僕らは業務効率化をゴールに置かない唯一の店内モバイルオーダーになりました。トレタO/Xは、徹底してお客さまの体験価値の向上を追い続けます。業務効率化はもちろん実現しますが、それはあくまでも通過点に過ぎません。
トレタO/Xの3つの特長
特長1:メディアとして徹底的に磨き込む
僕らが目指した理想のメニューは「メディア」であり、オーダーという行為を「作業」から「体験」に高めることのできるツール。お客さまとお料理の幸せな出会いを最高に演出できるメニューです。
だから、徹底的にクリエイティブに力を入れ、リッチなメニューを目指しています。バックエンドや基盤は共通化してSaaSらしく効率化。店舗を横断したノウハウ共有を容易にしながら、フロントは徹底的に自由度を高め、ウェブでもネイティブでも、極めて自由にデザインできるアーキテクチャにしています。
その上で、内外のデザイナーさんやエンジニアさんたちのクリエイティビティを最大限引き出しながら、見て触ってワクワクできるデジタルメニューを実現しています。
料理ひとつひとつに込められたこだわりや世界観をきちんと伝えられる圧倒的な情報量。同時にそれらをわかりやすく整理し、写真・テキスト・動画まで駆使して、料理の魅力を余すところなく伝えられる表現力。必要とあらばコピーライターを投入して料理の詳細を取材して説明文を書き起こしたり、写真家や動画クリエイターを起用して写真や動画も撮り下ろします。
フロントだけを見たら、まるで飲食店が自社でオリジナル開発したかのように見えるほどの表現力。もちろん、飲食店ごとに異なるメニュー構成やオペレーションにも柔軟に対応可能ですし、必要とあらば、見た目だけでなく機能だって新たに開発してご提供することも可能です。
飲食店は差別化が命であり、模倣を徹底的に拒みます。それぞれに唯一無二の世界観や個性があるのですから、それを最大限に活かすことのできる、唯一の店内モバイルオーダーを実現しました。
特長2:シェアを追わない
そのようにカスタマイズ性の高いサービスにする以上、大量生産はできません。それに加え、トレタO/X導入店舗での運用を成功させ、サクセスを最大化するためにも、きめ細かいサポートやお手伝いが欠かせません。手離れの良さを追求していては、理想にはたどり着けないのです。
だからトレタO/Xは、シェアを追わないことを宣言します。
シェアを追いかけると、サービスは大量生産型になり、平均点を狙ったものになっていきます。サポートも、コスト効率を意識してセルフサーブ型にせざるを得なくなるでしょう。他のプロダクトであれば、こうした考え方に基づいてシェアの拡大を狙うという戦略もあるかもしれません。けれども、店内モバイルオーダーでそれは絶対にやってはいけないのです。
なぜなら、店内モバイルオーダーは、深く深く店舗業務に入り込まなければならないし、店舗オペレーションを根底から変えなければ、僕らの目指す大きな成果は得られないからです。
だから、トレタO/Xは「マーケットシェア」を追いません。広く浅くではなく、徹底的に狭く深く展開し、一店舗あたりのサクセスを最大化することで、「成功の総和」ではシェアの大きなサービスに負けないくらいのインパクトを目指します。
僕らのサービスの価値を認めていただき、その理想に深く共感していただける飲食店さま/企業さまに徹底的にコミットし、運命共同体として共に事業成長を実現していきます。そのためなら、なんでもする覚悟。お客さまの店舗運営にとって必要だと判断されれば、機能開発でもカスタマイズでも、どんな対応でもしていきます。
特長3: 「点」の機能でなく「線」の体験を作る
サービス名にも込めたとおり、僕らは何よりもお客さまの「体験」を重視しています。そのために、機能を「点」で作らず、時間軸を伴った「線」や「流れ」を意識して体験を開発しています。
たとえば・・・
◆注文は作業ではなく体験であるべき。だから、トレタO/Xを使うお客さまがワクワクするようなストーリー性や演出を大切にしました。たとえばメニュー起動時の最初の画面に、リアルな店員さんの写真とウェルカムメッセージを出してみたり。オーダー完了画面に、ちょっと楽しく感じてもらえるようなナイスなメッセージを出してみたり。日本の飲食店の魅力って、おもてなしって、こういう細かいところにどれだけこだわれるかですよね
◆せっかくスマホでオーダーしたのに、最後に店員さんを呼んで「お会計をお願いします」では、全くの拍子抜け。なので決済機能を標準で搭載。トレタO/Xを導入したすべての店舗さまで、お客さまは店員さんを呼ぶことなくトレタO/Xの画面の中でそのままお支払いを済ませることが可能になるように、店舗さまとオペレーションを作り変えていきます
◆せっかくメニューをデジタル化するのですから、データを活用しない手はありません。そこで高度なデータ分析機能を提供し、ECサイトやオンラインゲームが得意とする「グロースハック」を、飲食店のメニューでも可能にします。単に何がいくつ売れたかという出数だけでなく、お客さまがメニューをどのように閲覧し、何を選んだかという行動をすべてデータ化してダッシュボード化。当社のデータサイエンティストやカスタマーサクセス担当が店舗の皆さんと一緒になってメニュー改善を重ね、「使えば使うほど育つメニュー」を実現します
◆お客さまの体験は来店前のお店探しからスタートしています。だから、トレタの強みを活かして、予約との連携も実現。お店との出会いから、来店、お会計、そして再来店までをスムーズにつなげていきます。たとえば、トレタO/Xの持っているリッチでシズル感あふれるメニュー情報は集客にもフル活用できます。将来的には予約時に「事前注文」を受け付けたり、お客さまの来店履歴に応じたメニューの出し分け(価格を変えたり、常連さんには裏メニューを出したり)も可能になります
サービス導入事例のご紹介
こうして作られたトレタO/Xですが、すでに先行していくつかのブランドで採用され、稼働を開始しています。
どのプロジェクトでも、経営者の皆さんの真剣なコミットメントをいただいており、まさにDXのお手本的な進め方ができていることに感謝です。
なにより、全てのプロジェクトにおいて「飲食店が欲しいというものを言われるがままに開発する」のではなく「一緒に知恵を絞って、より良い解決策を見つけ出す」という進め方ができており、トレタは本当にお客さまに恵まれているなあと実感しています。僕自身も、定例のプロジェクトミーティングがいつも楽しみです。(裏を返すとそれだけ大きな期待をいただいているわけなので、その緊張感はハンパありませんがw)
0号案件「よなよなビアワークス」
よなよなビアワークスというブランドが持つ世界観やこだわりを余すところなく伝えるデザインやUI/UXによって、店内モバイルオーダーの限界を突破。オペレーションの合理化と同時に、ワクワクするオーダー体験を実現しました。
当時はコンセプトしか存在しなかったトレタO/Xの可能性に賭けてくれたワンダーテーブルさまには、感謝してもしきれません。ワンダーテーブルさまの、そしてよなよなビアワークスの細部へのこだわりがあったからこそ、トレタO/Xは最初から高みを目指すことができました。最初の0号案件がよなよなビアワークスでスタートできたことは本当にラッキーでした。(21年7月時点では新宿東口店で稼働中。今後全店に導入を拡大します)
1号案件「塚田農場」
チェーン店ながら6次産業を標榜し徹底的に品質にこだわった、エー・ピーホールディングスさまの展開する塚田農場は、まさにハイコンテクストな日本の飲食店の一つの究極の姿です。トレタO/Xは、塚田農場ならではの圧倒的な料理のシズル感、店舗スタッフの皆さんが作り上げる独特の世界観をデジタルで表現することに挑戦。お店の魅力、その美味しさの理由を生き生きと伝えるメディアとして、動画などの新しい表現にも挑戦し、店内モバイルオーダーとしての一つの到達点を形にしました。同時に店舗オペレーションの思い切った見直しも進め、外食DXの可能性に全力で挑戦しています。
まだサービスとしての実績が殆どないにも関わらず、COOの野本さんがトレタO/Xの説明を最初に聞いたとき、食い気味に「やります!」と即答していただけたことは、僕らとしても本当に勇気づけられました。このご恩は結果で返していきます。
(全店導入を目指して、21年7月より一部の店舗で稼働がスタートしています)
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2号案件「焼鳥IPPON」
業態開発力では日本屈指の実力を誇るダイヤモンドダイニングさまとタッグを組み、トレタO/Xとしては初のデジタル新業態の開発に挑戦。店内モバイルオーダーだからこそ実現できる、究極のカスタマイズ体験や決済体験を実現しています。複数名で来店されたお客さまでも、一人ひとりが個別に注文し、そのまま個別に会計できるという、割り勘という概念を過去のものにする体験は注目です。加えてダイナミックプライシングという新しい可能性にも挑戦します。
常に僕らの期待を超える攻めの姿勢をもってプロジェクトに関わっていただいているDDの皆さんを、心から尊敬しています。こんなワクワクできるプロジェクトに関わることができて、僕らは本当に幸せです。(第一号店は8月に大崎でオープン予定です!)
トレタO/Xが示す、これからのトレタの戦略
トレタO/Xは、トレタが「予約の会社」から「フードテックの会社」へアップデートしていくことを象徴するサービスです。
それは同時に、トレタO/Xをきっかけに、僕ら自身の価値観や文化、戦略もアップデートし、会社としても新しい次元に進化することを意味しています。
それは、シェア競争と決別して、個別の店舗/法人におけるサクセスの最大化を徹底的に追求する、ほんとうの意味で飲食店さまの「パートナー」を名乗れる会社になっていくこと。
僕らは日本中のすべての飲食店さまとお付き合いすることはできません。僕らがお付き合いできるのはほんの一部の飲食店さまでしかありませんが、その代わり、お客さまとは共に成長を目指すパートナーとして、圧倒的成功に全力でコミットできる会社になっていきたいと思うのです。
既存の予約事業も例外ではありません。僕らはこれから、顧客の「数」ではなく、顧客の「成功の大きさ」を誇れる会社へと変わっていきます。
DXという、かつてないほどの大きな変化を求められる時代だからこそ、広く浅くでは限界があります。かつてない変化を実現するには、僕ら自身も飲食店さまと深く深く関わっていかねばなりません。飲食店が生死をかけて取り組むなら、僕らだって真剣勝負。命を賭す覚悟で飲食店さまと向き合わねばならないのです。
トレタO/Xの成長と将来
え、でもこんなに手間の掛かりそうなサービス、どうやってスケールさせるの?という疑問を持たれる方もいるかもしれません。
でも、世の中を見渡すと「プラットフォームとして成功しているサービスは、最初からプラットフォームになることを目標としてはいない」ことは、疑う余地のない真理なのだと思います。成功しているサービスはみな、目の前のユーザーや顧客の成功、そして幸せにフォーカスしているのです。サービスに本当に価値があるなら、最終的にはユーザーさんがサービスを成長させてくれるのですね。
むしろ、最初からスケールさせようと目論んでサービスを設計したほうがろくな結果にならないというのを、僕は過去の経験からもイヤというほど学んできました。
だから、トレタO/Xも、今はスケールのことは考えません。それはサービスが成長していく中でいろいろな発明や工夫がなされ、いずれはブレークスルーできるでしょう。(もちろん、すでにいくつかの方法は考えていますが)
サービスを「作る」のは理想像から逆算して帰納的に。サービスを「スケール」させるのは、1店舗1店舗のサクセスを積み上げる中から演繹的に。
僕らのサービスに本当に価値があるのなら、最終的には飲食店が僕らを成長させてくれるはず。だから、僕らはスケールのことは心配せず、まずは目の前のお客さまの成功を一件一件丁寧に積み重ねていくことに専念していきます。
謝辞
これまでの2年半、トレタO/Xは社内外のたくさんの方々の尽力によってリリースに漕ぎづけることができました。
うまくいくかどうかもわからない段階から、その可能性を信じて応援し支えてくれた社員のみんな。
限られたリソースと厳しいスケジュールの中、尊敬すべきコミットメントと高いスキル、そして最高のチームワークを発揮して、サービスを形にしてくれたチームのみんな。
未来が見通せない中、心配しながらも我慢して見守ってくれた株主の皆さん。
そして有益なアドバイスをくれたり、たくさんの力を貸してくれた社外のパートナーのみなさん。
今まで本当にありがとうございました。
あとは、トレタO/X導入店の現場で働く皆さん、そしてそのお店を利用してくれるお客さまが楽しんでくれて、トレタO/Xはようやく一人前のサービスになることができます。
みなさんもお店でトレタO/Xを見つけたら、純粋にお料理選びを楽しんでいただけたら嬉しいです!!
チームの仲間を募集しています!
トレタO/Xは、まだまだこれから大きく成長していくプロジェクトです。外食産業が50年ぶりに大きく変わろうとしている、その変化の最前線で飲食店の方々と一緒に挑戦できるやりがいや経験は、長い人生の中でもそうそう得られることではありません。
現在、特にエンジニアさんやデザイナーさんの仲間を全力で求めていますので、是非お気軽にお問い合わせください。「まずは話を聞いてみたい」でも大歓迎です!
導入店舗さまでトレタO/Xを一緒に使って、ご飯を食べながらカジュアルにお話ししましょう!(時節柄、コロナ対策は万全にね)