シリーズ・うちと女のナルチシズム

http://withnews.jp/article/f0151113001qq000000000000000W02u0401qq000012717A

或いは

酷い話だ。

ばびろんまつこを僕が認識したのは、彼女の逮捕後、僕のタイムラインを賑やかすのは逮捕された彼女に対する「死体蹴り」だった。彼女のツイートは女王のそれ、その女王の腕に手錠が掛けられたのだ、世が世なら彼女のツイートは一冊の本になるレベル(大方彼女はそれも狙っていたんだろう)、その眩しく煌く、今や黒歴史のツイートを掘り出しては揶揄されていた。

正直、死体蹴り、に反応したんだけどね。

で、ひとしきり笑った後、僕はそんな美しい女の事は忘れて、どう死のうか、それだけを思案してたんだ、そうしたらこんな記事を見つけた。

読んだ後、二の句が告げられなくて、脱力感に苛まれて、僕はこれを書いている。僕が死のうとする全ての原因は多分ここにあるんだろう。

いっとくけど僕はトランスジェンダーでもクソフェミでもレズでもない。彼氏もいない30過ぎのクソデブス女だ。僕が生きている大半は、明日のご飯の為と、僕の脳内に渦巻く、呪いの様なエロ妄想の為だけど、僕の脳内チンポを一瞬で萎えさせる、この記事はそんな力を持っている。

哀しいのは、女のナルチシズムってそんな程度の事なのかって事。

少なくとも僕には、男性に対する嫌悪はない。沢山の人間を仙境の高みから見下ろして・・・、それは少しある。まぁ、ナルチシズムなんて諧謔を含むものだからね。セックスと一緒だ。そうだな、

僕の望むナルチシズムは、徹底した孤独の中でまるでヘンリー・ダーガーの様に、何か壮大な創作物を制作し、死後の人間を圧倒してやる事だ、と悟った。

それは永遠だ。ダイヤモンドなど霞むほどの輝きをそれは持っている。そいつは酷い話だが、新しい物語を産む。反エントロピーの物語だ。

全てのものは死へと収束する。ダイヤモンドはくすみ、バッグは壊れ、人は老い、死んでいく。情けないが僕はとても死を恐れているんだよ、精神の、記憶の死を。

僕達の人格情報は記憶でしかない。1TBで十分満たせる人間の脳の情報処理をはるかに超えて、他の人間のシナプスを振動させる。これは反エントロピーだ、それは僕にとって、ダイヤモンド以上の価値を持つ。僕はそのためだけに孤独を装っている。

だから僕にはわからない。何カラットだか知らないけれど、ダイヤモンドを指に飾る価値がわからない。旅行は素敵だと思うけれども、高いバッグの価値も、ディオールの服の価値もわからない。君がとても素敵で、その服装に似合う人間になればきっと価値がわかるよ、と言われるけれど、僕にとって孤独は試金石、僕の価値を測るのに重要なイシューなんだ。そうして、孤独と惨めさを骨の髄まで染み渡らせるために、僕は醜いままだ。僕は憧れる。ナンシー関に憧れる。

美しい、と言われる事の価値も僕にはよくわからない。確かに20代、よく美しいといわれたかもしれない。だけど、美しい人なんて世の中に沢山いて、美醜の価値なんてものは人それぞれ違うのだから、「美しい」事が基準にはならない、と僕は思っている。だったら「面白い」事も価値にはなりえない、そういわれたら頭をかく他ない。だけど、

何かを作り上げた事は、僕、価値だと思うんだよ。成し遂げた、と言ってもいい。

彼女は与えられてきた。それは確かに始めは、企業の戦略だったかもしれない。やがて彼女は自分の役割を錯覚した。キラキラ女子のトップランカーである自分に酔った。酔った結果がこれだ。そりゃ、憎悪するよ、与えられるだけだったもんな。消費するだけだったもんな。何かを創ろう、なんて思わなかったもんな。

ここで男性批判にいかないのが僕のいいところだよ、僕は女性の自立を心から応援している。パトロンのいない生活が怖かったかい?OL仕事なんてバカバカしくてやってられなかっただろう。皆が自分を見て羨む、憧れる、でも感じなかったかい?自分の中には、なんて「何もない」のだろうって。

その虚無の行く先が、男性嫌悪?不思議だ。自分の中身を詰める作業は自分以外じゃ行えない。彼女はそうだな、きっと女性を恐れるようになる。彼女を追い詰めたのは、男性じゃない、欲望むき出しの女達だ。女達のむき出しの欲望を受け止めて、平気な顔をしていられるなんて、そんなのは前時代、昭和の時代の女優、俳優達だけだよ。

僕の中に、ばびろんまつこ、は居ない。僕は彼女達の欲しいものを欲しいと、哀しいぐらい、思えないからだ。僕にとって、ばびろんまつこは、十把一絡げの世間の女性達に埋もれている。彼女の言動、行動、に全く感動を覚えない。

それはきっともう僕が、仙境のほとりに佇んでいるからなのか、それとももっと酷い川原の、橋の下のごみためで、ゴミを拾って笑っているからなのか定かじゃあない。

ふと、蒼天航路の寒貧を思い出した。ああ、僕はこう在りたい。きっと彼の心の中には、意地汚い現世欲も、男性嫌悪も、女性嫌悪もないんだろうから。

私は3つの宝を手にして死ぬ。そのために生きている。
-人をいつくしむ心。-
-何ももたぬ暮らし。-
-人の先に立たぬ生。-

そうして何よりも哀しいのが、この高く透明な精神性が、男性の中でしか育たない、という事実。それに僕は毎日絶望している。巌頭之感が遠く聞こえてくる。

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