ピーターリンチの13項目(完璧な株)とRIZAPグループ(2928)

どうも、さいもんです。

ピーターリンチの挙げる「投資対象の選別に当たって最も重要な13項目」というものがあります。成長企業を割安で買える可能性を高めるチェックリストのようなものです。

成長力の高い企業には大抵高い評価、高い株価が付いています。本物の成長株なら高いPERも正当化できますが、多くの人が注目し期待が高い分、評価もシビアになります。

私はそれはしんどい、と考えるので、実際の成長力は高いのに何かの理由で評価が下がっている、あるいは評価の対象にもなっていない企業を見つけてラクをしたいです。

13項目は以下の通り

①面白味のない、または馬鹿げている社名
②変わり映えのしない業容
③感心しない業種
④分離独立した会社
⑤機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
⑥悪い噂の出ている会社
⑦気の滅入る会社
⑧無成長産業であること
⑨ニッチ産業であること
⑩買い続けねばならない商品
⑪テクノロジーを使う側であること
⑫インサイダーたちが買う株
⑬自社株買い戻し

1番から8番まではその企業が人気薄になりやすい要因、ケチが付きやすい要因です。9番から13番はそれでもその企業が買える理由です。

人が興味を持たない、いの一番に切って捨てられる、ケチを付けやすい、あまつさえ保有してるだけで人にバカにされる、しかし本当は抜群の成長力を持っている完璧な株がもしこの世に存在すれば最高です。メチャ安で買えるので、高いピカピカの成長株を買って毎日市況とにらめっこして消耗するより遥かにラクです。


RIZAPグループ(2928)を13項目でチェックして不人気になりやすい要因とそれでも買える要因を考えてみましょう。

①面白味のない、または馬鹿げている社名
社名はRIZAPですが、主力事業のちょこざっぷについては十分に気の抜ける名前です。新しいチョコか?ちょこっとのトレーニングで効果があるか?等人にバカにされる要素には事欠きません。

③感心しない業種
フィットネス産業は競争の激しいレッドオーシャンだと考えられています。同業のエニタイムやカーブスは強力だし、非上場の無数の企業も競合として考えられます。これは検討に値しないとして嫌う理由になります。実際に2023年3月期の決算説明会で、そのような質問が出ています。

これに対し会社側の回答は、全くレッドオーシャンとは考えてないという事でした。これは口だけでなく実際にこの後の1Q決算で会員数日本一、2Q決算で会員数100万人を達成する事で実証されました。期間中他社の会員数も伸びていたので、他社と競合してシェアを奪う事なく、1社の力で業界全体を拡大させたのです。

個人的な理解では、エニタイムは男性に、カーブスは中高年の女性に強みがあり、ちょこざっぷの会員は男性より女性が多く年齢層も低めなので他社と競合しにくく上手く嵌ってる面もあります。もちろんそのような戦略を取ったのだと思いますが、それよりも今までジムに行かなかった新しい層を掘り起こした事が大きいでしょう。将来的にはそもそもフィットネスジムの範疇に収まらない可能性もあります。

⑤機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
札証アンビシャス市場という、地方の新興市場に単独上場している会社です。機関投資家の大株主も居ません。ただでさえ個人投資家しか買い手が居ない所へもってきて、2大ネット証券のうち楽天証券では取り扱いがありません。最近ようやく1社がフォローを始めました。

⑥悪い噂の出ている会社
RIZAPはお騒がせ企業で、今までに2回メガヒットを飛ばしてその度に潰れかけています。今回は3回目のメガヒットと復活になるので、抜群の知名度も相まってまあ面白おかしくネタにするのはもってこいの素材です。

またネタだけでなく実際に連続赤字で有利子負債が増えていて継続前提に重要事象付きなので、これだけでも検討から外してその先を調べない理由としては十分です。

際どい所ですが、事実としては既に会員数が100万人に達していて、会費だけで月3000円なので、ちょこざっぷだけで毎月30億円以上のキャッシュが入って来る状態になっています。悪い噂を聞いた時はそれをヒントとして実際はどうなのかその先を調べるとチャンスがあります。

⑨ニッチ産業であること
これは大いに異論が出ると思うのですが、コンビニジムは独占的なニッチ産業であると考えます。他社が大規模に参入するにはうま味がありません。コンビニ並みの大規模高密度出店で無人店舗というのがミソです。

単にシャワー無しの格安無人24時間営業ジムというだけなら、既に類似店は出現していますがいずれも小規模です。24時間営業の無人店舗はクレームが付きものなので、企業イメージを大事にする保守的な大企業は参入してきません。RIZAPのようなある意味ならず物企業だから耐えられるのです。大資本が参入して来ないうちに赤字を掘ってでも街をちょこざっぷで埋めてしまえば勝ち確です。

RIZAPは2023年8月に「コンビニジム」の商標登録を特許庁に出願し、登録が完了しています。

⑩買い続けなければならない商品
これも異論が出そうです。ちょこざっぷの会費はジムの会費というより実質的にはAmazonプライムのようなサブスクに近いです。退会すると街に無数にある店舗にアクセスする権利を失います。そこでは運動だけでなくセルフで美容に関するサービスを利用出来ます。将来的には他分野のサービスも追加更新される可能性があります。直近では他社と協業してヘルシア緑茶を配布した事例があり来店する理由が増えそうな予感があります。

ジムは幽霊会員で儲けているという業界全体の悪評がありますが、ちょこざっぷは逆に幽霊会員を出さないという理念で運営されています。Amazonプライムが解約されにくいのは会費に対して圧倒的にお得感がありやめると損だからで、ちょこざっぷも辞めるのは損だというレベルまで生活に密着しお得感を高めれば買い続けなければならない商品になる可能性はあります。

⑪テクノロジーを使う側である事
ちょこざっぷは「hacomono」という会社が開発した無人店舗の管理運営システムを導入しています。これによりコストを削減しています。

⑫インサイダーたちが買う株
これはかなり重要な項目です。会社の内情や将来性を一番知っているインサイダーたちが買わない株を、外部の無関係の人間が身銭を切って訳の分からない思惑で買ってあげる道理はありません。

RIZAPの場合は社長がクレイジーなくらい自社株を持っているし身銭を切って会社に金を貸し付けています。社長以外の経営陣もお付き合い以上の株数を購入しています。外から見てると入れ込み過ぎでホントに大丈夫か?とドン引きする程です。

また社員は新株予約権を付与されているのでこれが給与以外のインセンティブとして中長期的にも業績を上げ株価を上げるモチベーションになります。



他にも言いたい事はいくらでもあるのですが、キリが無いので今回はこの辺で。ご意見ご感想があれば宜しくお願いします。特に、ここがおかしい!と疑問を呈する箇所があれば是非ご指摘下さい。

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