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マンガちょこっと感想『怪獣8号』『スクールバック』『双影双書』『Thisコミュニケーション』

 最近読み始めたマンガについて、ちょこっと感想を述べるだけの記事です。
 全部いろいろな理由で「すげえな!」と思ったマンガなので、おすすめしたいです。
(読むのが途中までだったり、そもそもまだ連載中の作品もあるので中途ハンパな感想になっちゃうかも。ご勘弁ください)

 あとまあ、多少ネタバレになる部分もあります。こういうところが面白い!という感じで書くので。
 なにとぞよろしくお願いします。

『怪獣8号』

 いまさら読んでるの?と怒られそうな超人気作(なにせアニメ化もするくらい)ですが、『怪獣8号』、なるほど面白い。
 現代日本に怪獣が現れて、それを地球防衛軍的な組織が倒していくという設定はありきたり。主人公が怪獣化しちゃうのもありきたり。パワードスーツもありきたり。金髪ツインテールの高飛車ガールもありきたり。他にもいろいろとありきたり。

 だからなんだ!というくらい、ド直球に面白いです。

 いくら手垢のついた設定だろうが、質が高ければまったく問題なし。むしろ「この設定ならこう来るんだろ?」という読者の先読みが容易に想像できるので、あえてハズすことで斬新さも出てくる。組み合わせと組み立ての奥深さに唸らされますね。
 まだまだ読み途中なのでアレですが、なんだかエヴァっぽさもあります。
 
 主線が濃く、マンガらしい絵柄は『ブラッククローバー』に似てますね。登場人物の属性や、力を発揮するときの「〇〇%解放」みたいなのも。ちょっとむず痒いところもありますが、少年ジャンプ的でGOOD。

 野球でたとえると、外角低め158km/hのストレート。球威に手が出ず、見逃し三振。

『スクールバック』

 大人って、なんだ。
 僕はその疑問に答えられないまま、世間一般の「大人」として生きています。
 そんな日々の中でこのマンガに出会い、一つの道筋を付けてもらった気がします。

 『スクールバック』は、人間関係で生きづらさを感じる高校生たちと、彼女ら彼らにさりげなく寄り添う用務員のお姉さんの、1話完結のエピソード集です。
 高校生がふだん接するような大人といえば、親と学校の先生くらいのものですが、その凝り固まったワクの外にいる大人が用務員の伏見さん。

 寄り添うだけが愛じゃなく、見守るだけが愛じゃない。そんな不思議な距離感をキープしながら、自分自身も煩悶したりする伏見さんが尊いです。
 とにかく伏見さんのキャラクターが良いし、言葉じゃ説明できないような「オトナと子どもの間の機微」みたいなのを鮮やかに描いているので、ぜひ読んでもらいたいなあって感じ。ぜひ。
 デフォルメの効いた作画も好き。ええです。

 野球でたとえると、インハイに揺れながら落ちて決まる105km/hのパームボール。

『双影双書』

 絵柄が好きだなあ、とジャケ買い的な感じで読み始めてみたら、なかなかどうして骨太な中華ロマンなんですよ。
 あらすじは、

 遊郭生まれの孤児・宵はある日、影武者として皇宮に召し抱えられ、自分と同じ顔のワガママな皇太子・冠星に振り回される毎日を過ごすことに。 だが、冠星の不遜な態度の裏には誰にも言えない孤独と使命があった——

 と、こんな感じ。 
 創作物における「影武者モノ」はかなりの確率で、「本物が死んじゃって、影武者がその遺志を継ぐ」という展開になります。影武者がただ主人の代わりに死んでしまうだけじゃ、話の盛り上がりに欠けますからね。
 この作品もご多分に漏れず、皇太子の冠星が暗殺されます。でも、「やはり死んでしまったか……これからは一人だけど頑張れ」などと感慨に耽る間もなく、冠星はキョンシーになって復活します。
 明らかにストーリー上の大きな転換点なのですが、その辺の描写はかなりあっさりで、冠星は「体は死んだが、頭が働けば問題ないな」などと言ってのけたりして、テンポよく話が進んでいきます。

 影武者・宵のいじらしさと皇太子・冠星のツンデレ具合にうずうずしながらも、ストーリーとしては王道の中華宮廷モノなので、サスペンス要素も多く、面白いです。

 野球でたとえると、コントロールが良く、フィールディングも上手い若手ピッチャーって感じ。たぶんプライベートでは意外な趣味がある。碁とか。

『Thisコミュニケーション』

 怪作で、快作。
 どうしたらこの設定を考え付くのか。どうしてこのマンガにもっと早く出会えなかったのか。勝手に「やられた」と思いました。
 
 あらすじはこんな感じ。

 謎の生命体「イペリット」によって、人類が滅ぼされかけている21世紀。しかし、雪に覆われた日本の長野県槍ヶ岳の極秘研究所には生き残りがいた。研究所を守るのは、その施設で造られた「ハントレス」と呼ばれる6人の不死身の少女たち。そこに一人の元軍人・デルウハが現れたところから物語は始まる。

 イペリットという怪物がとにかく厄介で、もう人類の抵抗もほぼ終わりかけているという絶望的な状況ですね。
 それでもどうにかしようと、人体実験で強化戦士(ハントレス)を作り出していた山奥の研究所にデルウハという元軍人の男が現れ、日々の食事の保証と引き換えにハントレスたちの司令官になります。

個性豊かなハントレスたち。公式HPから引用。

 これがまあ、一筋縄ではいかない。
 ハントレスたちはめちゃくちゃ強いけれども、頭の中は、見た目の通りに幼い少女です。
 誰が強いだの弱いだの、可愛いだの可愛くないだのでいつも大騒ぎ。

 この作品は、そんな少女たちと元軍人の心温まるドタバタ世紀末サバイバルコメディ……
 だと最初は思っていました。

少女たち(ハントレス)の特徴としては、
・怪力で、イペリットと戦える戦闘力がある
・肉体の耐久力は一般人並み
・一定の損傷を受けると仮死状態になり、死ぬ約1時間前の肉体と記憶を再生する。また再生には8時間かかる。

 というものがあるのですが、流れの元軍人デルウハは、太字で書いた部分に着目します。

公式HPより。

 この男、見た目は三枚目っぽいし、話し方もフランクなんですが、その実は戦場的合理性の塊みたいな人間です。
 そんな元軍人が、言うことを聞かない&仲が悪いハントレスたちに対して、どうするかというと……

 デルウハは、ハントレスたちの不死性と記憶喪失を利用し、「問題が起きるたびに彼女たちを殺し、記憶を消去する」というイカれた方法でハントレスたちをまとめていくのです。

 詳細は省きますが「え、そこで殺しちゃうの?」と驚かされること、数多しです。
 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」にも似た、変則タイムリープモノって感じですね。

 デルウハの倫理観は終わってますが、ハントレスたちを鍛えないと全滅するのもまた事実なので、読んでいるうちに「みんなが生き延びるためには仕方のないことだねェ」などと思うようになり、なにやら共犯者めいた気持ちになるのも面白いところです。

 「不老不死」「記憶喪失」「ゾンビ」「終末世界」というベタベタな設定を繋ぎ合わせて、こんなおぞましい(褒め言葉です)世界観を創り出してしまうセンスに感服しきりです。
 ぜひ読んでもらって、最悪の最適解を導き出し続けるデルウハ殿をみんなで罵りましょう。

 野球でたとえると、体に向かって曲がるボールを投げてくるシュートピッチャー。
 バットを芯から折られて、そのうちデッドボールをぶつけられるのが楽しくなってきます。


 以上、4作品。面白いのでぜひ。
 リンク先から読めたりするから飛んでみてね。
 できれば単行本も買おうね。ね。

(おわり)

 

自己投資します……!なんて書くと嘘っぽいので、正直に言うと好きなだけアポロチョコを買います!!食べさせてください!!