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BEYOOOOONDSと眠れる森のビヨ

 演劇女子部の鑑賞も本作で5本目。
 そしてここで満を持して初めてとなるBEYOOOOONDSさんの舞台。
 私がBEYOOOOONDSさんに興味を持ったとき初手にこれ勧めてきた方、中々にいい性格をしてるな(自分はけっこー好きですよ)という『眠れる森のビヨ』の感想を連ねていきます。


以降は激しくネタバレを含みます
 未視聴の方はここで回れ右でお願いします






はじめに


 さて、どこから話したものか。
 本当はこうして感想を文章にするつもりはなかったんです。
 というのも、私は普段はモーニング娘。の小田さくらさんのオタクをしています。
 あえて私が、私自身のことをこう呼びましょう。にわかです。それはBEYOOOOONDSさんについてもですし、演劇というものに対してもです。それでもBEYOOOOONDSさんの演じる舞台というものには前々から興味はあったし、サクッと見てサラッと流そう。そんな軽さで視聴を決めました。ですが見終えて「これ、知らない自分だからこそ感想を残した方がいいやつかも」と心変わりしたのです。
 眠れる森のビヨはストーリーについて盛んに考察が行われていたようでして。かくいう私も検索で引っかかった記事はあらかた読ませていただき、大いに楽しませてもらいました。そして私の調べた範囲ではこの見解はまだ仔細に語られていない視点なのかなと見受けられたので「それじゃあひとつ見方を増やしておいて未だ見ていない方が後に考察に臨まれる際の一助に、もしくはすでに観られた方がまた見返そうかなのきっかけになれば」と思いキーボードに向かっているところです。

 長くなりそうなので試聴した感想と考察で記事を2本に分けます。

↑考察パートの記事です

演技


 楽曲にも寸劇要素が取り入れられていたりと、演じることと密に関わってらしたのかなという印象をBEYOOOOONDSさんには抱いていたのですが、その期待値を超えてきました。すごい。

 役名に関しても芸が細かいですよね。
 昏睡状態だったヒカル→オーロラ(姫)→極光 ヒカル
 四角い窓から丸い光→陽 鞠→ヒマリ(逆説的に朝[夢の世界から覚めること]の象徴)
 ツムギ→カラボスの呪い糸紡ぎの針→眠りの元凶、象徴
 で、メインに絡んでくる役回りは展開に沿った名前になってますし。

 みなさん個性豊かで魅力的なキャラクターでした。お一人づつ感想を言えたらと思います。


ヒマリ/島倉りか

 本作のキーパーソンの1人ですね。
 観客にはヒカルと同い年の高校2年生として映るようにしながら、ヒマリとしては本当は5歳年下の幼馴染で、ここは夢の中で……という心でいなくちゃいけない。彼女が唯一全てを知った上で時間軸を超えて演じることになるので、どう表現していくのか難しいだろうなと思って見ていました。
 あとはBEYOOOOONDSさんの楽曲だとみんなが主役!な構成が多く、こんなにがっつり島倉さんのソロの歌唱を聞けたのが初めてでしたので、そこも新鮮でした。眉間の皺のくだりからの2人での歌は本当にディズニープリンセスの世界じゃん……。

夢子/西田汐里

 とびきりセリフ数が多い役ではないと思いますが、喋りはじめるだけで圧倒的なヒロイン感を出していくのがすごい。派手なグループじゃないけど、クラスで絶対モテる子の像が出来上がってます。
 個人的にはミュージカルをやるか否かの話し合いの時にノゾミを理詰めで圧倒する淡々とした話術が好きでした。彼女はけっこう強かだぞ〜!(私見です)
 1週目ではその情報を拾えなかったのですが、先に貼った動画の中でヒカルに恋をしている設定があったのですね。そこまで確定事項として意識して見られなかったな。

ノゾミ/山﨑夢羽


 私の中の山﨑さんのイメージと正反対の性格の役で驚きました。普段は本当に譲れないこと以外は主張せずに、調和を取るような人当たりの良い性格なのかなと思っていたので。
 そして、それもしっかり演じ切られている器用さ、スペック高すぎてびっくりします。逆に聞きたい、山﨑さんは何が出来ないんだ(猫と戯れること……?)。
 夢子に対する「なに綺麗事言ってるんだ」みたいな視線の付け方、積極的だけど反論に合うと不貞腐れちゃう全体のオーラ。上手い。こういう子いるわ〜がリアルなのにちゃんと劇で伝わる仕様に合わせている。
 キツいことも言うけれども観客から嫌われない、憎めないやつとなれる演じられ方がお見事でした。

カナエ/里吉うたの


 里吉さんは自然体だなと感じました。劇もいいけれどもなんだろう、シチュエーション台詞とかドラマ仕立ての演技をされているのもあるのであれば見てみたいですね!
 里吉さんがリラの精をやられるの、納得感がありますよね〜(知的なイメージがあるので)。

タマエ/高瀬くるみ


 いよっ!高瀬さん!
 個人的にBEYOOOOONDSさんの中で1番最初に知った(しかも演技から)お方だったので、そりゃもう安心感ですよ。TRIANGLEのピンプ役で「本職か?」となるくらい舞台での存在感があったので今回もとても楽しみにしていました。
 タマエの賑やかしがあってこそ夢が夢のまま進んでいく場の明るさが保てましたし、役としてそこに生きている息づく演技がもうプロだよなと思います。せやせや!
 間の取り方が熟練のキャッチャーなんだわ。影の支配者。


山上/江口沙耶


 一貫して役柄的に感情的にならないというか、飄々とした雰囲気を醸してらっしゃるなと感じていました。
 いい意味で何も考えてなさそうな山上を演じられてる際に、江口さんは何を意識されて舞台に立っていらしたのか気になります!
 そして #山上大喜利 はどこから生まれたんでしょうね……本編だけ見るとほんっとなんの関係もなさすぎてびっくりします笑


浜田先輩/一岡伶奈


 イケメンナルシストキャラきました!
 浜田先輩の「俺カッコいいでしょ」の頷きがツボでした。
 私の中で一岡さんが持つ独特の感性の世界の中に生きている感じ。側から見て「どういうこと?」となりそうなことでも、ご自身の中ではちゃんとメゾットがあってそうなることが納得だ。のような首を縦に振るポーズとリンクしていて。
 一岡さんはナルシストではないかとは思いますが自分の中の常識が揺らがない、そこのあたりが役と近しいものを感じて素敵に演じられてるなと思って見ていました。
 あとカラボスのときめちゃくちゃかっこいいし、歌唱も好きでした。ギャップだ。

ネネ/小林萌花


 お衣装かわいい〜!(そこ?)
 舞台上でピアノを弾かれているのは生演奏ですよね?さすが、強みがしっかり演出に組み込まれている。
 ツムギくんの練習シーンでの優しい声で「どうぞ」って言われたいファン、絶対続出したはず。
 お話しされてるような優しい歌声もいいですよね。


ショーコ/清野桃々姫


 これ最年少コンビで一年生やられてるってことかと後から気が付きました。
 演劇部のみんなでの歌唱のときの「気合い入りまくってます!行ってやんぜ!」のかましてくる感じが最近のノリのいい子って感じで若いなぁ〜とニコニコで見てました。


ユッコ/岡村美波


 みいみ先生〜!かわいいです〜!!
 ヒカルの脚本に出てくる王妃様役での歌がかわいいんだ。お声からキュートでお似合いです。
 私は何も知るはずがないですみたいな無知な役回りかなと思ってたので被害者感が出ててよかったです。


ツムギ/前田こころ


 期待どおりの男役、さすがです!
 デビュー曲、眼鏡の男の子での学ランのイメージがあったからか、スッと入ってきました。
 前田さんに優しさの塊の印象を抱いている私なので、ツムギのちょっと内気だけどヘタレじゃない、なんでも一生懸命やる姿が前田さんと重なって見えてハマり役だなと感じます。
 あと音外すのだったり、ダンスを下手に踊るの上手くないですか?


主演 

ヒカル/平井美葉


 平井さんすごい!!
 立ち姿やお声、どれをとっても男子高校生さながら。小田さん関連の情報で、ご一緒に観劇されたりすることもあるというのを知っていたため、普段から演技についても関心がおありなのかなとは思ってたのですが。たしか、宝塚がお好きなんですよね?その影響もあってかかっこいい!
 平井さんだからこそのヒカルでしたし、この演技があるからこその舞台での説得力を感じさせられました。
 だというのに、平井さんがメインの役を張るのは本作が初めてだったと聞いてびっくりしちゃいましたよ。
 どれだけ層が厚いんだ、BEYOOOOONDSさん……。おそろしい……。

 全体を通して見たときに、演劇女子部は重たい題材を多く扱いますが(これに関しては私が見たのがたまたまそうだっただけかもしれない)眠れる森のビヨに関してはそこまで強く影響を受けなかったんです。
 言っちゃえばオチはヒカル(とヒマリ)以外全員死んでるわけじゃないですか。それでも「ほぉ〜ん」くらいの温度感だったんです、最初。
 理由としては私がBEYOOOOONDSのメンバーさんについてあまり思い入れ(エピソードを知らないので)を持ち合わせていなかったのでそこまで感情移入することなく済んだことと、演じられてるみなさんがあまり役に呑まれてないように見えたからだと思うんです(これに関しては千秋楽の映像を見た私と実際に劇場に足を運んで初演を見られた方とでは印象が変わるかと思います)。

 こちらのブログ参照

 もし自分の推してる子が華山高校のような出来事に遭ったとしたら。その境が曖昧になればなるほどしんどさが増すのかなと感じます。穏やかじゃいられないよ、そりゃあ。特に高校生で年齢も近いし(もし生きていたら20代前半とか)、客演を呼ばないでBEYOOOOONDSさん全員で世界が完結しているところだったり。演劇をやってて、ミュージカル(歌も)大切にしてて、と。現実のBEYOOOOONDSさんとどこか地続きになっている設定だったので、ここに影響されると当時の阿鼻叫喚もお察ししますという……。

 ここが夢の世界だと気づいたときの演劇部のみんなの変わりよう、ゆらりと揺れる操られているあの感じ、この世のものじゃない空気感の作り方だったり。全員での歌唱になったときのハモの綺麗さと厚みがすごい!!本当に、日頃のパフォーマンスで磨かれているものがああやって劇になったときのクオリティーの高さに驚かされました。
 BEYOOOOONDSさんは誰もが主役になれるんだなって、本当に思いますね。体現してる。


物語


ざっくり予想
メタからの類推は美しさに欠けるのでマイナス
翌日少し頭が回ってる見る直前


 見る前の所感がこのようになっていたのですが……完全にやらかしてますよね。意図せずとはいえネタバレをかましてしまい、本当に申し訳ありませんでした!!!!(該当ポストは視聴後速やかに削除しております)

 観る前はこのラフさ。

 私がXでこんなことを聞くのに過剰に情報を拾ってしまうからというのがあります。というのも、本来ならばggrks案件なのは承知しているのですが、ひとのこはネタバレ絶対ムリ派なので調べて踏みたくない。だとするならば、すでに知った有識者であるファンの皆様のお力をお借りしようではないかと、他人の優しさに甘えているわけです(いつも本当にありがとうございます)。餅は餅屋、コンテンツの魅力を知るRTAチャートをお教えいただいている気持ちでいます。

 本作ではネタバレ厳禁!!!!な空気の作品ではありますが、正直に言うと話の本筋はある程度予想できるものになっていると思います。というか、演出に関しても序盤から分かるように作られている。
 もっと言えば、あらすじと眠れる森の美女についての知識を持っていれば、私のように見ずともオチを当ててしまえる人がそれなりに出てくるくらいには“ありがち“なストーリーです。

 自分の中で「ちょっともったいないことしたなぁ」と思うとすれば、伏線回収ものですと言われてシナリオに対するハードルが棒高跳び並みに上がりすぎてしまったことですね。猜疑心マシマシで視聴したので、このベタな展開のどんでん返しを期待して、勝手に肩透かしをくらったような心地になってしまいました。もっと目を向けるべきところが他にあっただろ(せやせや!)。

 話の展開の衝撃度に満足を得られなかったのでこんなものかと(今は思ってないですまじでごめんなさい)感じていたのですが、大体こういう「つまらないな」って感じるとき、自分が自分でつまらなくしてるんですよ。理解力のなさで。
 じゃあとことん向き合ってみるかと思い立てばそこから私が手のひらを返すのは早かった。
 私はヒカルのことをちゃんと見てやれてなかったんです。これに関しては考察(と言っていいのかわからない)の方で語っていけたらなと思います。


おわりに


 本作が名作として語られるのも納得の作品でした。
 ご時世や限られたスケジュールの中でこの世界観を創り出されたBEYOOOOONDSさんに心からの敬意を抱きます。めちゃすごい。
 そしてしばらく私の中の流行語はエセ関西弁で「せやせや!」になりそうです。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
ぜひまた違う劇も見てみたいものです。


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