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自分が何者なのか忘れるな

久しぶりの小石。

相変わらず、
信じると決めた自分の指針に
果たして良かったのだろうかと
心がぐらぐらしていると
身体を動かす用事が出来る。

暑いけれど、片道20分の最寄り駅まで
歩いて行くことにした。
散歩は好き、好きなんだけど
ただ、ただ
とんでもなく暑い日だった。
太陽の光が肌に当たる感じが痛かった。

太陽は好き、空も、雲も
光が好き、風が好き、草の匂いも
ムッと上がってくる土の匂いも
突然に鳴き始める蝉の声も
目に見えない決まり事が
まるでスイッチをパチンと入れたように
一斉に整然と機能し始める
あの感覚が好き。摂理、というのかな。

炎天下、オレンジ色の蝶が目の前を横切り
ふと足を止める。

ひらひらと同じ花の上を
あちらからこちらからと
舞い上がっては止まり、止まっては舞い上がり
それを繰り返す蝶を見ていた。

私はこの花の名前を知らない。
この蝶の名前も知らない。
この蝶は自分が何と呼ばれているか
おそらく知らない。

生まれた場所で食べ、排泄をし
蛹になり、蝶になった。
蜜を吸い、雨を避け、つがいを探し
卵を産み、死ぬ。

人間のように悩む暇などないのだろうな
と思った。

自分が何者なのか忘れるな。

植物も動物も虫も
自分が何者なのか決して忘れない。

バラはバラとして咲く。
虫は季節になれば這い出してくる。
葉っぱを喰らい、排泄をし、脱皮して
卵を産んで、死ぬ。

シンプル、間違えない、迷いもない。

不安が膨らんできたら言い換えろ。
視点を変えろ。
見たい現実を自分に見せてやることだ。
勘違いや思い込みでもかまわない。
所詮この世は幻なのだから。
信じたい景色を信じることだ。
信じるものは救われる。

見たいものを見せ、感じたいものを
自分の脳に感じさせてやることだ。
そうしたら、そう言う現実がどんどん
自分の方にやってくる。

不意に訪れる静けさに不安を感じるなら
耳を澄ませることだ。よく聞くことだ。

風は吹き、鳥や虫は鳴いている。
人々の暮らす音。
聞こうとしていなかっただけ。
気にも留めていなかっただけ。
目にも鼻にもかけなかっただけ。

自分の鼓動、呼吸、脈
熱、痛み、肌に感じる空気
汗、匂い。
感じとれることは山ほどある。

共にあるものの存在も山ほどある。
それに気がつけるかどうかだけだ。

安易に何もないと言うな。
お前が気がついていないだけだ。

今日の小石。

自分が何者なのか忘れるな。

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