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国民年金保険料と国民健康保険料

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野暮な話ですが、行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のYoutubeは昨年12月に更新してから半年経つということで、急ぎ昨夜遅くに更新。毎度のことながら行政書士が特に台本などもなく、直近の行政書士業務のことなどタイムリーな話題を自由に話すスタイル。行政書士の話す内容の中に一部誤解を招く表現があったため、noteにまとめることにしました。(動画中、"国民年金保険料"と"国民健康保険料"の説明で言葉が一部入れ替わって話してしまっている部分があります。)

所得によらず一律な保険料の国民年金に対し、所得に比例して高額な保険料となる国民健康保険。

そもそも日本の社会保険制度は、憲法25条の規定によって国が政策を定め、病気やケガ、死亡などの不測の事態に備え皆でお金を出し合い、お互いを救済しようとするものです。生命保険や損害保険などの民間の私的な保険と異なり、本人の意思とは関係なく強制加入になっています。そのため、保険料の滞納や未払いが続いてしまうと最悪、財産の差し押さえにあってしまいます。

国民年金保険料の支払いが難しい状況にある場合は、必ず免除・減免等の申請を行うことが大切です。

日本にはたくさんの保険制度があり、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあります。医療保険1つを見ても、会社にお勤めの方は社会保険(健康保険)で保険料の自己負担額は50%、個人事業主の方は国民健康保険で保険料の自己負担額は100%、というように立場によって利用できる保険制度も保険料負担額も異なります。今回は、様々な保険制度の中から、国民年金保険料と国民健康保険料について説明します。

厚生労働省が管轄の国民健康保険は、都道府県及び市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されています。会社員が加入する健康保険(社会保険)に対して、フリーランスや個人事業主、年金受給者などが加入するのが、国民健康保険です。世帯主が国民健康保険に加入すると、配偶者や子供などの扶養家族も加入者になります。国民健康保険料の金額は、収入や年齢によって変動し、各自治体が管轄する制度であるため、保険料率は自治体ごとに差があり、被保険者となる家族が多ければそれだけ納める保険料も増えていきます。大阪市を例にとって説明してみましょう。

大阪市国民健康保険料は
①医療保険料(全ての世帯にかかります)
②後期高齢者支援金分保険料(全ての世帯にかかります)
③介護分保険料(被保険者の中に40歳から64歳の方がいる世帯にのみかかります)
以上3つの保険料の合計から算出されます。
対象が異なるのは③だけですから、年間保険料は
・被保険者の中に40歳から64歳の方がいる世帯=①+②+③の合計額
・被保険者の中に40歳から64歳の方がいない世帯=①+②の合計額
となります。
国民健康保険料の賦課方法には、平等割、均等割、所得割、資産割の4種類があり、各市町村の判断により、2方式(所得割・均等割)、3方式(所得割・均等割・平等割)、4方式(所得割・均等割・平等割・資産割)のいずれかをとります。大阪市では3方式をとっています。
・平等割:世帯ごとに賦課
・均等割:世帯に属する被保険者に応じて賦課
・所得割:世帯に属する被保険者の所得に応じて賦課
     ※被保険者ごとに計算した所得割の合計額

①②③の出式は次のようになっています。

①医療保険料
平等割(1世帯あたり34,803円)+均等割(被保険者数×35,040円)
+所得割(算定基礎所得金額×9.56%)=年間保険料(最高限度額65万円)

②後期高齢者支援金分保険料
平等割(1世帯あたり11,091割(被保険者数×11,167円)
+所得割(算定基礎所得金額×3.12%)=年間保険料(最高限度額22万円)

③介護分保険料
(平等割はかかりません)+均等割(40歳から64歳の被保険者数×19,389円)
+所得割(算定基礎所得金額×2.64%)=年間保険料(最高限度額17万円)

※所得割の算出に必要な算定基礎所得金額は次のように算出されます。
算定基礎所得金額=前年中総所得金額等-基礎控除額
 
☆基礎控除額は前年の総所得金額により定められています。
      2400万円以下        :43万円
  2400万円超から2450万円以下:29万円
      2450万円超から2500万円以下:15万円
2500万円超 :0円

少し複雑な計算式になりますので、モデルケースを使って計算をしてみましょう。

(ケース1)
家族構成:父(25歳)・母(24歳)・子供1人(1歳)
     父の所得額:240万円、母の所得額:0万円

     ・父の算定基礎所得金額=240万円-43万円=197万円
     ・母の算定基礎所得金額=0万円-43万円=0円
※未就学児の均等割は5割軽減

  ①=34,803円+2.5人×35,040円+(197万円+0円)×9.56%=310,735円
  ②=11,091円+2.5人×11,167円+(197万円+0万円)×3.12%=100,473円
  ③=0円

    以上より、この家族の場合、
年間国民健康保険料は①+②+③=411,208円
1カ月あたりの保険料は約34,267円となります。

(ケース2)
家族構成:父(35歳)・母(30歳)・子供2人(6歳・10歳)
     父の所得額:300万円、母の所得額:100万円

     ・父の算定基礎所得金額=300万円-43万円=257万円
     ・母の算定基礎所得金額=100万円-43万円=57万円

  ①=34,803円+4人×35,040円+(257万円+57万円)×9.56%=475,147円
  ②=11,091円+4人×11,167円+(257万円+57万円)×3.12%=153,727円
  ③=0円

    以上より、この家族の場合、
年間国民健康保険料は①+②+③=628,874円
1カ月あたりの保険料は約52,406円となります。

(ケース3)
家族構成:父(42歳)・母(34歳)・子供2人(12歳・17歳)
     父の所得額:400万円、母の所得額:200万円

     ・父の算定基礎所得金額=400万円-43万円=357万円
     ・母の算定基礎所得金額=200万円-43万円=157万円

  ①=34,803円+4人×35,040円+(357万円+157万円)×9.56%=666,347円
=最高限度額65万円
  ②=11,091円+4人×11,167円+(357万円+157万円)×3.12%=216,127円
  ③=0円+1人×19,389円+357万円×2.64%=113,637円

    以上より、この家族の場合、
年間国民健康保険料は①+②+③=979,764円
1カ月あたりの保険料は約81,647円となります。

今回の計算では大阪市の計算式を利用しましたが、市町村により計算式の定額や率などが異なります。国民健康保険料についての詳細はお住いの市町村にお問い合わせください。

厚生労働省が管轄の国民健康保険に対し、日本年金機構が管轄の国民年金は「基礎年金」ともいわれ、20歳から60歳未満の方がすべて加入しなければならない公的年金です。被保険者は3種類に分類され、第2号被保険者(厚生年金や共済組合に加入する会社員、公務員など)、第3号被保険者(第2号被保険者の扶養家族である配偶者で、20歳以上60歳未満の方)以外の方が第1号被保険者になります。国民年金保険料は、第1号被保険者と任意加入保険者が納付しなければなりませんが、その金額は1カ月16980円と一律です。主に自営業者、学生、無職の方などが該当しますが、収入による差はありません。所得が少なく納付が困難な場合は「国民年金保険料免除・納付猶予制度」、学生の方は「学生納付特例制度」を利用することができます。

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造です。1階部分の国民年金は国民全員が加入しますが2階部分の厚生年金は会社員・公務員のみが加入するものです。

さらに、私的年金に加入することで、3階部分を用意することも可能です。

生涯受け取ることができる、いわゆる年金というのは、原則として65歳に達した時点で受け取れる老齢年金のことです。

老齢年金には、国民年金から支払われる老齢基礎年金と、会社員などで厚生年金に加入していた人が老齢基礎年金に上乗せして、厚生年金から受け取れる老齢厚生年金があります。

厚生年金加入歴がない自営業者や個人事業主などは、老齢基礎年金のみしか受け取れません。

厚生年金保険の「適用事業所」となっている会社で働く70歳未満の従業員で「正社員の1週間の所定労働時間および1か月の所定労働時間の4分の3以上働いている人」は、パートやアルバイトであっても厚生年金保険に加入しなければなりません。厚生年金保険と健康保険をあわせて社会保険と呼び、原則として厚生年金保険と健康保険はセットで加入します。

一般的に、自営業者が受け取れる年金の平均額は、会社員の半分以下であるといわれます。令和5年度の国民年金受給額は満額で79.5万円(年)ですが、会社員の年金額の平均は年間180万程度とされています。また、厚生年金保険で受給できる年金には、老齢厚生年金のほか、障害厚生年金、遺族厚生年金があり、いざというときの保障も国民年金加入のみの自営業者よりも手厚くなっています。

厚生年金の受給額は、厚生年金保険に加入していた期間や、その期間の給与や賞与の額をもとに決められます。厚生年金は、保険料を多く支払った分だけ、年金も多く受け取れるのです。

社会保険料の負担を嫌がり敬遠する人もいますが、厚生年金保険に加入することで将来の社会保障が手厚くなることは、長寿化社会において大きなメリットでもあるといえるでしょう。

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