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無料から始める歌モノDTM(第5回)【作曲編①】

はじめに

はじめましての方ははじめまして。ご存知の方はいらっしゃいませ。ノートPCとフリー(無料)ツールで歌モノDTM曲を制作しております、

金田ひとみ

と申します。

今回からやっと音楽を作る中身の話をしていこうと思います。といっても、理論的なアプローチは私も勉強しながらなので補助的な解説になるかと思います。
義務教育レベルの知識は頭の片隅に残っていても、思い出せないことも多いでしょうから何事も再確認しながらです。

まずはなんといっても作曲です。どんな素敵な言葉も、素晴らしい声も、カッコいい絵も曲が無いことには動き始めません。
時間の止まった言葉、声、画のままです。
それを曲にのせることで、歌詞、歌、MV(ミュージックビデオ)とかになっていくわけです。
ですので、最初は作曲の話から始めたいと思います。

作曲ってそもそも何?

作曲についてこの記事での方針

作曲について真面目に書いてみようと途中まで記事を作っていたのですが、やたら理屈っぽくなったり具体性の無い概要になってたのでざっくり削りました。
5000字くらいの記事3つ分ほど。(泣)
こいつらはまた改めて別の機会に【雑記編】とかで書くことにします。

改めてこのnoteの方針を見直してみれば、タイトルの通り
無料で始められること

自分自身の真価を見極めること
に集約されます。
(これってつまり前回のお話のコンセプトですね。)
ですので、
この作曲入門書いいよ〜
とか、
スクールに通った方が間違いないよ〜
とかは一つ目のコンセプトと矛盾しますので書きません。
どうしても必要だと感じたときや、お金をかけることで自分を律することができる!と信念を抱いたときは、お金をかけてください。
実は私もDTMの専門書どころか音楽に関する書籍はほとんど持ってません。
なんならCDとかもあんまり持ってないです。
(先日Twitterで「#私を構成する16枚」ってタグがあって、考えてみたら音楽アルバムを16枚も持っていないことに気づきました。)
音大出身でもなければ、習い事をやったこともありません。

なにせ今の時代、入門的な情報はネットにあふれてますので検索すれば大体似たり寄ったりの内容のブログ等を見つけられます。
音楽は動画サイトや音楽アプリにあふれています。
入門書やスクールを選ぶにしても、著者や先生との相性が良ければいいですが、相性が悪いと苦痛にしかならないと思います。

自分自身を見極めることを考えると、
自分が作りたい、作りやすい曲はどんな曲なのか知る必要があります。
私自身ジャンル広めで挑戦していますが、やっぱり傾向はあってメロディアスなポップスになりがちです。
聞くぶんにはEDMやゴリゴリのロックや変拍子の多い最近のポップスも好きなのですが、いざ作ろうと思ってもそんなに上手くできません。
ましてジャズやらクラシックやら、専ら聞くだけで作る糸口すらわからないものもあります。
そのあたりのジャンルの作曲ができないからといって、作曲すべてができないわけではありませんよね。
逆に作曲できるといってもモーツァルトが『ウマぴょい伝説』を作れるかと言われるとどうだろう?と思います。
(モーツァルトが現代に生まれていたらなんかできそうな気もしなくもないのが天才の恐ろしいトコ。)

まずは自分が得意とする曲調や好きなアーティストを見直して、
そこから広げていくほうが無理なく続けられると思います。

この記事での作曲とは

そもそもここでいう作曲とはなんでしょうか?案外考えてみたことが無い気がします。
このnoteを読んでくださる方が曲を作る、と言った時その指している音楽は西洋音楽をルーツに持つ音の並びだと思います。
ロック、ポップス、ジャズ、ブルース、R&Bやらの代表的なジャンルは何かしら西洋音楽、つまり欧米系の音楽に影響を受けています。
童謡や演歌も西洋音楽の影響のもと、明治維新以降の日本で独自に発達したここ百何十年から数十年の歴史しかないジャンルです。
このへんは音楽史を調べればすぐに出てきます。
その中でもさらに歌モノと言われて想定している音楽は、半世紀程度、およそ第二次世界大戦後から現在に至る間に資本主義圏で広まった、ごくごく一部の音楽です。
この話も広げ始めると、
オペラとか京劇とか民謡とか詩吟とか和歌とかも歌モノじゃん、とか
西洋音楽も他の文化圏の影響受けてるじゃん、
とか収集つかなくなりますのでこの辺にして、
この欧米資本主義圏でここ数十年で流行っているだけのごくごく一部の音楽に絞って作曲について書いていこうと思います。

フレーズ、構成、アレンジ

西洋音楽をルーツに持つ曲は3つの要素でできています。知ってる方も多いと思いますが、
リズム(拍子、律動)
メロディー(旋律、抑揚)
ハーモニー(和音、和声)

の3つです。
これらがある程度の規則性をもって繰り返されるのが現代の歌モノ曲です。同じ曲でもどれか1つ変化させると、途端に違う曲のように感じます。
作曲入門書とかブログとかを読めばいくらでも出てくる話なので割愛します。ばっさり。

ただこの3つの要素だけだと一曲すべては仕上がらないんですよね。
出来上がるのは一部のフレーズだけです。
Aメロ、Bメロ、サビといった区切りや、その中のさらに細分化された数小節だけです。
同じリズム、同じメロディー、同じハーモニーでは単調で聞き飽きてしまい盛り上がりません。
(クラシックなら、ラヴェルの『ボレロ』のようにわざと単調に繰り返す曲もあります。楽器がどんどん増えていくことで盛り上がる稀有な曲です。)


そこで考えないといけないのが全体の構成です。
わかりやすいのは先も上げた
Aメロ→Bメロ→サビ
の構成です。
サビから始まったり、Cメロがあったり、ギターソロやピアノソロが入ったり、Aメロで終わらせたりとかの違いはあれど、
日本の近年の曲はこの構成をベースにしているものが多いです。
ABサビ構成も日本独自のここ数十年の構成らしいので、いずれ違うパターンが流行る可能性もあります。ただ聞き馴染んでいる方が多いので今現在日本でウケる曲もこのパターンが多いと思います。

Aメロで曲のキー(調)やテンポ(速さ)を提示して、
Bメロでリズムやメロディーを変化させ、時に転調させて、
サビで最も盛り上がるように高音やロングトーンを使ったりします。
一個一個のフレーズが美しくても、構成が退屈だと曲全体で退屈になります。

そして3つ目がアレンジです。
編曲と言っても差し支えないかもしれません。
(これもクラシックだと作曲者=編曲者であることが多いのでややこしいです。)
作曲入門的なものを読むとこれが見逃されている気がします。
アーティストのクレジットを見ると、有名なシンガーソングライターでも
作詞・作曲〇〇、編曲〇〇
となっていることが多いと思います。
作曲と編曲は別の能力や職業という扱いです。
使う楽器やハーモニーなどを肉付け・色付けして、その曲らしさを引き出したり魅力を付け加えたりするのが編曲です。

編曲によっては、どれほど良いフレーズと構成でもいまいちな仕上がりになったり、逆に単調な曲が編曲で化けることもあります。

私はこの、フレーズ、構成、アレンジの3つが嚙み合って初めて、作曲と考えています。
(このあとに歌詞を乗せる曲先なら歌詞の出来、ボカロやAIシンガーの調声、クオリティーを上げるためのミックスやマスタリング、動画投稿するための動画制作、聞いてもらうためのプロモーションなど、やらなければならないことは山ほどあります。まじ気が遠くなる。そしてクオリティーが高くとも必ずしもウケるわけではない。そりゃ挫折する人多いわ。)

この3つもおそらく得意不得意があります。
フレーズに関して言うと、
リズムは極端に短時間で変化させると不自然になるので、ある程度のまとまり毎に変化させることになります。
(拍、テンポ、拍子、リズムは似て非なる概念なのでまたいつか。)
メロディーは7音(半音入れて12音)のオクターブ違いしかなくて、有限の組み合わせです。
ハーモニーを変化させる、例えばコードやベース音だけ変化させていくなどにしても美しく響いて聴こえるのはメロディーに合ったものです。
ざっくりリズム、メロディー、ハーモニーと言っていますが、これらは密接に影響し合ってフレーズを生み出します。
それを意識的無意識的に関わらず理解していて、このフレーズを生み出すのが得意な人を一般的に作曲が得意な人と呼んでいる印象があります。
でも、構成やアレンジが悪かったり合ってなかったりするとフレーズを台無しにする可能性もあります。

自作曲の具体例

具体性が無いので実際にどう変化するのか、
自作曲でメイキング動画風にムービーを作りました。
7曲目『re-style』(No.7/SEVEN/セブン)でコンセプトはSFアニソン風です。

同じリズムやベース音でメロディーだけを変えることもできますし、
メロディーは変えずベース音だけ、つまりハーモニーだけを変えるといったこともできます。
この曲であれば、このあとのAメロやBメロのドラムとベースのリズム自体がサビとはまったく違うものになります。
疾走感のあるサビ、静かで単調なAメロ、メロディアスなBメロと、構成上飽きさせない展開にするためです。
アレンジや使う楽器によっても雰囲気がガラリと変わります。
(良かったら下リンクも聞いていただけると嬉しいです。イラストペンタブで描き直したいなぁ。)

私は正直、エレクトリックな曲を作るのはそこまで得意ではないです。
アニメも好きなのでよくOPやED聞いてきた分、
こうすればアニソンっぽくなるんじゃないか?
という情報を集めて組み合わせた感じです。
ですので、まるっきり何もないところから作曲したというよりは、複数の作品からコンセプトに合ったものをチョイスして再構築したというほうが近いかと思います。
歌詞の話もいずれ書くと思いますが、
アニメに限らず様々な文学作品や哲学思想、科学用語なども引っ張ってきています。
歌モノを作る以上、歌詞にもコンセプトに合ったこだわりが必要になってくると思います。
そのお話はまた次回以降に。

結び

やっと作曲について具体的に触れ始めることができました。
作曲入門書やブログを読むと、誰でも簡単にできる!なんて書いていることもありますが、実はそう簡単でもなくて色々な要素が絡んでいると思います。
メロディーだけ作れればいいわけではありませんし、アレンジで光る曲もあります。
特に歌モノ曲であれば詩先という作り方もあるので、言葉から曲が生まれることすらあります。
先日Twitterで呟いたのですが、
「だるまさんがころんだ」
は本来10を数える数え歌なのですが、
おそらく音楽的な反応を示す人であれば無意識に
「だるま」「さんが」「ころん」「だ・・」
の3拍子4小節のリズムとメロディーが浮かぶのではないでしょうか。
「だるまさ」「んがころ」「んだ」とか
「だるまさん」「がころんだ」とは区切りにくいですから明らかに言葉に引っ張られていますね。
ある意味歌モノです。

和歌も昔は抑揚のある歌モノだったそうです。
5・7・5・7・7の拍に則っている時点で、何らかのリズム感があって生まれた言葉の並びであることは間違いないでしょう。
そこに抑揚を加えれば、西洋音楽でいうリズムとメロディーが揃います。
伴奏(ハーモニー)をつければもうすぐに歌モノになりそうです。
古事記に登場する須佐之男命(スサノオノミコト)が詠んだ歌が、記録に残る日本最古の和歌と言われています。

八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を
(やくもたつ いづもやえがき つまごみにやえがきつくる そのやえがきを)

超意訳(文法等に沿ってはいません)
たくさんの雲が盛り上がって、その名の通り出雲(今の島根県あたり)を取り囲んでいるよ。愛する君と一緒に暮らしていきたいから、家を建ててその周りにたくさんの囲いを作るよ。そのたくさんの雲みたいに。

須佐之男命が櫛名田比売(クシナダヒメ)に詠んだ歌です。
和歌としても最古ですが、同時に記録に残る一番古いラブソングかもしれません。
荒くれ者だったスサノオが、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄にされそうだった年端もいかない村娘クシナダヒメに一目惚れして、オロチ退治に赴くときにカッコいいとこを見せたかったんでしょうか。
私の中のスサノオのイメージが勝手に、湘南乃風『純恋歌』の主人公みたいな性格になっちゃってます。
家まで建てちゃうあたり本気度が違う。
日本最古が黒歴史じゃなくてよかった。(ロリコ……ゲフンゲフン)

次回予告

次回はこの記事の最初のあたりで書いた、ボツになりかけたネタ救出をします。
「どちらにしようかな、神様の言う通り!」
(これも歌モノですね。)

ということで、記事中で触れたABサビ構成についてちょっと掘り下げて、
今後の歌詞の話に繋がる話題にしようと思います。

Thank you for reading!

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