きっと生きた。

私は電車が好きだ。

いや、電車に乗っているのが好きだ。

誰も私を知らなくて、一人一人に別の目的があるから。誰も私に興味をいだかないから、ほっといてくれるから、とても、楽になる。

バスの運転席の後ろも好きだ。

まわりより少し高くて浮いているような気分になる。他の人をみながら、流れていく季節を感じるのも好き。

その一人一人に人生があって、愛する人がいて、その場所にいる意味があると思うと、そんなことを想像すると、人間はなんていいものなのだろうと思う。

でも、学校に行くと、それぞれ関係があって、上手くやらないと、という不安が1本の糸になる。

それがピンと張り詰めて私を苦しめる。

人と上手く関わらないといけないことも、自分の好きなようにしていたら、一人になることも分かっている。

だから、上手くやってきたはずなのにどこでおかしくなったのだろう。

皆と話している時、無理をして作っているのだろう。私の知らないワタシが出来上がっているのにそれに気付かないふりをして笑っている。

学校にいても家にいてもどこにいても息が苦しくて、どうすればいいか分からない。糸はだんだんとほつれていって、たえられなくなる。そして、プツンっと切れた時涙が止まらなくなる。

苦しい、息苦しい。

これが思春期という悪魔のせいだということも、自分のすべきこともわかっているのに、先が見えない。自分が自分ではないように、どんどんと離れていって、1人、暗い穴に落とされた気分になる。

みんな花のように見せるのに必死で、本当の自分が分かっていないんだと思う。自分でもわかっていない自分をほかの人に理解させたがるからダメになっていく。

そうすると、黒いものが体に溜まっていく。

きっとその黒いものは、私をだんだん中から食べていって、いつか私を食い尽すんだろう。

そうしたら、私はもう子供ではいられない。私はそれが怖くてたまらない。

だけど大人はやり過ごすスベを知っている、真っ向からがむしゃらに自分のやり方で行こうとしている子供に対して、大人は経験があるから逃げるのが上手くて避けたがる、そしてそれを子供に押し付ける。

そんな大人が嫌いなはずなのに、ここから抜け出せるなら大人になりたい。

自分の時間を生きられるのなら、自分らしくいたい。自分を大切にしたい。

この急速に過ぎていく時間の中に、無理についていくのではなく、人に影響されるのではなく、自分のペースをゆっくり歩いて行けるようになりたい。でもそれは許されないんだろう。

時間がかかるみたいだ。

だから、ワタシは今の私を守りたいと思う。

2018.11

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