個人のお店に入った話

個人のお店に入った
店に入ると人がいた。この店の店主である。
私が持っていたDX超合金カイロスプラスを見て、「買えたんだ」と呟く。
その言葉に私は調子に乗って、「ご存知なのですか?」と呟きに答えた。
販売店なのだから当然と言い、続けざまに転売屋をディスり始めた。私も転売屋には大層憤慨していたので、そうだそうだ!と相槌を打っていた。
そこで一旦話は終わり、私は近くにあったボトルマンを手に取った。
「新作は2021/12/29発売でしたっけ」と、そうですよ。で終わる未来しか見えない話しかけ方をした。
予想通り「そう」と返ってきたが、話は終わらない。
新作は予約で完売しており、店頭販売分はない。という、何とも返しようがない愚痴をこぼし始めた。そもそも生産数が少なく、いくら仕入れたくても仕入れられないという。
仕入れることは出来ても、ニッチな需要の商品も一緒に仕入れなければならない。そういう話も聞いた。
仕入れを強いられる訳だね。
そんなこんなで、近くにあったドリルクラッシャーも手に取りお会計をして貰う。
レジを見回すと、私がかつてどハマりしたダンボール戦機 Zモード Σオービスがあった。
私は「え!?」と口に出た。店主に「Σオービス売ってるんですか?!」と話す。「在庫分しかないがね。再入荷もない」と寂しげにこぼす。
私は、ダンボール戦機Wからプラモデルは進化してるんだ!!!とうっかり力説してしまった。
需要はあったが、結果は出なかった。と二人で嘆く。
もう一度レジを見ると、なんとカイロスプラスが置いてあった。
「売ってたんですね」と言うと、「常連客の為に置いてある。一個しか仕入れることは出来なかった」と返された。ミラージュ機を買おうと思っていたが、この調子だとそっちも一機しかないだろうなと思い、穴場を見つけたという、少しばかりの高揚感は死んだ。
退店する時も店主と昔の話をした。
おもちゃ屋さんが、名古屋で開催されていたおもちゃの展覧会に行き、商品を見て、製造業からおもちゃを仕入れていたという話。
バカ高いホテルに泊まったとか朝飯が3000円だったとかそんな話。
最後には「縁あって、ありがとうございました」と見送って貰った。

おわり