張りぼて人間
張りぼての人間だ。
褒められたり、持て囃したりしてくれてるけど、実際のところ、その中身はスカスカで、少し押されれば簡単に崩れるような張りぼてだ。だから、なんとかそこまで近付けないように、なんとか誤魔化しながら、なんとか上手いことやっている。ずっとそうだ。
そんな風に自分を大きく見せてどうするの?
と誰かが言った。
本当に、どうするんだろう。
でも僕は、誰かの承認が欲しかった。認めてほしかった。「出来る」と思われたい。そして、それ以上に「出来ない」と思われたくい。「なにも出来ない」「駄目な奴」になりたくない。「誰にも必要とされない」事が怖い。「お前は要らない」と言われるのが怖い。それが、一番怖い。怖い。怖い。誰かに必要とされていたい。誰かの中の「かけがえのない人」でありたい。
駄目な奴になっては駄目なんだ。自分は良い子で、弟想いだから。しっかりしなくてはいけないのだから。弟の方がみんな大切でも、自分だって、かけがえのない1人のはずだ。一番でなくても、そのはずだ。そのはずだ。そのはずなんだ。絶対に、そのはずだ。
でもやっぱり、贅沢を言うならば、一番が良かった。
大きな大きな張りぼてを見て、誰かが「すごい」と言いました。誰かが「僕もこんな風に」と言いました。
それ、空っぽですよ。
本当はとても、脆いですよ。
騙してごめんね。
張りぼての中に居る僕を、誰か見つけてくれないか。
大きな大きな外側では無く、弱くて、卑怯で、そのくせ誰にもそれを知られたくない僕を、どうにか見つけてくれないか。
奥へ奥へと逃げて、隙間に隠れて、何が何でも煙に巻こうとする僕を、どうにか捕まえてくれないか。
誰か、理解してくれないか。
誰か、肯定してくれないか。
誰か、必要としてくれないか。
誰か。
誰か。
※自分に酔ってた時に書いたポエム風小説の一幕。
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