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陰陽術鬼!12


渉流達の通う社樹学園は、もうそろそろ学園祭の準備にかかりはじめた。
色とりどりの模擬店や出し物の材料、看板材料などが、廊下に投げ出されている。
季節は秋へと完全に移り始めたのだ。

青森神主から、渉流に連絡が入った。



「渉流君、やっぱり定児君は犯人の手の内にいるようですよ……」


「はっ!!?」


渉流の受話器を持つ手に力が入る。


「クソッ、それで無事なんですか!」


「…え、ええ……。危害は、まだ何とか、ないようですが」


青森は口ごもる。
金龍は昨晩の怪我で寺で一先ず治療と休養をしている。
金龍からは、渉流と定児の関係性や諸々を考え、詳細はまだ伝えないようにと口止めをされている。

渉流と定児は身内だ。渉流が定児が受けた暴挙への激情のあまり暴走行為に走る可能性もあるし、定児君が男としてこのような内容を、他人の口から勝手に身内へと伝えられるのは、大変心に迫る屈辱であろうとの配慮である。定児自身がショックを受ける。

それ以上に、どう言えばいいのかだって、金龍と青森自身にもわからない。二人の心境とて、正直言って、言いたくない。二人だってショックなのだ。あの明るいのんびりした年相応のやんちゃな少年が、そんな目に遭わされているだなんて、想像するだに気に病んでしまう。



青森は金龍の状態を思い起こす。

金龍の説明には、声の奥には、明らかに恐れというものがあった。

金龍自身との力の差が、そんなにまで開いているのか。

いや、予測は出来ていた。あの呪詛の腕前からして、人間離れした底知れぬ使い手だと計れていたのだが、長年の交遊がある金龍の性格を考えると
あの、いつでも積み重ねた修行に裏打ちされた確かな実力と冷静な判断力と、そして秀でた対処力の持ち主であり、全員の精神的支柱でもあった誰より頼りになる年長の存在に、怯えが生まれているという事実が、青森にとってショックなのだった。



「渉流君、私達も余裕を見せてなどいられませんねぇ、もう」


「青森神主。白三弥山、に一緒に付いてきてくれませんか?できれば、猪狩先生も呼んでください」








……………………………………………………………………………………………





金龍は寺にある自室で座禅を組む姿を取り、意識を集中させていた。

姿は白い浴衣の寝間着姿であり、傍には抜け出したばかりの体温の残る布団があるが、休もうと思っても、なかなか休める気になど心底なれず、こうして起き出しては自分にやれることをやってしまう。

それが、金龍の性格なのである。


定児君……


定児君…………


呼びかけに答えてください………



昨晩の、捉えた定児の情景を再度キャッチしようと励む。辿るために。



定児君……


定児君……


応えてください………!


渉流君も、とっても、心配していますよ………


















自分を呼ぶ声がする、何だろう。

この声は何だろう。


頭が酷くぼんやりするのだ。白靄がかかり、視界だって、なんだか夢を見ているように輪郭線が全て曖昧だ。



俺は一体何をやっているんだろう。



足の間には、誰かの体温がある。

絶えず、動かされ、人肌がのしかかるのがわかる。

人の重みが、自分の肌のすぐ側にあるのが、わかる。


これは何なのだろう。


頬をさすられているのがわかる。


喉を吸われているのがわかる。




「だ……………………れ」


「修聖と呼んでいいって」



フフ、と笑う人肌の主は答える。


誰なんだ………、しゅう………せい…………って………知らねぇよ…………そんな、や…………つ…………。


砂のようにほろほろと溶ける意識の中で、俺は口答えをして見る。




そうだ!俺は定児だ!柏木定児だ!


俺は一体何をやっているんだろう!!ここで!!!


バシャ、と冷や水を頭からバケツで被せられたように、急激に意識から靄が抜けた。













「………………………あ」

「………………………!?」


少し驚いた表情をした男が目の前にいる。
こいつは……、こいつは……、機洞!機洞 連だ。

機洞が目の前に裸でいる。

下を見たら俺も裸でいる。

なぜか機洞と密着している。なんなら、足を絡ませている気がする。なんなら、何か入っている気がする。


機洞が眉をひそめて怪訝に問いかける。

「……あれ、もしかして、とけた?」

「っの、のけよ!何してんだよっ」


俺は慌てて声を荒げる。


「何って」


笑っている。



笑いながら引いてまた刺すように腰を動かした。



「……うっ!」


ただならぬ感触が俺の腰から下を貫いた。
これは、この蠢きは、これはもしかしなくても、あれだ。

俺の体を鋤き返し、掘り起こすような動作の正体がいい加減わかった。


「放せって!」



「やーだ、放さない」

からかいふざけるように笑いながらそういって機洞はそのまま性行為の全身の動きを平然と続けようとする。


「うあっ!!」


尻の穴が、凄い不快感!!!トイレいきたくなってくる。
異物感だ。
余りの生理的現象感に足先がむずむず、もぞもぞとしそうだ。



「正直に言えよ。俺とこうなるのに最初ノリ気だったろ、結構………」



そう言いながら機洞は唇を重ねようとしてくる。



「乗り気って何が!!」


顔を背ける。



「捕まった時、胸を弄ると気持ち良さそうにしてましたねぇ、気が」


背けた顔を追って唇を重ねてきた。






あ、だめだ、だめだ、これ。この人とのキスはやっぱり気持ちいいー、浮遊感がある。あの橋の口移しとまるきり同じ感触の………!


機洞が恐らく蕩けてるだろう俺の顔を見て笑む。

「このまま……続きをして……いいですね?」



「ぁ………ふぁ、はい…………。
……………いや、だめだ、だめだ、だめだ、だめだ、だめだ、だめだって!こんなこと!」


俺は振り払って抗う。


「さあ続きをしましょう、もう一回」

俺の慌てる反応を楽しむかのように、悪戯っぽくクククと笑いながらまた唇を重ねてくる。


「あ………ふぁ、ふぁい………いや!だめだって!機洞サン!」



左手で俺の耳元の髪の毛をかき、触り、掴みながら、唇を絡ましてくる。腰砕けになるような、蕩けるキスの感触とは、まさにこれのことか。




「定児クンは、俺とこうなることで何か困りますか?」


腰の抽送運動が再開される。



「恋愛は自由じゃない?その相手が私でも」



足を持たれ俺の足を腹の上に折り曲げてこようとする。


「………うっ…………う………え 」



「たまたまの巡り合わせ。何も困らないでしょう」


折り曲げて腰を浮かせ、一層深く突き当たりを叩くように突き入れてくる。



「コレッ…………恋愛ぃっ………!?んぐあぅっ!」


必死に下半身に向けられる暴力的な刺激に耐える。

どうしてこうなったんだっけ、えっと飯塚稲荷で、死体があって、捕まって、長屋大王の力が必要だとかで仲間になれよと勧誘されて、機洞に実力行使で、捉えられて、有無をいわさずこれで

拉致監禁路線の話じゃないのこれ、恋愛路線の話じゃなくって、さぁ!



「あ」「ぐう」「は」「っっ!!」「いっ」「ううう!」「あっ!」「うっがっ」


腰が打ち鳴り合う性行使特有音が空中を響く度に、否応ない呻きが口から押し出される。

いや、これは呻きか、それとも。


「簡単なことです。君は私と、ずっとこうしてりゃいい」


「んぐああ!!!」


これが、男から受けるセックスの刺激か。

どこも防御できない、露にさらけだされるしかない刺激。無抵抗を甘んじるしかない状態、つまりこれが、男に犯されている状態。


俗に言う、女にされてる状態ってこういうことか。


モノが俺の肉の間を行き交うのをただ感覚でキャッチするしかない。それしか行動の選択肢を与えられない。
誤魔化したり散らしたりすることはけして出来ぬ感覚の暴力。

ただただ受動を強いられる。

ううう……。  俺、犯されてる………。





「定児クン、おや、君は、今ちょっと興奮したみたい?」


「…………!?…………っ…………っはぁ…………!?」



「あのね、心を隠しても無駄だからね。さわり程度ならどんなことを考えているか、どんな感情の波に襲われているか読めますから」



こ、心迄、読めるのか……。そういえば渉流も喜怒哀楽のフィーリングを対面した相手から伝達されることは可能だと言っていた。
でもどんなことを考えているかなんて、きっと渉流以上の読心だ。





「男に女のように組み敷かれている自分の図を想起して、君は今自分で興奮して快楽を得たみたいだよ、ここが」


そう言ってクスクスと俺の分身を触り撫でる。


「ほら、さっきより硬さを増してる。君の好きなシチュエーションというものがよく分かる」




「…………………ぅっ゙!!…………」


頭に血が集まる。頬がカアッとする。




「隠しても無駄だって。君は俺が好きでしょう。
初めて会った時から。ううん、橋の上の辺りからでかな?」




「…………………………ううっ…!!……」


そうなのか?そうなのか?自分でも分からない…………。



「俺も君が好きです。なら、両想いでしょう。お互いが恋情で結ばれているなら、ここでこういう行為を交わしているのは、極自然な関係ではありませんか?」


耳を触るような、いや、舐められるような響きの言葉に心まで絡めとられていく。



「目の前の現実がまだ受け入れ難いなら、また意識を包んであげるよ。さっきまでのように」


そういって機洞は俺の眼前に手をかざした。



途端にふわりとまた、俺の視界は麻酔点眼薬を注された時のように光が蠢くだけの滲んだモニターと化し麻痺した。




「ここが白三弥山の……」


青森が辺りを見回す。
渉流と猪狩との三人で、美戸裏神社跡地に来ていた。

跡地は綺麗に更地になっており、石ころが転がる補正されていない土と砂の床だけがただ顔を出している。



「渉流君、ここら一帯に悲痛な残留思念が滞っていますよぉ。しかも、それを覆い隠そうとした痕跡がある」

「負の気が強いな、というぐらいしか入ってこなかったです、俺には」


猪狩が重たそうに口を開いた。

「殺されてますよね、何人か……。そんなイメージがする」


確かに渉流にも人の叫びの念が今日は心に飛び込んでくる。以前来た時は恐ろしく自分が鈍感だったかと思えるくらい、ここまでじゃなかったのに。
人為的に、何かされていたということか。目眩ましを。

目隠しの力が弱まっているというのは一体どういうことだろう。




「渉流君は、ここに定児君がいるんではないかと踏んでいるんですねぇ~?」


「はい。恐ろしいぐらいに何も気配がなかったのが、反対に怪しく思えました。定児は必ず来てるはずなので、多少の何かは残っている筈。そちらのほうが自然だ」


青森は背後の山々を見渡して言った。
「見たところ白三弥山に怪しいところは何もない。混乱も、歪みも。なるほど、それが逆に怪しい」

青森は懐から和紙を取り出す。
そして手早く折り鶴を追った。

「教えてください、折り鶴さん。私達に。ここが作られた空間であるなら、本当の姿を」


そして手元から飛ばす。風も吹いていないのに、風の軌道とは全然違う動き方をし、折り鶴は落ちる気配もなくシャボン玉のように飛んでいく。

三人は折り鶴の後を追う。




折り鶴は何もない野山の脇でぽとりと落ちた。


「真の姿を我らに見せよ。五芒の開眼開景!」



青森は空中に五芒星を描いた。すると指で描いた五芒星が緑に光り、焼き付くように飛ばされた。
かと思うと、周囲の景色がいきなりぐにゃと歪む。


「なるほど、私達が見せられているのはやはり誰かが作ったオブジェクト、舞台のカキワリ装置だったようですねぇ~」



真の風景は先ほどの野辺山の風景とさほど大差ない。

だが林の合間に、扉が地面に埋め込まれてあった。
鉄の重そうな扉が、隠されていたのだ。



「どうします。いきなり入って見ますか……」

「金龍和尚に連絡してから、俺だけでも行きますよ」

渉流が答えた。


「罠かもしれないですよ……」


ふと、猪狩がそんなことを口にした。

確かに、目隠しの効力をわざと弱まらせてあるのなら、自分達を誘い込むための罠かもしれない。

渉流は考えた。青森達は待たせ、自分一人で飛び込むほうが得策か。


「なら俺が一人で入ることにしましょう」











「渉流君!」

青森が渉流に何かを投げ寄越した。
見ると、茶色いままの着色はされていない、小さい木彫りの指人形、が一体。

「いざという時はこれを用いてください。頼りになるものが「入って」ますよぉ」


「ありがとうございます」


重い黒鉄の扉を引き開けた。
禍々しい妖気が扉を開けた途端に噴出するようだった。







……………………………。




扉から設置された階段を下りると辺りは途端に岩肌の剥き出しになった洞穴めいてくる。


地下水だろうか。岩の表面は湿気を帯びている。

なるべく音を響かせないように、慎重に、だが素早く歩く。




………………結構長いな


渉流は思った。
暫くゆくと、道は幅広くなり天井も高くなり、そして新たな扉が待ち構えていた。入口の扉よりもりっぱな、同じく黒鉄の扉。



耳をあて扉の先を確かめる。

…………………気配がない。大がかりに設けてある癖に不用心だな…………


渉流は扉を開いてみた。


「!?」


気配がない。と捉えていたのに人がそれなりの人数、ざっと数え10人ほどだろうか、身動きもせずにいる。


だが他の一点を見つめ、身動ぎもせず、微動だにもしない。

…………魂魄(こんぱく)が抜けてやがる。こいつらゾンビか生きる屍のようなもんだな


生きるための必要な神力、仏力といったエネルギーが体の中を流れていないのを、渉流の眼が捉えた。
それどころか、既に魂の心臓である魂魄すら機能していないように視える。

恐らくこの群れ達の前で姿を堂々見せても反応は無いだろうが、なるべく物影に隠れながら奥に進む。
自然の洞穴はそこら中ゴツゴツしていて、身を隠すのには不自由ない作りになっていて幸いした。



内側は広く、床などはまったく舗装されていない、完全なる地下洞空間のままだが、最奥の中央に白銀の人為的な、神殿のような建造物があるのだ。


……催場?祭祀場?招魂場?


周りにいる魂ない人間どもは、虚空を見つめるように神殿の上のただ一点を見上げ、眺めて見ていた。崇めるように。



中央にかけられている天井から吊るされた白の重ねられた布のドレープの奥に、人影が揺らめくのを見た。




それは……


それは…………二体の影であり


絡み合う肢体同士の影は明らかに特定の動きを繰り返し重ねており、壁面に昇る巨大いな影を形作っていた。

シルエットの蠢動は交接する二体を示し、まざまざと浮かび上がらせていた。


一体を支配し、一体が征服する影。かと思えば互いの位置を入れ換える生動の様子。



……これは……性秘儀(性的ヨーガ)だ!
性儀式によって呪詛や術法を成し遂げる邪術を行う邪教密教を開いているのか。ここは…………


渉流だって淫猥な男女の絡みを見る機会なんてこれまであったわけで、本来なら心臓が動じたりなどもしないはずだが
空間に広く漂う心の糜爛(びらん)を掻き立てる目的のようなむせる香のにおいと、まるで映画舞台のような異様な魔術セット、身の危険を感じる群れの人間、そして剥き出しの交接とが重なり合わさり目の当たりにすると、やはり人の子、光景の異様さが胸に迫り、流石にクラクラと頭をめくらめくものがある。
顔をしかめ、堪えきれないほどではないが、毒気にあたるように込み上げてくる不快なものを軽く渉流は得た。




と、すると
一体の影がもう一体から離れ、神殿の更に奥へと立ち去る気配があり、消えた。




渉流は一際強く睨み、祭儀殿の奥へと近寄ることにした。

周りにまばらにいる人間はやはり脱け殻のようになっている。



嫌な予感は胸の中で何やらガチャガチャうるさい。


白布の向こうのもう一体の影は動かない。

段を上がり、密やかに幾重の布をめくりあげてみると


……やっぱり、……やっぱり



そこに寝転がり目を閉じて気を失っているのは定児の肉体であった。


寝台として床より中空に浮いている台座に横たわる肉体はほぼ裸体である。

幼馴染みの肉体をこんなにハッキリ目にしたのはいつ以来であろう。


目はつぶり、表情はむしろ安らかな寝顔にさえ映るが、肉体は乳首も男性自身も露わとなっていて、頬や胸板、胸の突先、腹筋の稜線、太股の稜線のあたりは男の精が飛び散り濡らされて、或いは乾いていた。

足の間は大きくではないが開かれ、内股の秘なる処は、時間も経たずに先程まで受け止めていた男の陰茎の痕跡をまだ型どり、淫通の道がまだ薄く口を開けて覗かせている。


渉流は駆け寄ると定児の傍らにしゃがみ、片腕で頭を起こすと、その濡れた頬に構わず手を寄せた。

「定児……定児……、大丈夫か、定児……」

頬を軽く何回かタッチし、辺りに慎重になり小さい声だが繰り返し呼び掛けた。
険しい顔だが弱る表情が流石に渉流の顔に浮かんでいる。

あたりにはかける布地がないので、自分のジャケットを定児の体にのせて被せる。


息はしているし、胸も上下している。俺の声は聞こえているのか。
……おぶるしかないようか。


定児を抱き起こすと、被せたジャケットを背中から腕を通し羽織らせた。
















屍同然の生身の人間達の間を縫って、定児の体を背負い連れていく。

きっとこいつらは指示する親玉の一声が存在しなければ指揮されない筈だ。


どちらにしろ、このままでは済ますものか。こいつらも含めて。


燃え立つ敵意を飲み込んだ堅い決意をしながら、忌まわしい祭堂に入ってきた扉を開けると、定児を背負ったまま一気に出口までめがけて走り抜ける。


流石に背後の遠くから、何体かの俺を追ってくる足音が続いてきた。


追っ手は先程の信者達らしい。指令系統が甦ったか?

…………危ないな。それならば。



振り向きざま、連中の姿を確認すると、青森神主から渡された木彫りの指人形をポケットから手に取り、奴等に向かって投げ放った。


「頼む!!行け!」




たちまち紫の煙に巻かれて擬人の使役式神が人形より現れ出でた。

中に入っていたのは……疫鬼(えきき)!

「穢悪伎疫鬼(けがらわしきえやみのかみ)!」


調伏された鬼神が入っていた。


疫鬼の体は黒く、仮面を被った鬼の姿をし、頭から短い四本の角と、何本もの牙を口から覗かせている。

洞窟の天井近くまでの2m越すような体を取り現れ出でてきた、病魔をもたらす疫病神。



疫鬼は緑の毒のガスを口から放出すると、追いかけてきた信者達がドミノのように次々に倒れていった。

疫鬼の毒ガスは色によって効果が分化するが、緑のガスは一定時間身体の自由を奪う。



それから振り返らず最初の鉄の扉まで辿り着き階段を上がると、音を立て扉を開いた向こう側には林と風の風景が広がり



…………!?



青森神主が苦痛の顔色で胸を押さえ座り込み、猪狩祐司が気を失い倒れていた。



「三人で中に入ってくれれば、中で三人とも潰す予定だったのにね、石狗(シーゴー)」

「ッ!見鬼姫……!!」


そこにはあの見鬼姫と、石狗と呼ばれた傍らに石のような防具の甲冑のような硬い甲羅で全身を覆われた、二本の長角を持った長髪の鬼がいた。

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