幽玄狂鬼!7





大帽山郊野公園を抜け、獅子山郊野公園(Lion Rock Community Garden)の付近。
夜目にも獅子山(Lion Rock )の切り立った岩肌が遠くにうすらとだけ分かる。

高台にある、並ぶ家々からは並外れた瀟洒な豪邸。そこが#黄__ウォン__#家だった。
獅子山(Lion Rock )程ではないが、この高台からも香港の美しい夜景がざっと一望できる。

#黄__ウォン__ #家に住まう人間達は、既に灯りを消して眠りの準備に入ろうとしている。
香港は両親と同居して暮らすのが一般的となっている。
当然黄家も、広い家に、祖父母と夫婦と5つになったばかりの一人娘とで住んでいた。
娘は丁度風邪を引いて熱を出していた。
母親が滋養と寝かしつけのため、鍋にコーラとレモンの輪切りをたくさん、それに生姜のカケラを浮かべ煮詰めて作ったホットコーラを、ベッドの娘にゴクゴクと飲ませていた。
熱したコーラは風邪をたちまちに治す。
コーラには風邪に効用高い成分が在中されており、更に液体を温めると人体は効用成分を吸収しやすくなるからである。幼い娘に飲ませると母親も、胸を撫で下ろし安堵した。
雇いの#阿媽__アマ__#(お手伝いさん)達は既に帰宅していない。
一つ、また一つと、電気の消えていく家。


低い窓に映る4つの白い眼球。ギョロギョロと動く。


スリッパを履いた生足がパタパタと怨みの祖霊の覗く窓を通り過ぎる。
子供を寝かしつけた母親はトイレに向かい、用を足してから自分も眠りにつくつもりだ。


黒い体の怨祖霊は、ゆっくりと壁をすり抜け、家の中に入った。

トイレに灯る小さな明かり。消灯した暗い家内。







さあて眠るか……

水洗の音を後に夫人はトイレの扉を開ける。

真っ暗やみだ。

静まりきった家内に何かが天井近くを飛んでいる。

二つの細い何か。
闇に紛れて飛びかっている。



「着いた!!」
二人を乗せた車は止まる。

丁度高い声の悲鳴が大きく家の中から発された。



呼び鈴を鳴らすと家の中から何人もの家族が飛び出し逃げてきた。

「キャアアアアーー!!」 


一人女の人が捕まっているようだ。
ラウとインは顔を頷き合わせ向かう。



女の人は宙に浮かびながら二体の黒い影に暗闇の中捕まえられている。

黒い影が女の体を回る度
「キャアアーッ」裂傷が一文字に走り血が溢れ出す。

パッと白色の電気が家中についた。

「#護法蹴__ごほうしゅう__#!!」

ラウが机に足をかけ飛び上がり、札を巻いた自分の足で、怨祖霊に向かって中空蹴りを放つ!


蹴りはあたり一体の怨祖霊が呻きをあげて女から離れる。




「#陰陽発癸__おんみょうはっき__#」

インの手から太極図が描かれた太陰鏡が向けられ、もう一体の怨祖霊も呻き、夫人を床に落とす。


「逃げろ!」
ラウは大声をあげ、怯えきった夫人は家の外に逃げていく。



「邪魔を邪魔を邪魔をするかぁ~~~~!」

「小わっぱ~~~~!!」


黒い怨祖霊は怒りのあまり暴れて飛び回る。
家中のものが壊れ散らかっていく。
立派だった家の調度は見る影もない。

「復讐なんてバカなことはやめてあの世へ向かえ!」


ラウは再び護法蹴を一体に放つが、後ろからもう一体に捕まる。



「ラウ!」インが叫ぶ。

急に二人が電気をつけた家の中が暗くなっていく。
怨祖霊はあたりに闇を作り出した。

「くっ……暗い」
ラウが捕まえられたまま戸惑う。
捕まえられたまま二体と同時に闘うラウ。

闇に目が効かぬ中、ところ構わず蹴りを繰り出すも当たらない。

素早い足先が怨祖霊の肩を切り頭を切る。

黒い悪霊は見えない目のラウの蹴りを嘲笑いすり抜けていく。

インは窓の外を見る。
雨だというのに満月は大きくコウコウと照っている。

「しめた!#太陰__月のこと__#!」

インが飛び上がって太陰鏡に窓の外の満月の光をあてた。


月の陰の気を吸収し、月の光が何倍にも太陰鏡に増幅されていく。

目映い光が鏡から放たれる。

鏡が闇を追い払った。


ラウはすかさず護法蹴を自分を捕まえていた一体に撃ち込む。

一体は消滅。


もう一体は怯み逃げようとするも、先回りしていたインの鏡の中に吸い込まれ、跡形もなく消えていった。



撃退成功!


ラウとインは片手同士をパンっと打ち合わせる。


香港島にある#香港仔__アバディーン__#。

水上レストランの#珍寶王國__ジャンボ・キングダム__#が有名である。
アバディーンには数多くのレジャー観光施設が密集している。
外国人を迎える高級ホテルも多く、高級マンションも島のあちこちに建てられ、島の中には大きな警察學院もあるので治安も安心で、富豪所有の豪華クルーザーは島の周りの水上を巡り夜昼なく賑わっている。
#張__チュン__ #家は一大観光地アバディーンの発展に寄与した裏の立役者として、この島のどこにでも顔がきいたし、島の一番見晴らしがいい場所に立派な家を立ててTVにも良く家族揃って顔を出していた。

そんな#張__チュン__#家では今悲鳴の嵐が巻き起こっていた。


「……こっち来ないでェ~~ーーっ!!!!」

一階。吹き抜けの広大なリビング。
一対の悪霊が家の人間に襲い掛かっている。
家具は浮かび上がり跳ね飛ばされ家人を襲う。

「キャアああーッ!!」

すぐ近くの壁に重い椅子がぶつかり、夫人は叫んだ。
子供達も奥に固まって怯えている。
夫は守ろうと悪霊と妻達の間に立ち塞がる。


一対となり動く二体の悪霊は、先ずは夫を引き裂こうと狙いを付ける。


「臓物をバラ撒け~~ーーッ!」



「……外法禁術・葬送術。絶麗」

機洞連登場。



香港の、高速道路5号幹線(Route 5)の上。フルスピードを上げ走る車。
「何とかなったかな?」イン。
「霊盤が指し示す方角にいる、巨財を築いた#張__チュン__#さんと言えば、あの家しかないからな」ラウ。
「たまにはミス・タカメにも役に立ってもらわないと!」
「先生と同じくらいの腕っぷしの術士が向かったらしい。張家はもう安心だとよ!」
風を切り車をかっ飛ばしながら二人は安堵した。
雨はもう既に上がっている。






見張り台の中では引き続き男が自分より大きい正体不明のなにかに抑え込まれ貫かれている。



「グッアアーーーーッ!またイくゥーーーーーーっ!!」

先端が最早#如雨露__ジョウロ__#となり、白濁水を噴水させている。

強烈に痛いだけだった腸は、何時間もずっと超長竿を同じ場所にずり擦られる内に、強烈に襲いくる快楽床へとすっかり感覚を変化させられていた。

両足の間はバケツの水をかけられた様に見えない体液で水浸しになっている。

巨軀がイく度に後ろにバシャンと水を被せられた。

間断的に寄せる快楽の津波に、このままでは溺れ死んでしまう。
息が止まって仕方ない、#内臓内__たいない__#を埋める超長竿から放たれる超快楽。

へりに手をつかせ、後ろから2Mは越す透過した巨体が、熊の様にズッシリと男の体にのしかかり襲いくる。

「ぐはぁーーーーっ!!!」

腰を猛烈な勢いでブンブンと動かして来る。
全部埋まるはずがないのに、全部埋めようとしてくる力を変えない。イけばイく程、エンジンをかけ勢いづいてくる力が恐ろしい。

このままじゃいつかは内臓を突き破られて……!?見張りの男の心臓はドクドクと脈打ってはちきれんばかりだ。

「はぅっ……!あぅっ……あうっ!あぅっ!はうっ……!」

ズンズン結腸の天井を突かれ体を地震が襲う。

「……ふっく!……ふっく!」

激しい揺れは接合部から襲う。高く掲げられた尻を貫かれる度、直腸を超長竿が練り上げる!

「ふっグッ!!ふっグッ!!」

絞り切る様な腰の動きが二撃。

「ふァーーーーッ!もう出ないーーーーーーッ!!」

硬い尻の筋肉がブルブルと揺れる。
男は何も噴出できないまま、頭の中が飛空した。

「あぁ……っ!?」
巨軀は突然吸い込まれるように消え去る。
ドサッと床に落ちる見張りの男。
見張りの男は呆然と、何も無いあたりをキョロキョロと見回した。

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