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面白い未来の作り方8「前祝い(予祝)」

社会が行き詰まり、1年後すら見えない時代。
そんな時は
「わたしの未来は、どうなるのだろう?」
「これからの社会は、どうなるのだろう?」
と予測するのではなく、
「あなたは、どうしたいのか」
と理想(NEW VISION)を描くことから始めることです。

友人の人気作家・森沢明夫さんは、たくさんの一流の人物を取材するなかで、彼らに共通する「成功の方程式」を見いだしたといいます。
「A」(いまの環境)+「B」(起きる出来事)=「X」(自分が何をするか)。これが普通の人の考え方な訳ですが、一流の人は、そうじゃなくて、こうなのだそうです。

「なりたい自分」ー「A」(いまの環境)=「X」(自分が何をするか)

一流の人は、いま現状がこうだから、何しようかじゃないんだそうです。
「なりたい自分」を先に決めて、じゃあ、そうなるために何をするかと時間を逆回転させて考えていく。なりたい自分ありきの逆回転思考なんです。

鬼才クリストファーノーラン監督が最新で手がけた映画『 TENET』は時間の逆回転を描いた作品でしたが、まさに、この時間の逆回転の発想こそ、今、問われていることなんです。

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逆回転事例その1として、格闘家の大山峻護さんの事例をお伝えします。
大山さんは、現役K1選手時代、目標を考えているときに、コーチからこう質問されたそう。

「今年一番興奮する目標は何か?」

ただの目標ではなく、興奮する目標というのがポイントです。2005年当時、世界ナンバーワンのチャンピオンはピーター・アーツ。そのピーター・アーツと、12月31日のゴールデンタイムに放送される「K-1プレミアムダイナマイト」で対戦し、日本全国の人が見守るなか、1分以内の秒殺で勝てたら一番興奮するという答えが出ました。
そこで大山さんは、対ピーター・アーツ戦を想定して練習を始めたのです。

最初にやったことは、ピーター・アーツに勝ったときの、喜び方を決めるところからでした。勝った時に、誰とどの順にハグして、トロフィーのどこにチューをするかまで詳細に決めたのです(笑)。まさに逆回転の発想です。
そして練習を始める前に、毎回、その喜び方をイメージのなかで再現し、喜びをかみしめながら練習をするようにしたのです。

しかし残念ながら、大山さんは体も小さく格下で、1カ月前に発表される世界王者ピーター・アーツの対戦相手に名前があがることはありませんでした。
でも、それでも大山さんはあきらめなかった。なんと、対戦相手が正式に決まったにもかかわらず、ピーター・アーツ対策の一人沖縄強化合宿まで決行したのです。自分は戦えないと正式に決まっているのに、です!(笑)
「大山は、まだピーター・アーツと闘うつもりで練習している」と皆に大笑いされたそうです。それでも合宿を決行。
一番苦しいランニングや砂浜ダッシュでも、ピーター・アーツに勝ったときの喜びで興奮しながら沖縄で練習していたのです。イメージしすぎて、練習中にうれしくて泣き出したこともあったそうです(笑)。
さて、2005年12月31日のK-1プレミアムダイナマイト、どうなったのか?

なんと、なんと、なんと、試合の9日前に突然ピーター・アーツの対戦相手が、ケガをしたんです。開催側も困りはてました。9日前では、さすがに試合に出れる準備をしている選手なんているわけがないんです。
いるわけがない……。
いや、1人だけいました……
大山峻護選手です!

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開催側から、大山さんに電話がかかってきました。
「大山、9日前だがやれるか?」
「はい。準備万端です!」
結果はいかに? 
準備万端の大山峻護選手、1R開始わずか30秒、
ヒールホールドで王者ピーター・アーツを秒殺したのです!
これぞ逆回転のメイク・ドラマです。トロフィーのどこにキスするかまでイメージ通り。ただKO勝ちして、スタッフとハグする順番だけがイメージと少しだけ違ったとか(笑)

逆回転事例その2は、
『1分彼女の法則』を一緒に書いた白鳥マキさんの娘さん。

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ある日、マキさんの娘さんがファッション雑誌『ニコラ』のモデルオーディションを受けたいと言ってきたそうです。このオーディションは、新垣結衣さん、岡本玲さん、永野芽郁さんなどの人気女優を生み出している超人気オーディションで、日本全国から1万人を超えるエントリーが集まるのですが、そのなかから5、6人しか選ばれないんです。ふつうは絶対ムリだって思う確率ですよね。
しかし、マキさんは逆回転させて夢を叶える「予祝」メソッドを娘さんに伝えました。

まず『ニコラ』の雑誌専属モデルになれると、毎月20万部発行される誌面のなかで「ニコラモデル公式ブログ」というのをするようになります。娘さんはまだ何も決まっていない、モデルになる前だというのに、そのブログ上の仮想の自分のファンを相手に、「モデル夢ノート」をつくり、ニコラモデルになった前提で、先にいろいろな夢の返事をつくることにしたのです。
「いま何に興味がありますか?」
「どういうファッションが好きですか?」
「休日は何をしていますか?」
と、いろんな質問があるのですが、自作自演でその質問の答えをノートに書いて、先に自分で「ニコラ公式ブログの質問」に答えちゃったのです。
「好きな食べ物はイチゴです!」とか(笑)。
さらに、モデルに選ばれる前に、サインも自分でつくりました。もうモデルになったつもりで、仮想ファンレターのお返しまで書いたんです。ファンレターなんか1通もきていないのにです。

どうしたら1万2000人近くのなかから選ばれるか、と現在から未来を見てしまったら、そこは不可能としか思えないイバラの道です。
なれない理由しか浮かんでこないし、不安しか生まれません。スタートからゴールを見ると「もう絶対ムリだ」って思いが出ちゃうと思うんです。
でも、娘さんは先に、もう雑誌専属モデルに選ばれたつもりで、楽しみながらその未来にリアリティ(臨場感)を感じ、ゴールからスタート地点へ逆回転させて、ワクワク喜びの中で夢に向かっていったのです。

結果、東大に入るより難しいと言われるニコラモデルになれたのです。
1万2000人近いなかから、2000分の1という6人に選ばれたのです。

逆回転事例その3は、『病気が治る人の予祝思考』を一緒に書いた『みうらクリニック』三浦直樹先生の患者さんの例です。みうらクリニックは、毎月100人以上、ガンや難病の患者さんが訪れる人気のクリニックです。

前祝いの健康術

この本の中で、江崎陽子さん(40代・女性)の例が出てきます。
彼女は30歳のときに乳がんを発症。温存手術を受け、その予後も悪くなかったのですが、10年後に乳がんが再発。2018年春に全身にがんが転移し、おなかには腹水が大量にたまり、文字どおり妊婦さんのような外見だったそう。三浦先生のところに来たときは、担当医から余命6ヵ月の宣告を受けていた。三浦先生は、患者さんには、「ちょっと顔がニヤけるような夢を持ってください」といっているのですが、ワクワクできる願いを持ってる人の方が病気が治りやすいと体験的にわかっているからなのです。

「ガンがよくなったら、どんな服装でどこへ行きたいですか?」との三浦先生の質問に陽子さんは、着物が好きなので、「ハワイに行って、浴衣を着て歩いてヒューヒュー言われたい」といったんだとか。友人がハワイで結婚式を挙げるのでそこに参加したいと。でも、彼女は、歩くのも大変な状態で、段差、数センチの高さでもキツかったそうです。
そんな状態ながらも、みうらクリニックに通いました。結果、抗がん剤治療や腹水の治療を続けて、2年半になり、6か月の余命宣告だったにもかかわらず、宣告された余命を大幅に超えて、すっかり元気になり、なんと今、みうらクリニックで元気に働いてらっしゃるのです。

病気が治るようにという願いは、病気にフォーカスしています。でも、病気が治る人の考え方は病気にフォーカスするのではなく、幸せにフォーカスしているのです。
ですから、江崎さんは病気が治るようにという願いではなく、ハワイに行って、浴衣を着て歩いてヒューヒュー言われてるトキメキの未来にフォーカスしたのです。
歩くのも大変な状態で、段差、数センチの高さでもキツい未来と、ハワイに旅行に行き、浴衣を着て歩いてヒューヒュー言われてるトキメキの未来は共存できません。つまり、ヒューヒューの未来を描いたら、その未来では病気は治ってますので、病気が治るように願う必要はないんです。

病気にフォーカスする必要はないんです。
トキメキにフォーカスすればいいのです。

逆回転事例その4は、甲子園出場回数40回を誇る甲子園常連校、仙台育英高校で長年指導された佐々木順一朗監督の例です。

佐々木監督が率いていた仙台育英がなぜ強かったのか。その秘密をひと言で言うなら、「野球を面白がっているから」です。
佐々木監督自身が誰よりも野球を楽しんでいるんです。
監督自ら真剣にEXILEのダンスを練習して、大会ではウォーミングアップのときに相手選手の見ている前で、ダンスをど真剣に踊ります。

また、野球を面白がるとは、ピンチも楽しむということですから、あらゆるピンチをどう楽しむか、1つひとつ事前に考え抜いているのです。これも逆回転の発想法です。

甲子園出場を決める超大事な決勝戦で、初回に5点取られたときもそうでした。ふつうの監督ならイライラがマックスに達し、選手たちを怒鳴り散らしている場面。しかし、その大ピンチに佐々木監督はこう言ったんです。
「ついにこれを使うときがきたか」
「ついにこれを使う?????」
選手たちはきょとんとしています。監督はおもむろに扇子取り出してパッと開いたのです。その扇子にはこう書かれていました。

あわてず
あせらず
あきらめず♡

選手たちは大爆笑です。笑わせたあとにはこう言いました。
「おまえら、ここまでは俺の予想通りだ」
5点取られたことは想定通りだと言っているんです。監督は続けます。
「5回までに1点返せれば、この試合、俺たちの勝利だ」
そして最後のキメ台詞は、
「おまえら、面白くなってきたな」

これで選手たちの気持ちは最高潮になり、実際にこの試合、5点差を跳ねのけて奇跡の大逆転勝利をしています。佐々木監督は、こう言っていました。

「甲子園に行くことが目的ではない。俺は、選手たちに勝ち負けよりも
『いいオヤジ』になってもらいたいんだ」

やはり、逆回転なんです。
甲子園出場のその先の未来から佐々木監督は逆回転させていたんです。

甲子園出場を目標に掲げるのは何のため?
困難に負けずに夢を叶える、かっこいい大人になってほしい。
そこが佐々木監督のトキメキの最終ゴールなんです。
その先のゴールから逆算してるから、困難に誰よりも楽しんでいる姿を自ら見せているのです。

うまくいかない人は現在から未来に時間が流れており、
うまくいく人は未来から現在に時間が流れています。

現在から未来を見るのではなく、
最高の未来から逆算するのです。

まずはこんなことが起きたら、思わず顔がニヤケちゃうなというトキメキの未来を
五感を使って想像して臨場感をもって描くのです。
次に、その未来を生きることを決意するのです。
すると時間は未来から現在に流れ込むように反転します。

実は、古来日本人はこの逆回転の発想がスタンダードでした。
たとえば、お花見です。
春に満開に咲く「桜」を、秋の「稲」の実りに見立てて、仲間とワイワイお酒を飲みながら先に喜び、お祝いすることで秋の豊作という願いを引き寄せようとしていたのが、日本人のお花見の由来です。

「田植え→豊作→祝い」。この流れを「豊作の祝い→田植え」と、逆回転させていたのです。先に喜び、先に祝うことで、うれしい未来を引き寄せるのです。
いわば「前祝い」ですが、これを古来日本の文化「予祝」(よしゅく)と言います。ちゃんと辞書にも載っている日本古来の知恵です。

この古来日本の引き寄せの法則「予祝」を現代にアップグレードした『前祝いの法則』(ひすいこたろう+大嶋啓介)は2019年度の「読者が選ぶビジネス書グランプリ」の自己啓発部門を受賞し、12万部を超えるベストセラーになりました。

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宝くじのテレビCMでも俳優の役所広司さんが「予祝」と言う場面があったり、高校球児たちの間でも広まり、続々と予祝校が甲子園に出場しています。大嶋啓介が予祝のメンタルコーチをしたチームはミラクルが頻発し、2015〜2019年の4年間で、22校の高校が甲子園出場を果たしています。
札幌大谷高校(北海道) 星稜高校(石川) 明桜高校(秋田) 釜石高校(岩手) 聖光学院(福島) 國學院久我山高校(西東京) 津田学園(三重) 京都成章高校(京都) 岩見知翠館高校(島根) 海星高校(長崎)ほかです。

さらに阪神タイガースの矢野燿大監督も予祝を取り入れて、2軍の監督就任1年目でいきなり2軍を日本一に導き、2019年度では1軍の監督に大抜擢、1年目で奇跡の6連勝でCSシリーズに出場し、阪神タイガースの公式YouTubeで、オススメ本3冊のうち、1冊を予祝を取り上げた『前祝いの法則』を入れてくださっています。

最後は、俳優の武田鉄矢さんの例。
ミュージシャンとしてなかなか売れなかった武田さんは夢に挫折し、博多の実家で寝ていいました。すると、鉄矢さんのお母さんが隣で寝ていたお父さんを起こして、鉄矢さんと3人で「いまから祝杯を上げよう」と突然、言い出したのだそう。鉄矢さんは「めでたかことは、なーんにもなかばい」と伝えると、お母さんは「とにかく先に祝おう」と。
鉄矢さんはわけわからずポカーンです(笑)。
お母さんはこう言いました。
「おまえには貧乏神が取り憑いている」
え!!!!????
「でも、乾杯すればその貧乏神はここまで苦しめているのに、まだおめでとうとか言ってるよ」と拍子抜けして離れていく。だから親子3人でひと芝居打とう」と。
親子3人でひと芝居打ち、予祝したら、武田鉄矢さんのもとに『幸福の黄色いハンカチ』の映画出演のオファーがきて、その後、大ブレイクを果たします。

鉄矢さんは、これが「予祝」だったということをあとで知り「あの夜は忘れられない」と語っています。
願いや想いが、あたかも本当に叶ったかのように先に祝うのです。


Hi Future!
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「なりたい自分」ー「A」(いまの環境)=「X」(自分が何をするか)
トキメキの未来から逆回転させよう
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生きることは祝うこと。
一緒に祝うことから物事を始めていた古来日本人。
まさにそれこそゴールデンジパングにふさわしい素晴らしい文化だなって思うんです。その予祝文化をもう一度、復活させたいんです。
一緒に祝うことから始めましょう!

●THE WORK
想像を超える未来がやってきた前提で、以下のヒーロー(予祝)インタビューにその気になってノリノリで答えちゃおう。
・おめでとうございます。すごい夢が叶ったそうで、いま、どんな気持ちですか?
・仕事もプライベートでも絶好調だと聞いてますが、具体的にはどんなことが起きたんですか?
・とくに嬉しかったことは何ですか?
・一番喜んでくれた人は誰ですか? また、その人からどんな言葉をいただきましたか?
・なぜ、それを成し遂げようと思ったのですか? その思いを聞かせてください。
・それを成し遂げるまでにいろいろな行動をされてきたと思いますが、具体的にどんなことをされてきたのですか?
・とくに、これが今回の達成の要因だったということは?
・それを成し遂げるためにキーマンになった人は誰ですか?
・困難もたくさんあったと思いますが、どんな困難があったのですか?
・その困難をどうやって乗り越えてきたのですか?
・その困難から、どんなことを学ばれたのですか?
・多くの人はあきらめてしまうなか、どうしてあなたはあきらめなかったのですか?
・このことを通して、どんな成長をされたと感じてますか?
・いま、一番感謝を伝えたい人は誰ですか?
・なぜ、その人に感謝を伝えたいのですか?
・感動的な話をありがとうございます。これらかは、さらに、どんな素晴らしいことが起こると思いますか?
・最後に、これからのあなたの挑戦を教えてください。

このヒーローインタビュー。やってあげるとすごく喜ばれるので、家族や大切な友人にぜひやってあげてくださいね。
仲間が集まったら、まずはヒーローインタビューをする。そんな文化を根付かせたいんです。前祝い大国ゴールデンジパングの復活です。


●THE WORD
「喜べば 喜びごとが 喜んで 喜び連れて 喜びに来る」
(大正から明治にかけて詠まれた歌。作者不詳)

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                               ART by purinDECICA


THE FUTURE IS HERE
 WE ARE THE FUTURE
ひすいこたろうでした。
▲▲▲アリガ島▲▲▲




予祝ができる2021年の手帳も作ったよ。使って欲しいな。

しあわせがずっと続く手帳2021 2



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