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隣に引っ越してきたMちゃんの話 1

 私が一人暮らしをしていた頃の話です

 その頃、親達は貸家が二軒くっついたタイプの賃貸に暮らしていました。
 私からみたら、祖父母と別居していたわけです

 私も子供の頃そこに住んでいましたが、その頃は用事がある時にだけ立ち寄る程度になっていました

 ある日、母親から
「隣に、Mちゃん家族が引っ越してきたよ」
 と教えられました
 Mちゃんの家と私の家はまーまー近く、子供会は違いましたが小学生の頃からちょくちょく遊んでいた子で、どうやら自宅を建て替えるまでの間そこに住むらしいとのことでした

 よりにも寄って?
 と、興味津々で早速Mちゃんに会いに行くことにしました
 
 子供の頃の様に
「Mちゃーん」
 と呼ぶと、怪訝そうなMちゃんが隣家から出てきました

 Mちゃんは子供の頃からいつも怪訝そうな顔をして他人の話を鼻で「ふん」みたいな感じで聞く子でした
 話していても決して楽しいとは言えない子でしたが、大人になっても会えば普通に話す感じの付き合いをしていました

「家を建て替えてるんでしょ?楽しみだね~」
 なんて話をしていたと思います、すると唐突にMちゃんが

「私達の前に住んでいた人ってどんな人だったの?」
 と聞いてきました
 おや? 何故にそんな事を、とワクワクする心を抑え

「前は大家さんが住んでたけど」

「じゃその大家さんは今どこに住んでるの?」

 おやおや~ワクワク

「私も暫く振りで帰って来たからちょっとわかんないけど・・・。 聞いたこともないからな~」

と言うと

「誰に聞いても前に住んでた人の事、わかんないって言うんだよね~」

 と何時もの怪訝そうな顔を私に向けて言いました