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新作の紹介(1):「1/9スケール WW2ドイツSquad Leader」

ModelCellarからキットの献品が届いたので、今年の新作の紹介をしたいと思います。第2次世界大戦時の、MP40サブマシンガンを構える「ドイツ兵Squad Leader(分隊長)」です。

仮組み(未接着状態)

我ながら1/9スケールにおけるドイツ兵フィギュアの最高傑作造形が出来たと自負しています。このキットを形に出来たことを誇りに思うと同時に、キット化までの流れをざっくりと振り返ってみたいと思います。


アナログとデジタルの融合造形

この作品は、私が初めて試みた「アナログ造形とデジタル造形の真の融合」です。基本形を造形したのは私自身がアナログ造形からデジタルに移行した際の頃(2017頃)です。
この造形は長い間構想自体すでに頭の中にありました。やる前から脳内で造形は完成していたと言っても過言ではないくらいです。どうしても脳内から出力したくなり我慢できなくなった頃合いで
「実際に粘土を手で触りながら作る伝統的な手法で「エイやっ」と勢いで造形してしまいたい」
という衝動に駆られて造形しました↓。

クレイによる基本造形

アルミ線で軸にしてアルミホイルを巻いたものを軸に、スカルピー粘土を盛り付けていき、後はスパチュラを使って盛ったり削ったりの繰り返し。脳内イメージだけはある程度練っていてすでに出来ていたので、基本形はほぼ1日で造形したと思います。造形中はかなりゾーンに入っていました。はっと気がついて我に返ったら上のものが出来ていました。

デジタル化

我に返って気がついたのですが、
「さてこれをどうやってデジタルで仕上げようか?」
ということでした。

SUPER NOVA DIGITAL DESIGNさんに依頼し、この造形を3Dスキャンしてもらうことにしました。

スキャン後のデータをZBrushで修復し、造形。MP40サブマシンガンも新規でイチからモデリングしました。

このあと造形のブラッシュアップ>パーツ分割・・・などなど、とてもとても時間がかかりました。このあたりは長すぎるのととても簡単には書ききれないので割合。

仮出力テストショット

基本形が出来たあと、仮出力をFDMプリンタ・Qholia(クオリア)で行いました↓。

プロトタイプ完成↓。

キット完成

その後、ディテール修正、諸々を経て(このあたりも割合)、最終的に光造形プリンターで出力をし、納品。

無事、今回のリリースの運びとなりました。基本形を作ったのが2017年。そしてデータと原型自体は3年ほど前に納品したのですが、色々とありまして。構想からリリースまでに実に5年もかかってしまいましたが、ようやく形にすることが出来ました。
この献品(↓)が届いたときは最初にクレイ造形をした頃のことからの長い長い流れが走馬灯のように・・・(笑)いやほんと・・・長かったです。

来週末(2022/5/14)、MFCAショーにてリリース

このキットはアメリカのレジンフィギュアメーカー「ModelCellar」から来週末フィラデルフィアで行われるMFCAショーにてリリース・先行発売されます↓。

MFCAショーとは、「Miniature Figure Collectors of Ameria」の略で、今年第79回を迎える、毎年フィラデルフィアのラディッソンホテルで開催される伝統的なミリタリー・ヒストリカルミニチュアのイベントです。新製品の発表や作品のコンペなどが行われます。

私が原型をよく依頼されるModelCellarはそのフィラデルフィアで90年代から運営されている老舗ガレージキットメーカーです。毎年このMFCAで新製品リリースと先行発売を行っています。

1/9スケールは大きくて人気があるスケールとは言えません。しかし、「この造形を表現するにふさわしいスケール」としてこのスケールでリリースすることにしました。デジタル化の恩恵でスケールダウンも可能になったので、反響が良ければ1/16スケールも予定しているそうです。

以上、新作(私の現時点での1/9スケールにおける最高傑作ドイツ兵造形)の紹介でした。

ではまた。
(続く)

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