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キーボードのこと

(5,550文字)

メインをHHKB Pro2からリアルフォースへ

前回、メインのデジタルモデリング機をMacからRyzenマシンに移行した話を書きました。

それと同時にメインキーボードもHappy Hacking Keyboard Pro2 (以下HHKB Pro2) から「東プレ・REALFORCE (リアルフォース) R2」に移行しました。

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正確にいうとHHKB Pro2はMacで使い続けます(別にMacを捨てたわけではなくMac・Winの良いとこ取りの両刀使いなので)。デジタルモデリングのメイン機がWindowsになったので必然的にキーボードのメインもREALFORCEに移行する、というわけです。

私はこの「キーボード」という道具が大好きです。ZBrushを奏でるワコムのスタイラスペンももちろん大好きですが、まだまだキーボードへの愛を超えていません。今回はその大好きなキーボードについて、極私的な思い満載のよもやま話をつらつら・長々と書いてみようと思います。

MacならHHKB、WindowsならREALFORCE

いきなり私の勝手な価値観ですが、私は

「MacならHHKB、WindowsならREALFORCE」

です。

理由は、HHKBは無駄を削ぎ落とした特殊配列で文字入力に特化しており、REALFORCEは標準配列でWindowsの操作と親和性が高いキーが充実しているからです。

HHKBはUNIX配列ということもありちょっとハッカー的モードになるのが快感なキーボードですが、Macのほうが相性が良いと感じます。macOSがUNIXベースOSというのも一理あるかもしれません。が、それはユーザーの思い込み・気分的な要素の方が高いのでは、というのが私が長年使ってみた率直な意見です。GUIが発達したmacOSではその事はさほど理由にはならないかなと私は思っています。

それよりも何よりも、Macはマウスやトラックパッドを使ったジェスチャーによる操作感の重要度やそれを実現する完成度が非常に高い。キーボードで操作を完結するというよりもマウスやトラックパッドと組み合わせて操作するのが大前提のOSです。

それは、Mac版・Win版の同じアプリを使うとその違いがよく分かります。例えばここでは「VSCode」というMac・Win版両方あるアプリで見てみます。Macでは操作最後の意思決定キーである「キャンセル/保存」はマウスやトラックパッドを使わないと押せません。↓

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対してWindowsは「S」で保存が出来たり、タブキーで「キャンセル/保存」を行き来して選択が出来ます。↓

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また、OSの最重要な意思決定操作である「スリープ・再起動・終了」などが入っているAppleメニュー・Windowsメニューにもそれがよく現れています。Appleメニューはこのように基本的にはキーボード操作でのセッション終了動作を許していません。↓

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対してWindowsはキー操作てんこ盛りです。画像は「Windowsキー+X」で出るメニューですが、ご丁寧にショートカットキーにわざわざアンダーラインを引いて「キーで操作して下さい」感満載です。↓

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何を最も重視して設計されているのかという思想がこういう細かい部分にも垣間見れます。

このように、Macは基本操作やナビゲーションでのマウス・トラックパッドの重要度が高くキーボードは「入力」という機能に特化した考え。なので文字を打つこと以外を徹底して効率化し無駄を排除したHHKBはMacと親和性が高い、という印象です。また、これは私だけかもですがMac脳モードのときはHHKBの持つ特殊性(変態性?)があるほうがドーパミンが出る感じです。

対してWindowsはMacに比べてキー操作が充実しており、OSの基本的な設計としてキー操作と親和性が高い。覚えると色々な操作が非常に早く出来て使いやすくなります。これらはWindowsの特徴的な世界観・価値観です。私はMac歴が長い割にはトラックパッドよりもキーボードでの操作が結構好きで、なかなか結構気に入っているWindowsの特徴です。

このようにWindowsはキー操作が充実しているので、Windowsに向かうときは

「Fキー、右側に配置されているポジション移動キー(ブラウジングに超便利)、スクリーンショットキーなどの便利キーたちをバンバン活用したい」

・・・と、ついつい脳がそういう「キー操作による利便性大活用」モードになります。そのような「楽」「利便性」「実用性」を最優先するWindows脳モードではHHKBのような特殊配列はポテンシャルを十分に引き出せず、あまり使う気になれないのです。

REALFORCEは良くも悪くも「標準的」です。JIS配列・英語配列ともに一般的に売られているWindows向けのキーボードと変わりません。実際にWindowsでは他のメーカーの英語配列キーボードなどを使ってみたりしていましたが、それらと配列が変わらないので他のキーボードからREALFORCEに移行してもほとんど違和感はありません。

なので悩まず、シンプルに、「WindowsにはREALFORCE」という感じです。

誰が何と言おうと私は英語配列ファンである

私はMacもWindowsも英語配列ファンです。まぁ私などがここでそう力説したからといって

「お、おぅ。まぁ、勝手にどうぞ」

という感じだと思います。私も別に人に強く勧めたりしません。むしろ周りの誰も使わなくて良い。単に、

「たとえ誰がなんと言おうと自分はこれが好き」

という強い自己満足を満たすために使っています。英語配列でも日本語入力に全く不都合はないので、わざわざJISにする理由が1ミリもないのですね。英語配列キーボードの良い点は、

・全く不必要な「かな文字表記」がなく見た目がスッキリして美しい

・個人的に全く使わないのにうっかり触って入力が不本意に切り替わってイラッとしてしまうスペースバー両隣の「変換」「無変換」キーがない

・ホームポジションが中央に配置されている(JIS配列は中心が左より)

・「 」や{ }など、対になってるキーがちゃんと左右に並んでいる。

・Deleteキーが大きくて押しやすい

などなどです。

簡単に言うと、英語配列キーボードには日本独自発展の仕様や余計なキーがないのです。なんだかJIS配列をディスっているような書き方ですが、実はJIS配列の旧モデルのリアルフォースも持っていて、実際、長く使っていたりします。つまり想像で書いてるわけではなく、どちらもそれなりに使い込んだ上での意見・評価です。使い込めば使い込むほど、私の中では英語配列のほうに軍配が上がります。

というわけで、今回は英語配列を選びました。

選んだのは変荷重・テンキーレス

リアルフォースには英語配列にもJIS配列にも色々なタイプがあります。私が購入したのは、テンキーレスで、キーの押圧が配置によって違う変荷重のタイプです。

前述したようにREALFORCEは旧モデルのJISタイプも持っていますが、旧モデルと比べて随分とコンパクトに締まってカッコよくなりました。(画像はHHKB Pro2との比較。それでもHHKBと比べると大きいですが)

今回は初めて「変荷重」を選んでみました。単に使ったことがなかったので興味があった、というのが理由なのです。これがまた、使い込んでいくとジワジワと良さが分かってきます。

「変荷重」簡単に説明すると、「小指側が軽いキーボード」です。

色々なレビュー評価を読むと、ゲームには向いていないようです。しかし、私のように「文字を大量に打つ」というのが目的な人には非常に向いていると感じます。私は「英数・日本語」切り替えのために、「A」キー左側にある「CAPS」キーを「CTRL」キーに変更して使っています。長く打っていると無意識に小指を酷使します。なので「変荷重」だと圧倒的に疲労感が違う感じです。

テンキーレスを選んだのは、単純に置くスペースの問題です。PCを複数並べて使う場合、横に長いキーボードは結構スペースを占有してしまいます。渡しの場合MacとWindowsを横に並べて使うのでキーボードはコンパクトな方がよい。というわけで、テンキーレスを選びました。

Blenderでは数字キーで方向を切り替えられるのでテンキーがあると便利なのですが、アルファベットの上に配置されている普通の数字キーでも代用出来るのでここは「ま、いいかな」ということにしました。

REALFORCE R2の使い心地

キーボードの使い心地って、レビューを動画で見ても記事を読んでもなかなかピンと来ないものです。個人のフィーリングに関わる部分なので文字で伝えるのが難しいのです。なのでここで「使い心地」を書くことに意味があるのか?とすら思ったり・・・

でも、やはり「キーボード」なので打って実際にその道具を使ってその感覚を表現したい。実際にこのREALFORCEで打ちながら感想を表現したい。伝わる・伝わらないは2の次にして、そういう気持ちで書いてみようと思います。

まず、「デザイン」です。

見た目のデザイン的なスッキリ感や質感ですが、新モデルのR2はキーの手触りがHHKB Pro2とよく似ています。印字は旧モデルはゴールドに近い色で見やすい感じでしたが、今回のはHHKBと同じ墨色のキーに黒の文字です。ぱっと見ほとんど見えませんので、ブラインドタッチ出来る事大前提、という感じです。私は複数の違うキーボードを使う事が多くたまにキーを確認する、という感じので完全無刻印キーよりもこの黒文字がちょうど良いです。

次に、売りの一つである「エルゴノミクスなステップスカルプチャー」です。公式サイトにはこう書かれています。

エルゴノミクスなステップスカルプチャー
各列に段差のあるステップスカルプチャー構造により、指の動きにフィットしてキー入力がしやすく、長時間の操作も快適です。

簡単に言うと、微妙にお椀型に湾曲しています。これが、微妙すぎて一見分からないのですが、しばらく使っていて他のキーボードを使うと

「あぁ・・・なんか・・・うん、違うわこれ。」

と、「違いが分かる男」になります。特にフラットデザインの究極のようなMac純正キーボードなどと使い比べてみると顕著です。

次に「キータッチ」です。公式サイトにはこう書かれています。

静電容量無接点方式スイッチにより極上のキータッチを実現
データセンター等でのプロのキーパンチャーの方々に選ばれた極上のキータッチとチャタリングしない無接点構造、さらに、指への負担を軽減し、指の動きをスムーズにするステップスカルプチャー構造によって長時間のキー入力操作でも快適に操作できます。

キータッチはキーごとの打鍵感が単に物理的に軽いだけではなく、この前述したステップスカルプチャーとのコラボによって生み出されてるという感じです。

購入直後に早速繋いで打ってみた感想は、

「コトコトコトコト・・・コッ(Enterを打つ音)」

という感じのHHKBとはまた一味違って、

「スコスコスコスコ・・・・・コキッ(Enterを打つ音)」

みたいな軽い打ち心地だな、というのがファーストインプレッションでした。(伝わるかなぁ・・・?) 

HHKBはダイスを転がすような微妙に重みのある感触といいますか・・・色で例えると、HHKBは微妙に湿り気のあるセミグロスブラック、REALFORCEは完全つや消しなマットブラックな打ち心地です。(ますます伝わりにくい?)

HHKBよりタッチが軽いので最初は少しミスが出がちですが、慣れてきて長時間打つと気持ちいいのがリアルフォース。慣れてくるともう

「スコスコスコ、スココココ、スコ、スコスコスコスコ・・・・」

休憩。

「スコスコ、スコスコスコ、スコスコスコスコスコ、ココ、スコ・・」

と、もう永遠にスコスコしたくなります。頭で考えるより指自体がこのスコスコ感を求めるようになってくる気分です。

新モデルのR2は旧モデルよりもこのスコスコ感が増してこれまた気持ちいいです。かなり気に入りました。

HHKB Pro2との比較

REALFORCE R2をしばらく使っていて、だんだん慣れてきた後に Macに繋いであるHHKB Pro2を使ってみました。すると衝撃の結果が・・・

「あれ?・・・・重い・・・・」

あんなに長く愛用してきた、すっかり身体の一部になって「一生一緒だ」とまで思っていたHHKB Pro2が、「重い」。

これはたぶんHHKB Pro2が押圧45gと重いのでそのせいだろうと思い、REALFORCEの旧モデルを使ってみたら、こっちも「重い」。

正直、こんな重いキーを今まで「軽くて打ちやすいー」と叩いていたのが信じられないくらいに重いのです。

そのくらい、このR2は「軽い」ということです。しかも軽いのにミスタッチも旧モデルより減ったような気がします。いやほんと、正直驚きました。素晴らしいです、REALFORCE R2。

まとめ

お値段がお高いので、余程文字を打つことに特別に拘りを持つ人以外には決してお勧め出来ません。しかし、価格にその価値を見出せる人なら絶対に後悔しないと思います。特に他のキーボードも使うことが多い人は特殊配列のHHKBよりも標準配列のREALFORCEがいいかもです。HHKBも旧REALFORCEも10年以上使ってるのにびくともせず未だ現役です。このモデルも10年以上使おうと思っています。

  「2万円出して10年使えば2,000円/年でサブスクって感じか」

と思えば安いものです。

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