「なお空気抵抗はないものとする」世界に行きたい話。

ガソリンスタンドで働くあの人の会いたくて、意味もなく30kmも車を走らせたり、クリーニング屋のあの人に会いたくて、わざとスーツにアイスを零すような恋愛が好きだった。

用があるから会うのが知人で、用もなく会えるのが友達、用を作って会いに行くのが好きな人だと誰かが言っていた。

最近の世界はつまらない。
用を作るのが難しい世界が出来上がってきちゃったから。
疫病は、人々の生活を脅かす反面、技術の進歩を加速される反作用がある。まさしく、「破壊の後の再生」だ。

物事の大半は、現実世界を離れ仮想世界で完結してしまう。
大切なことも、場所と時間に囚われずオンラインというインターネットの海を泳げば辿り着いてしまう。


話を戻そう。

最近の車は燃費が良すぎる。
洗濯機で洗えるスーツがありすぎる。
これじゃあ、わざわざ店に出向く必要がなくなっちゃったじゃないか!

効率的になりすぎた社会では、用を作るのが難しすぎると思うの。
もう単純に「会いたかったから来ました」と出向くしか方法がなくなるのだろうか。
理由付けて会いに行ったら「これだからシャイな人は」とか「そんな用ならわざわざ来る必要ある?」とか罵倒されそうな未来が来そうで、考えるだけでおぞましい。

やっぱり生活は少し不便なくらいが楽しいと思う。
なにかと無駄を省くという文化にアンチテーゼを掲げるには、きっと人と人との繋がり、すなわち愛を語るのが唯一の方法だろうなきっと。自分ならそうする。


貴方には用を作ってまで会いたい人がいますか?

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