ERPと業務の標準化(その2)

システムリプレイス(入替)を考えたくなる課題

すでに導入したERPや単一機能型システムに対し、リプレイスをトップマネジメントが検討したくなる課題感や背景を先に挙げたい。

①個別最適に留まっており、さらなる効果の創出には限界を感じている
②部門間・機能間に生じる間接業務に対する仕組みがなく、スピード感が失われている

標準化および更なる変革に向けたミッション

前述の課題に対し、逆説的な表現になるが、「全体的視点に立った業務改善活動」を志したい。

変革には段階的な発展をストーリーとして描くべきだ。

継続的な業務改善活動を進めながら一定のレベルに達したところで「標準化」に着手し、その後、システムを活用して「自動化」を進めるというステップである。

また、BPO先となるベンダーとの長期にわたる関係の構築・維持についても考えておくべきである。
ベンダーが自社の求める品質レベルで、その業務を主体的に担う能力を有しているかを検証することが重要なポイントでもある。注意したいのは、現時点の能力のみならず、将来発生しうる想定可能な事項を織り込んで考えることである。

分かり易く

なぜこのような事前準備が大事なのか。

それは全社を最適化するERP導入において、プロジェクトマネジメントは切り離せない要素であるからだ。

失敗プロジェクトはプロジェクトマネジメントのお作法ができていない場合が多く、成功プロジェクトは振り返ればお作法ができているのである。

これは私がZAC導入支援のプロジェクトを経験する中でも感覚として正しいと思っている。

全社の最適化といっても、全ての機能に十分なリソースを充てることは難しく、基本的な機能を実現して、グループ会社からの信頼と実績を得ながらリソースの拡充を図っていくことが、大切だ。

ERP導入などシステム化の背景に潜むジレンマ

ITシステムの力を借りて、業務の標準化を進めることができたとしよう。

効率化とコスト削減の恩恵を受ける反面、今まで手を動かして習得されてきた複雑かつ高度な処理や全体を見渡す能力が、なかなか身に着けづらいのである。

つまり、若手のリーダー後継者不足を招く可能性があるのだ。

高付加価値業務(分析や戦略的意思決定など)を担う人材の確保を考えると、テクノロジーによって、オペレーター的現場担当とマネジメントとの間に大きな溝というか崖ともいうべきスキルの差が生まれているように感じる。

私もそこには苦労している。
数字を見た際に違和感を覚えるか、実務担当や現場との対話でリテラシー高く目線を合わせて話ができるか、というようなことである。

まとめ

全社を最適化するERP導入による業務の標準化は、一部で社内失業とも言えるような状況も生み出しうる。

前の記事でも書いたが、創出したリソースをどう活かすかまでをしっかりと考えておくことが必須である。

そういった従前のオペレーション業務を担っていた人材の受け皿や新たな活躍場を設計しなくてはならない。

深刻化すると、プロジェクトの抵抗勢力になりかねないので、プロジェクト関係者と信頼を築きながら、推進していきたい。

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