「天下り官僚を雇用しないと、認可を貰えない、創造性・自由を発揮できない」天下りの弊害は、教育・人の劣化

 天下りの仕組みと弊害を、内田樹著『コモンの再生』からの引用で問題提起します。同書129頁「小学1年生の道徳の教科書検定」は、日本の教育劣化を象徴する話で、悲しくなります。

 小学1年生の道徳教科書に「パン屋」が出てくるのを役所から「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ内容になっていない」と意見が付き、教科書会社が「パン屋」を「和菓子屋」に変えたら検定を通ったということで問題になりました。

 これ、問題が多すぎ、かつ深刻すぎ。 以下は問題の一例です。
1) 小学1年生は「和菓子」という漢字を読めない。
2) パン屋は全国どの町にもあるが、和菓子屋は数が少なく、実物をイメージできない。
3) 事情通(天下り官僚)が「パン屋を和菓子屋に 変えたら検定に通る」と助言したら、検定に通る。 つまり、天下り官僚を雇用しないと「検定に通らない=認可をもらえない」!

 この天下りの仕組みを同書128頁で「天下りのマッチポンプ」と定義。

 役所は「暗号解読の専門家(天下り官僚)がいないと解読できない通達」や「事情通(天下り官僚)がいないと申請の仕方が分からない助成金」を出し続けることで(中略)「天下り」の雇用を創出している。

 マッチポンプとは、自らマッチで火をつけ、自らポンプで水を掛けて消す犯罪のように、自分の利益獲得の為に、わざと自分で問題・犯罪を起こし、自ら解決すること。

同書は「天下りを犯罪」と婉曲的に描写するが、これを私的に整理します。
天下りの弊害として、マスコミの指摘は「高給を貰いすぎ」という金の話ばかり。

だが、この例から「小学1年生が読めない漢字を使う、実物をイメージできない例を使う」という「教育の劣化」など、天下りにより深刻な弊害が生じている!

だから「日本の再生は、コモン(公務員・政治家など公職)の再生」から始まる!と説く同書「コモンの再生」著者の内田樹氏に拍手をおくりたい。
 

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