前例が無い事業・商品を創造し、起業に成功する顧客観察・アンケート調査法~キャリアを創る名著:100憶マニュアル

キャリアを創る名著『100億マニュアル』書評3回目です。 

成功者は、前例が無い事業・商品を創造

100億を稼ぐ肝は「まだ世に無い商品(前例が無い事業)の創造」にある、と説く 本書の主張は正しい。 だが、前例が無い事業・商品の創造には、
次2つの難題がある。

1) 顧客が、まだ世に無い商品を欲しいとは言語化できない
2) 上司・組織(特に役所)が、前例の無い事は絶対に認めない


前例が無い事業を創造する3つの手順(解決策)

1) 顧客の行動(消費者行動)を観察し、顧客の潜在ニーズを発見する
2) 顧客に「こんな商品が欲しかった」と言わせる(言語化を促す)
3) 上司に1の結果を、アンケート調査などで言語化して証明する

難題(課題)は2つですが、解決策(手順)は3つに増える事に注目しよう。
顧客の行動を観察する「顧客視点、顧客始点」を追加して成功できる。


役所の事業が失敗する理由:いきなりアンケート調査

役所の事業は多くが失敗する理由が、上記で分かる。
解決策は3つの手順を踏むのに、 いきなりアンケート調査だけ行い、
顧客始点でないダメ事業を大きく始めるから失敗するのです。

そこで、前例が無い事業を創造する3つの手順を『100億マニュアル』著者の梅澤氏が 28歳の若さで1968年に開発したヒット商品「サンスタートニックシャンプー」を例に解説します。

今から52年前の1968年、シャンプー市場は、女性用しか存在しなかった。つまり、 男性用シャンプーという商品・市場は、まだ世に存在しなかった。 

梅澤氏は、男性用シャンプーという商品・市場を創造する為、まず
男女の違いを発見すべく、男女の洗髪行動という顧客観察を徹底的に行う。

事業・商品の創造は、顧客観察・顧客視点から始まる

顧客観察から「女性は髪を洗うvs男性は頭皮を洗う」違いを発見できた。
成功要因は、男女の違いを発見するという仮説と着眼点を有していた事にある。 この段階で梅澤氏は、上司に「頭皮を洗う男性専用シャンプー開発」を提案するが 「前例が無い。データも無い。まずは確かなデータを出せ」と、却下される。

顧客観察で得た顧客ニーズを、アンケート調査で検証

 そこで、アンケート調査で、シャンプーの目的・ニーズが男女で違う事を明確に言語化していく。 最初の質問で
「あなたは洗髪する時、髪を洗うかvs頭皮を洗うか」と問うた。

この質問で顧客は初めて「洗髪とは、髪を洗うか、頭皮を洗うか」を意識した。 この意識を喚起しないと顧客は「洗髪は読んで字の如く、髪を洗う」事と当然視する。

アンケートで、前例が無い事業・商品の価値を言語化

次の質問は、頭皮を洗うと回答するであろう男性顧客を想定して、頭皮を洗う 目的を問う。 上位回答は、気分を爽快にしたい。かゆみ・ふけをとる。

この2つの目的を叶える「サンスタートニックシャンプー」を1968年に発売すると 大ヒット。52年後の現在も男性用シャンプー1位の超ロングセラー人気商品となる。

 梅澤氏はこの功績が評価され、日用品業界で世界一の大企業へスカウトされる。 大企業で、もっと大きな成功を達成し、起業する。
この「就職→転職→起業」キャリアは欧米では王道です。詳細は以下。

     キャリアづくり、商品づくりの事例は以下の連載が参考になります。

1話 成功例を、縦割主義で定義・美化するから、読者は失敗する

2話 歴史を書き換える出版で、シビックプライドを創造→移住者が増加

3話 金/予算が無いなら、協働のプル戦略~努力しても成功できない原因

4話 地方が衰退する原因は弱いくせに、競争するから~競わない地方創生

5話 個性を磨け~ありきたりな政策は供給過多で、価格競争/デフレに陥る

6話  連携ありきで無節操に人を集める失敗~連携/恋愛は1本釣りで成功 

7話 顧客目線とは顧客を絞る事~嫌われる勇気を持つと顧客目線になれる

8話 売上増加より、コスト削減に、予算を使え~代理店へ丸投げ多すぎ

9話 地域おこし協力隊の採用/活用5分類~人を使い捨てるブラック自治体

10話 役所の広報予算は 1/10に抑制できる~役所は広告代理店のカモ

11話 役所の 婚活パーティが酷い~政策と情報発信を改革する公務員研修録

12話 ゆるキャラ使い、重い結論を、軽い言葉で依頼するな~公務員研修録

13話 政策を考える前提~研修は同じでも環境が正反対なら、成果も正反対

14話 公務員は博打好き~成功確率1%で、いきなり多額投資の政策は博打

15話 帰納法で創造力と個性を高める~演繹法は皆が同じ(無個性)になる

16話 政策立案ノウハウ全公開~成功例だけ紹介→真似するから地方は衰退

17話 「裏が見えない=表面だけ視る」から失敗する~質問力を高める方法

18話 論理偏重は信頼されない~感情と論理の調和で、信頼される公務員に

19話 人材育成(研修)の基本~今は大物の恩師は新人の私をこう指導した

20話 創造的&貢献的な仕事だけが残る~役所仕事と裁量仕事は消滅

21話 地域資源がPRしても「埋もれる、顧客に伝わらない」訳と解決策

22話 オール与党化の地方自治・議会は、学習と改革を放棄して腐敗

23話 農業や観光をブラック産業にする地方(ブラック自治体)は衰退

24話 箱物(ハード)を集客を高める鍵は、ソフトの切り口

25話 個性あるブランド都市vsミニ東京化で個性を喪失して衰退する都市

26話 役所の仕事をした「ふり、アリバイ作り」が地方衰退の元凶

27話 人口減少策に成功した海士町と下諏訪町の共通項~連携、市民主役

28話 成功者は育てる~成功者に惹かれて、起業者・移住者が地方に集まる

29話 コニュニティの「しがらみ」を価値に変える~久繁哲之介の講演録

30話 地方創生は顧客価値の創造~顧客の声は面倒だから無視して商店街消滅

31話 できない理由・批判されそうな事を先に探して失敗する地方創生の真実

32話 地域ブランドと、ぼったくりは紙一重~ぼったくりでないブランド化

33話 市町村合併で、個性を無くして、地方は更に衰退

34話 お上が認める表彰・計画だから、地方と人を骨抜きにする

35話 人口誘致も、NHK大河ドラマ誘致も、手段が目的化して失敗

36話 定住志向だから失敗~2地域居住など利用志向の地方は成功

37話 空き家と地方衰退は、シェアリングエコノミーで解決

38話 人口減少政策の間違いが、空き家急増や街中衰退を加速

39話 郷に入れば郷に従えは人が流出→人口減少vsダイバーシティで人口増

40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める

41話 内定辞退率63%のブラック自治体に見る、マザコン公務員

42話 関係人口⇔交流人口⇔定住人口の質量で、政策を創る~商店街再生1

43話 車&ネットは、まちと人を変え、関係人口も変える~商店街再生2

44話 失敗は「良いvs悪い」失敗と「自責vs他責」に分ける~商店街再生3

45話 皆が自分の為だけの消費に走り、地方・商店街は衰退~商店街再生4

46話 子育て政策も商店街政策も、公私連携な働き方で成功~商店街再生5

47話 久繁哲之介の経営指導で再生・成長した商店~商店街再生6

48話 地方創生は個性の創造が必要~地方は閉鎖的・つまらないから衰退

49話 自由裁量が高い町で、移住者が急増~自分探しの若者を受け入れろ

50話 地方移住の成功法~住む場所・目的を変えて、失敗が成功に変わる

51話 事業を始める事しか考えない役所の事業は失敗~育成と撤退も考える

52話 難易度・投資は低く、効果は高い事業を創れ~協働、パラレルキャリア

53話 できる2割を活かすパレート法則で地方創生~ダメな者の保護で衰退 

54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳

55話 自分探しの若者・定住意欲が低い者を応援できる地方に、移住者が急増

56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実


57話 ふるさと納税&クラウドファンディングの欠陥~寄付で稼ぐな

58話 自治体がクラウドファンディングを運営する効果

59話 住宅の空き家・店舗の空室化を「予測、代替、関係」で解決

60話 スキル無き素人な公務員の補助金ばらまき、6つの病と処方箋

 
 60話の内、読者(地方議員・公務員)から反響が大きいベスト3

3位 働き方をこのように改革したいと、公務員向け研修の依頼
40話 仕事の引継ぎは、前例と方法でなく、目的と価値を伝え価値を高める

2位 人口減少対策・地方へ移住政策に活用したいと、講演の依頼
54話 関係人口・顧客の口コミで観光者と移住者が急増~役所広報がダメな訳

1位 これが地方と公務員が劣化する真の原因。本にして世に問うてほしい
56話 忖度させる首長が、公務員と地方を劣化させる~地方衰退の真実


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