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中学の時の後輩へ

藤枝へ。

お元気ですか? 君の夢を見て、ちょっとなんだか、あの頃の君と、そして僕が、救われていて欲しいと思ってこんなことを書いています。
あの頃、僕はなんと名乗っていたかなぁ? 虎ビか春樹だと思うんだけど忘れた。君は男の人みたいな名前で書いていたね。藤枝かずやだったと思うけど漢字忘れちゃったよ。

君はとても美人だったのに、それを拒絶するように前髪を伸ばし、黒縁の眼鏡で、でも胸を張って生きていたように思う。僕はそれを何のフォローもできない、ダメな猫背の先輩でしたね。それなのによく慕ってくれてありがとう。

言い訳でしかないけど、あの頃の僕は、今よりも、もっと未熟で、自身の感情に振り回されて、親に振り回されて、あの街に縛られていました。自分で精一杯でした。そういう僕が、先輩面することを許してくれてありがとう。

僕ら2コ学年が離れていて、間のK(ペンネーム失念)と私は、すらいむけり先輩がいる間はすごく仲が良かったのに、先輩が卒業してから決裂してしまった。
それだけじゃなくて、僕はKに攻撃的になってしまった。当時、自分が部長なのを忘れて。部が小さかったから(同好会だったもんね)問題にならなかったけど、あれは根がいじめと一緒だったと今でも反省してるし、一生反省すると思う。
私は立場が許せば、いじめをする人間なんだという自認は、しっかりしていこうと思っている。

そのことは僕の中で自分が先輩として、人間として失格だと、とても深い傷になってしまった。Kはもっと傷ついたんだろうけど。卒業してから何度か連絡して拒絶された。
だから、そんな僕を慕ってくれて、本当にありがとうね。藤枝には救われたと思っていた。それを伝える話でもない、勝手に救われた話の気もして、そのまま卒業した。

あの街は、僕には狭くて、暗くて、寒かった。小学生のころから夢が「家を出ること」だった。いつも消えてなくなりたかった。
そんなことを部活の間だけ忘れていられたよ。

あの街を出てようやく、あの街の良さもわかる気がした。戻る気は、まるでないけど。あそこは僕の生きる場所じゃなかった。それを自覚したらちょっと楽になったよ。まだちょっと、親のそばに居場所を欲しかったと思うことがあるけど……兄も弟も実家にいるんでね。

君は45歳かな? 子供……早ければ孫がいたりする年齢か。どう? ちゃんと成熟できた? 僕は未熟なままで生きることにしたよ。まぁ、選択したつもりはなかったけれど、結果、そういう選択をしていた。
結婚や出産や育児が成熟することだとは思わないけれど、やはり、それを経験した人とは人生の成熟度の方向性が全く異なるなぁと、つくづく思うよ。

だけどさ、そろそろ育児もひと段落な年齢じゃない? 僕は自分でいっぱい過ぎて子供のころの記憶が、ほとんどないんだよね。藤枝の作品をさっぱり思い出せないんだ。たくさん、いろんな物語を共有してたと思うのに、意外と、そうでもなかったのかな? 今でも物語を紡いでいる? 君の作品見せて欲しいなぁ。まだベタ多めなのかなぁ。あ、ちょっと思い出した。

僕は最近は創作はしなくなってしまって、ほとんど日常エッセイ的なブログを書くだけだよ。それでも僕というフィルターを通したこの世界は、僕の作品だと思っているけどね。すべてフィクションみたいなもんだよ。
それでもムキになってリアルとつなげて「職場に報告する」なんて文句言ってくる頭のおかしい奴がいて、最近アカウント刷新したんだ。
とても面倒だったよ。

愚痴ってしまった。

藤枝も「あの場所ではなかった」のではないかな? ただの投影かな?
君がどこかで羽ばたいていますように。
僕はまだ、自分が置かれるべき場所を探してさまよっていますが、悪くない感じですよ。

いつか、君が飲めれば一献傾けたいものです。

2024年9月27日 ひさの拝

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