アイヌに深入り

 きっかけは池澤夏樹さんの『静かな大地』でした。日本が単一民族国家ではないことは承知していたのに、それでも今までほとんどその歴史や文化を知ることのなかった、アイヌ民族に興味を持ち始めたのは。そうなると不思議なもので、みんな偶然、たまたまなんだけど、アイヌ関連の情報が重なるようにして入ってくる。

 休みの日、実家に顔を出すと、郷土の偉人を簡単に紹介した本が目に留まりました。ホホォ、と感心するような人がたくさん居並ぶ中に「松本十郎」の名が。知らない名だけど、ついたあだ名が「アッシ判官」だって? 当時、イヌ並に扱われ迫害されていたアイヌに親しく交わって敬愛された希有な役人。ついにはあの大物・黒田清隆とけんか別れをしたという豪毅なお人。これはびっくり。知らなかった……。

 思わず「松本十郎はすごい!」と唸れば、隣にいた母が、鶴岡には松本十郎顕彰会があって、自分もその会員になっている、と宣うではありませんか。二度びっくり。

 すると父も負けじと(?)自慢します。自分は教職を終えてから数年間、市の郷土資料館の資料作りに尽力した。そのときに松本十郎を取り上げて、展示パネルの草稿も書いたのだ、と。三度びっくり。

 そしてまた今日、河北新報の夕刊をめくっていると、「米で初のアイヌコンサート」「トンコリ奏者 OKI」の記事が。「トンコリ」とは、アイヌ民族の伝統弦楽器らしい。さっそくインターネットでOKIさんのホームページを検索し、最新アルバム「ノーワンズ・ランド」を注文しましたよ。
 ふぅ。これはしばらく、アイヌに嵌まりそうだ。(2004.02.23)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?