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電気を食べたい

 電気を食べられたら便利だなぁと思う。

 最近の身の回りのものは、スマホやらPCやらなんでも電気で動く。一昔前はガスの燃焼で動いていたコンロだってIHのような電気で代用していたりする。今時電気で動かないのは人間含め動物くらいのものではないか。

と思ったら、電気エネルギーを直接利用して生きる微生物というのがいるらしい。いっといてなんだが、電気で生きるってどうやるんだと思ったのでググってみた。なお、ここからの話は完全に門外漢であるため、つど色んなページを検索しながら書いている。誤りがあったら温かく指摘してほしい。

さて、温かいというのはつまり熱エネルギーが生成されているということで人間がご飯をたべて生きるというのは、つまり食べ物から熱エネルギーを取り出しているということだ。

 より詳しく言うならば、例えば定食を食べるとき、それは定食という有機物を体内に取り込むことを意味する。定食は複雑な分子構造で成り立っており、そのままでは使えない。定食屋でドルとユーロとビットコインで支払いができないのと同じだ。そこで、この複雑怪奇な有機物を共通の通貨に統一する必要がある。それがいわゆるATPだ。ATP(アデノシンみた三リン酸)を加水分解(要はH₂Oを加えること)するとADP(アデノシン二リン酸)となってリンが一つ外れる。そしてついでにエネルギーが放出される。このエネルギーが、筋肉の動きやら発熱に使われるということだ。生命活動を目的とした反応とすると、発熱というのは目的ではなくロスのような気がするがそこらへんはまぁいいだろう。

 さて、ちょっと戻ってじゃあどうやって有機物をATPにするかといえば、簡単である。あなたが今やっていることをすればよい、呼吸だ(あなたがもしも嫌気性生物であったらこれは誤りだ、申し訳ない)。厳密にいえばもっと様々な変遷を経ることは承知であるが、それでもざっくりいうと、呼吸によりとりこんだO₂を使って、有機物を酸化させ、ATPを作っているということだ。図にするとこんな感じ。

図にする必要はあんまりない図

つまりは有機物を酸化させて動くのが、人類あるいは地球上の主流生物の流行なのである。有機物を酸化させて生命活動を行う生物は従属栄養生物と呼ばれる。

 そしてこれは人類その他従属栄養生物から見た流行りなので、化学合成生物や植物には当てはまらない。化学合成生物や植物というのは、独立栄養生物と呼ばれる。読んで字のごとく、外部から有機物をとりこみO₂で酸化する必要がある我々と違って、彼らはCO₂とエネルギーそのものから有機物を生成することができ、それは光合成や化学合成と呼ばれる。というか従属栄養生物は彼らの生成した有機物を直接的および間接的に摂取することで生命活動を維持しているので、主流はこっちかもしれない。図にするとこんな感じ。

図にする必要はあんまりない図2

 前置きがやや長くなったが、最初に述べた「電気で生きる微生物」といういのは、この独立栄養生物のカテゴリに入る。つまり、CO₂と電気エネルギーから有機物を生成するのだ。

中村らの研究成果(プレリリース)がヒットしたので、一部を載せる。

 鉄イオンをエネルギーとして利用する鉄酸化細菌の一種であるA.ferrooxidansに着目し、鉄イオンは含まれず、電気のみがエネルギー源となる環境で細胞の培養を行いました。
 その結果、細胞の増殖を確認し、細胞が体外の電極から電子を引き抜くことでNADHを作り出し、ルビスコタンパク質を介して二酸化炭素から有機物を合成する能力を持つことを突き止めました。
 さらにA.ferrooxidansは、わずか0.3V程度の小さな電位差を1V以上にまで高める能力を持ち、非常に微弱な電気エネルギーの利用を可能にしていることが分かりました。

理化学研究所プレリリース、
「電気で生きる微生物を初めて特定」、理化学研究所、2015.9 より引用

う~ん難しい。一行目から読もう。

鉄イオンをエネルギーとして利用する鉄酸化細菌の一種であるA.ferrooxidansに着目し、鉄イオンは含まれず、電気のみがエネルギー源となる環境で細胞の培養を行いました。

 鉄酸化細菌とはそのまんま鉄を酸化させる(Fe2+→Fe3+)ことで増殖する細菌のことらしい。分類としては化学合成生物にあたるわけだ。あれ?化学合成生物って植物みたいにCO₂と合成エネルギーからO₂作るんじゃないの、酸化してんじゃん。と思って調べてみたら、化学合成生物ってのはO₂還元性とCO₂還元性のもの両方いるっぽい。

その結果、細胞の増殖を確認し、細胞が体外の電極から電子を引き抜くことでNADHを作り出し、ルビスコタンパク質を介して二酸化炭素から有機物を合成する能力を持つことを突き止めました。

 微生物にとって生命活動が行われているってのは細胞が増殖することでもある。この、NDAHってのは最初に人間のエネルギーをつくる通貨となるという話をしたATP的なもののようだ。

 つまり、電気を食べる微生物というのは生命活動に必要な反応の素材として電子を活用しているということのようだ。図にするとこんな感じ。

図にする必要はあんまりない図3

 そういうと、なんだか電気を食べるという最初の表現と比べて普通に有り得そうなことにみえてしまうが(まぁ実際あるのだが)それでも中々電気だけで生きていけるというのは興味深いものである。

 更に、この電気を食べる微生物というのが引き起こす面白い現象として「無酸素化における金属の腐食」という話があった。

 金属の腐食は通常酸化反応によっておきるものだが、この電気を食べる微生物というのは金属の電子そのものを奪ってしまう。ゆえに、酸素がなくてもイオン化をおこした金属は、他の化合物と結合してしまうということらしい。不思議だ〜。

 ちなみにこの「電子を奪う」メカニズムや、そもそもこの電気を食べる微生物がどのような進化の過程で発生したのかというのはまだまだわかっていないらしい。そのメカニズムを解明すればそのうち人間も電気を食べられるように…なるか以前に需要があるのか微妙ではあるが、こういう不思議があることをしれて大変嬉しい。思ったことはググってみるものだ。

 長くなったので、今回はこのへんでおしまいにしようと思う。

 今回、文章長いしわかりにくいかなと思い所々図を挿入した。特にわかりやすくならなかった気もするが、まとめてみるとかわいい感じになったのでよしとする。

みんな違ってみんないい

 おしまい


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