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ミニ四駆をでかくして公道を走る

俺はいつもどうり休日をゴロゴロ過ごそうとしていたが友達から呼び出されたしまった。
そして友達の家に行くと、

異常なほどにスカスカなボディ、車体前後に取り付けられた大きなローラー、金属の棒に取り付けられた大きな金属の塊。
これは、明らかにでかいミニ四駆。デカ四駆がそこにはあった。

「乗るか?」
友達はそう聞く。
「死んでも嫌だね」
そう答える、が
「うるせえ!乗れ!」
と明らかに人が乗るべきではないメカメカしい車内に乗せられた。その車内は、巨大なモーターや歯車、明らかに穴だらけな床、そしてあまりにも揺れるバネの上に取り付けられた椅子があった。
「おいおい、俺はミニ四駆に乗せるフィギュアじゃねえぞ。」
「ああそうか。だが座席は2人分だ。」
すこし大きい座席は二人分だったようで、友達が命知らずのバカであることは火を見るよりも明らかである。友達も乗り込んでくるが、
「エンジンかけてくる。」
そう言って友達は車の下に潜り込む。が、恐ろしいことを思い出す。
「確かミニ四駆って…」
そう言いかけた瞬間ギュイイイイイイイイン!という、普通の車では成りえない音と共にモーターが動き出す。モーターが動き、ギアがその力をタイヤに伝える。タイヤが回るともちろん前に進むわけだ。そこは普通の車と変わらない。が、アクセルというものもなく、あるのはスイッチのみ。全速力で加速していく。
「ああああああああああああああ」
振動がやばい。そして俺は大切なことに気が付いた。やはりサスペンションは必要だ。普段意識しないところに大切なものがあるのかもしれない。そんなことを思う暇はなく、用意されたジャンプ台に向かっていく。
「いいいいいいやああああああああああ!!!!!」
よっぽどのことがない限り体験しない車で宙に浮く体験。こんなことにはなりたくなかったと思いつつ、下から声が聞こえてくる。
「おお、潰れるくね?」

着地をした。やはり気合を入れて調整したのだろう。着地は完璧だ。
「やばかったな。」
誰もいないはずの隣から声が聞こえてくる。そこには友達がいた。怖い。本人曰く這ってきたらしい。お前はゴキブリか?。と言いたいのは我慢して今は運転に集中するとしよう。
「あっ」
ハンドルを掴もうとした手が空を切る。そうだ、集中売る運転はない。暴走機関車状態だ。確実に遅いが死を悟る。
「あ、あぁ、」
「まあまあ、落ち着いて。ルートは計算してるから。聞いてくれ。これからガードレールのある山道に入り、そのまま高速道路に入る。」
なるほど。確かにガードレールさえあれば走ることはできる。賢明な判断だと思ったが、こんなことをしている時点でそれは否定された。

山道に入った。地獄みたいな時間が始まる。いや、地獄があるなら正真正銘この状況だろう。
「わくわく★」
友達はこの状況でワクワクしているようだがそれは口で言わない。口で言うことが許されるのは某作ってワクワクする人とピンク髪の超能力者だけだ。
「ガムくう?」
車酔いとこの状況によって顔が青くなっている俺に対してこのザマである。一生分かり合えない。そしてカーブがもちろん来る。ガードレールにローラーを擦り付け曲がろうとするも、
「ギュリギュリギュリ‼‼‼‼」
と、車体下部のシャーシが擦れていく。完全に無意味だ。火花が散っている。しかし、崖になっているところはまだ存在意義がある。多少引っかかるものの、ボディへのダメージを最小限に抑えている。しかし、頑張りも空しく公道とは程遠いプラスチックの平面的なコースのために作られたミニ四駆の構造では限界があるようでローラーは外れてしまった。
「そんな馬鹿な!」
「さすがに無理あると思う」
そして、デカ四駆用のでかいやばいモーターは、とてつもない熱を帯び、乗り心地を確実に悪くしている。そしてタイヤはあまりの摩擦でボロボロだ。
「うっひょー!タイヤすり減っちゃって!F1みたい!」
「おいおいそんなスリル求めてねえよ!」
彼?彼女?らが話している間に高速道路に入りそうだ。高速で突っ込んでくる変な車を避けようと周りでは事故が起きまくっている。この騒ぎだとじきに警察も来るだろう。そして高速道路へと入る…

「おっレーンチェンジか?」
「そんなもんじゃねえよ!」
高速道路は比較的安全だ。なぜなら壁があり、車も比較的少ないからだ。しかし問題がある。左カーブの時には車体が右側によってしまう。つまり逆走だ。まあ多少は避けてもらえるのだが。
「あぶねーなお前」
「お前だよあぶねーのは」
そして避けられない問題がる。渋滞だ。
「ドンッ!!」
ダイナミックに停車した。いや、止まってなどいない。まだ動いているがタイヤは空回りだ。そして警察が来る。
「ちょっと君たち~ 何やってんの~?」
何やってんのどころではない気がする。
「ミニ四駆です」
と、友達は答えた。
「君は?」
「こいつに無理やり乗せられたんです。」
そうですか。君、ちょっと署まで。
「うわあああああん」
友達が連れていかれる。
そして前の車は徐々に押され、そしてバランスを崩し、ミニ四駆はまた進み始めた。
「いやああああああああああああああああ!!!」
bad end

暴走するデカ四駆


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