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【行政DX】PDCAからAARへ。行政資料の読み方と今後の自治体運営とは

夜でもヒルタです。私は、「しあわせな+1時間を 岡崎市」を目指して活動しています。自分の使いたいように、自由に使える時間があることが「しあわせ」につながると信じています、家族との時間・学び直し・まちづくり活動・趣味や休息等。そうした時間を住民が毎日「+1時間」得られるまちをつくる。政治により生活を効率的に、豊かに楽しくすることで毎日1時間の余裕を生み出すことを目指しています。

私、晝田 浩一郎(ひるた こういちろう)は、岡崎市役所にて公務員として働いていました。その時にたくさんの行政資料をつくりました。

「ポンチ絵」について、興味深いnoteがありました。すごく良いnoteなので、読んでいただきたいです!


ポンチ絵の謎

ポンチ絵の謎については、narumiさんのnoteをご参考ください。

元公務員の立場からするとすごくわかるんですけど、すべてが書かれていることが大事。ヌケモレがない状態。

「1枚であることが大事なんです。基本的なことがすべて説明されていて、あらゆる質問に対応できるため、説明をする側も聞く側も、手元が煩雑になりません」(省庁勤務のYS氏)

narumi「横向きA4サイズの現代アート。霞が関の「ポンチ絵」はどうして生まれたか? その知られざる使命とは」

360度に説明するために、結果として、みづらくなるというデザインの敗北。かといって、100pを超える文字ばかりの報告書も読まないし読みたくない。紙芝居みたいに「写真とキーワード」どーーんって500pの資料も、ちょっとつらい。

人に理解してもらう、ってすごく難しい。「なんとか伝えたい、伝わってほしい!!」そんな想いが行政資料にはあります……。

伝えたいと伝わるは違う。わかっちゃいるけど、伝わる資料をつくることは難しい。けど、諦めない。

総合計画は「玉虫色」?

よく総合計画は「玉虫色」だと揶揄されます。つまり、どのようにも解釈できるものだと。例えば、「げんきな高齢者を増やす」みたいな感じです。

「げんきってなに? 高齢者って何歳? 増やすって何人?」っていろんな疑問が湧きますよね。

自治体職員の中にも、なにか取り組みとしてやる時にも「これをすればげんきな高齢者を増やす」ことができます!」と計画に沿った取り組みだと言えるように、どのようにでも解釈できるように書かれている、という方もいます。

例えば、岡崎市の場合

働いていた岡崎市をみてみましょう。現在「第7次岡崎市総合計画」が策定され、この計画に沿って市政運営がなされています。

PDFが以下。岡崎市の場合だと50ページをきってまとめられています。しかも、なかなかわかりやすいというか見やすい。

第7次岡崎市総合計画


総合計画の下にも、個別具体の計画「個別計画」や「アクションプラン」があります。

例えば、岡崎市の福祉関連の場合……

・地域福祉計画・ 障がい者基本計画・ 障がい福祉計画・ 障がい児福祉計画・ 地域包括ケア計画・ 岡崎市国民健康保険保健事業実施・ 計画 特定健康診査等実施計画・ 計画21健康おかざき・ 病院事業改革プラン・ 食育推進計画・ 新型インフルエンザ等対策行動計画・ 動物行政推進計画・ 岡崎市自殺対策計画

さらに、『地域福祉計画』を例にあげると「施策編」と「実践編」とに別れています。施策編と実践編を合わせると約200ページにもなる。

総合計画は「将来ビジョン」であり、細かなことは「個別計画」にある。

大きな計画と小さな計画

まちづくりには時間がかかります。都市計画等は「ここを再開発する!」といってから数十年経過してようやく取り組まれることも珍しくありません。地権者との調整や他の整備計画との整合性や優先順位があるためです。

総合計画や都市マスタープラン等もそうした中長期なまちづくりを目指して描かれています。

VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代に、10年先、20年先を見通す計画ってできるの?

といった疑問の声もあります。民間企業と違って意思決定が遅い、スピードが遅いと言われることも多々あります。

数年に一回、計画を見直しながら取り組みを修正していきます。一方で大きな軸となることは変更することはあまりありません。

全部読むのはムリ。概要版を活用!

総合計画にしても、行政資料にしても、基本的には全部読んで理解するのは難しいです。っていうか、ムリ。

何百ページもありつつ、脈々と受け継がれてきた行政運営の流れもある。さらに個別計画を読み込んで……ってなるのは結構ツラい。

担当課の職員でさえ、個別計画も読んでない方がいるんじゃないかとおもうくらい。別の課の個別計画は、現役の公務員時代、知りませんでした。(担当する業務範疇なら読んでますが……)

だいたい「概要版」があります。ざっと把握したい時に活用するもの。

岡崎市をまた例に出すと、「概要版 第7次岡崎市総合計画」では、2pでまとまります。

1枚目
2枚目

概要版だとざっと把握はできますよね。

突き詰めたものが「ポンチ絵」です! 全部読めない、けど、何をするかはわかってもらう必要がある。

「結局ポンチ絵って必要やん」ってなる理由が、全体をわかってもらう必要があるからなんです。国家公務員にしても、地方公務員にしても想いは一緒。

これまでの自治体はPDCAではなく、PPPPPPPPPdPPPPPCCCCCPPPPA

自治体はPDCAサイクルをまわすのが大好きです。よく言われます。しかし、実行よりも「P」、つまり「計画づくり」に注力します。

PDCAっていうか、Pどれだけあるの?ってくらいPをつくります。気づいたら年度が終わりに近づいている……ということもあります。

自治体の予算は「予算の会計年度独立の原則」により、一会計年度の予算はその年度内に執行し完結することを原則とします。

「年度内にお金を使い切ってくださいね。今年度できなかったらって次年度に繰越で実施はできません」ってことです。

これからはAARサイクル……見通し、行動、振り返り

PDCAで計画だけつくって結果なにも実践されないことほど不幸なことはありません。

計画が無意味だとは言っていません。計画大事。「戦略の失敗は戦術で補うことはできない」から。

しかし、これからの時代、部署や担当課によってはPDCAではなくAARサイクルが重要視される必要があります。

AARサイクルとはAnticipation-Action-Reflection(見通し、行動、振り返り)のサイクルで、ある程度の見通しが立ったらすぐにやってみる。走りながら修正し、少しずつ完成に近づけていくという手法です。

「予測不可能な時代【VUCA】を簡単に解説、そしてPDCAからAARへ!」

計画をほどほどにしてすぐにやる、すぐに修正する

計画のための計画のための計画のための……ではなく。ある程度のところまで計画をつくり、すぐに実践し、すばやく課題と問題を発見し、ブラッシュアップしていく。

いわゆるIT関連での「アジャイル開発」に近い考えです。

何度も言いますが、計画が無駄といっているつもりは全くありません!
部署や担当課によっては綿密な計画策定が求められます。

しかし、部署や仕事内容によってはAARの方が合致しています。

例えば、スタートアップ企業を支援しようとしたときに、5年書けて計画を策定したとしても5年前と現在とではスタートアップ企業のあり方は全く変わっています。

ある程度の計画をつくって、まずはやってみる。想像ではなく、施策を創造する。シンの課題。「問い」を見つけるためには、行動でしか見つけられないからです。

例えば、福祉関連でも同じです。生活保護の方や生活困窮者等に対してどのような取り組みが必要かを計画づくりだけでは「わかっていない」となってしまいます。

本当に必要な支援、本当に必要な仕組みをいきなり100点満点のものを実践することは不可能な現代。少しずつ正解に近づけていく。

まず、やってみる。そこからブラッシュアップする。それは「失敗」ではありません。

Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.

一度も失敗をしたことがない人は、何も新しいことに挑戦したことがない人である

Albert Einstein
アルバート・アインシュタイン

公務員は「失敗」に対する不安感がとてつもなく大きい。しかし、失敗を恐れて「平等」と「公平」を一緒にしてしまうと以下のようになってしまいます。

EQUALITY:平等
EQUITY:公平

失敗しない唯一の方法は、「何もしないこと」です。

住民の生活を向上させるために存在する自治体だからこそ今後、もっとトライを増やし、すばやくアップデートさせ、市民サービスを向上させる。

自治体だけではなく、民間企業や地域団体等との連携・共創があることによって、AARのスピード感や精度はあがっていきます。凝り固まった考えだけではなく、様々な考えや視点を加えながらアップデートしていく。

自治体運営がAARを活用しアクションが増えることで、どんどんと色んなことを試し、市民が「しあわせな+1時間を」過ごすことができるように。時間をつくるだけではなく、時間を活かす。

さぁ、共創だ!

サポートありがとうございます! プレッシャーいただけたと感じてがんばっていきます!!