旅は人情、おれの惨状 │ 京都旅行 天橋立編
「お待たせしました!ゲソ天です!」隣のテーブルに皿が運ばれた。
お婆ちゃんは黄金色に輝くそれを見て喜ぶどころか困惑している。どうやらお腹がいっぱいで下げてもらいたいらしい。それは困ると店員さん。
「あ、ぼくちょうど注文しようと思ってたんで、もらいますよ!!」
爽やかに男は言った。
店内は拍手喝采。詰め掛けたオーディエンスが居酒屋を揺らす。黄色い声で包まれた優しい世界。ゲソ天もうまかった。
一時間後、男はほろ酔いで店をあとにした。帰ってレシートを見るとそこにゲソ天の姿は無