ふかがわばすたーず ある冬の1日

 私が放課後にアジトに立ち寄ると、先輩がノートパソコンとにらめっこをしていた。
「うわぁ、また海外ハイレバFXしてるんじゃないでしょうね。やめてくださいよ、もう」少し前に先輩が海外ハイレバFXでやらかして、しばらくアジトで出されるご飯が東陽ライスだったことがあったのだ。
「違うわ哲子、安心なさい」先輩が視線をこっちに向けてそう言う。
「本当ですか〜」なおも疑う私に先輩はノーパソを私の方に向けて。
「仮想通貨だから〜」
「火葬通貨?お金を燃やしちゃうの?」
「足元が暗い時にって違う〜〜。いつの時代なの?LEDの自動点灯のやつ使いなさいよ」
「じゃぁ、仮装通貨」
「あ〜今年のコミケにはビットコインに仮装をした人が〜居てたまるか〜〜」今日の先輩はノリがいい様で。あれ?でも一人ぐらいビットコインのコスプレしている人が居て周りから敬遠されて後悔する図が一瞬目に浮かだけど。
「貸そう!通貨」そう言って私がお財布から取り出した100円を先輩に差し出すと。
それを受取り素早く受取ポケットにしまいこんだ。
「ああ〜」私が本気で慌てると。
「100倍に増やして返してあげる」完璧に返ってこないやつでしょ、これ〜。

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