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22.9.10(土) 野外シネマと海と月

この日は横須賀美術館で野外シネマのイベントがあり、申込みが当たっていたのでわくわくしながら電車で浦賀の方へ向かう。天気は晴れ、今日は中秋の名月かつ満月だという全てが揃いに揃った日。

横須賀美術館はミロコマチコ展をみにいってからすきになった美術館である。館内には大きな丸で切り取られた窓がたくさんあって、そこからは青い空と海、その境界線をゆっくりと流れる白い船がみえる。館内に入ってくる陽の光が眩しい。屋上からは海を見下ろせるし、美術館の前には海、後ろには山、というあまりにも素敵なロケーションである。それから、館内メインゲートに入る入り口が橋状になっているので、展示があるときは一気に外の世界から作品の世界へ引き込まれる感覚にぞわぞわする。

この日は美術館前のゆるやかな坂に芝生が広がる海の広場で映画をみる。スクリーンの後ろには海が広がり、小さな船がチラチラと光る灯りをつけてゆっくり流れていく。空には飛行機が浮かんでいる。

映画は「シチリアを征服したクマ王国の物語」
全然上手くとれなかった月


映画上映を待つ間、主催のアナウンスで右手に大きな月が浮かんでいると聞き、みんなぞろぞろと立ち上がって月を見に行く。座っている位置からだとまだみえない。子どもが先陣をきる。大人もみんなわらわらと向かう。こういう姿をみれると人間ていいなと思う。

しかし、わたしはこういう時つまらない羞恥心が働くので迷いながら動けずにいた。でもやっぱり月はみたいし、1人で立ち上がって海までみにいく。そもそもレジャーシートに1人で座っている奴なんてわたしくらいしかいないし、恥ずかしいのなんて今に始まったことではない。みると、まん丸のお月様である。黄色くて大きくて、まだ低い、手の届きそうな位置にある。いつもみている空には似合わず、手を伸ばせば、ぽろっと落ちてきそうな月。自分の手に落ちる月はどんな感触なんだろう。アイスの実みたいに軽いのだろうか、お団子くらいの重さかもしれない。海の風を肌に感じながら、この月をみている人はどれだけいるのだろうと考える。みんな同じ月をみている。海面を綺麗に照らす月はたくさんの人間の注目の的である。太陽をじっとみることはできないけど、月をひたすらに見つめるこの時間は不思議と心が落ち着いていくのを感じた。

この夏祭りに出てくる光るブレスレットを受付の人にもらった。懐かしい。正式名称ってあるのかな、なんだろう。子どもたちが輪をつなげたり、足に通して遊んでいて、小さい頃のお祭りを思い出した。

まだ暗くなる前、空がオーロラみたいだった。子どもが「なんで空が水色なの~?」と言っている。やっぱり子どもは無敵で楽しい。ちょっと忘れかけていた気持ちをこの日、聴こえてくる子どもの声や芝生で自由に遊ぶ子どもたちをみて思い出した。

海と映画と月。あまりにも贅沢な時間だった。映画は個人的にあまり面白くなかったけど、それもよかった。そんなことも含めていい一日だった。

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