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迦毛大御神のイデアに触れて#2

友の訃報に取り急ぎ、中央より美濃に駆けつけたタカヒコネさん。

天稚彦による背信行為は8年余に亘り、
仕舞いには、中央政府を乗っ取る計画すら顕に。
七代タカミムスビ・タカキネさんの英断により、稚彦さんの命とともに計画も半ばで霧消。

中央の重要ポストにいたであろうタカヒコネさん。
背信者とは心得つつも、自らの立場より友情を優先し、単身美濃の地に颯然と現れます。
お二人は、和歌をきっかけに友情が芽生え、意気投合したといいます。

喪屋の幕を潜るタカヒコネさん。
ひとり、ふたりとタカヒコネさんの方へ目が配られます。

一方向に流れていた悲哀の気が淀みを見せ始め、
異口同音の漏れる啜り泣きがちらほらと戸惑いに変わりゆきます。

案内はどこかと、無聊をかこつタカヒコネさん。
その姿に衆目が集まります。互いが互いを手招きしあい、その衆目はタカヒコネさんを捉えて放さなくなりました。

三々五々、参列者が近寄ってきます。タカヒコネさんを見つめる多くの目は潤み、何かの確信にフォーカスしたようです。
やがて蜜に蝟集する蜂のように、タカヒコネさんの周りを人の輪が埋め尽くします。

”タカテルの兄 タカヒコネ 天に上りて 喪をとえば この尊
姿 ワカヒコに 瓜分け得ず”

こうホツマツタヱにあります。今日でも「瓜二つ」はよく使いますね。
いやあ、似てたんですね、ワカヒコさんとタカヒコネさん。
瓜の切り口と切り口を合わせるかの如く似ていたんですね。
いろんな意味を含む気もしますが。

「稚彦じゃろ?」「ワカヒコじゃ、ワカヒコじゃ」「ワカヒコがいきとるわい!」
代わる代わる抱きつかれるタカヒコネさん。
「ワカヒコじゃ! ワカヒコじゃ!」

「ちょっと、待たれい!」徐々に憤りのしわが眉間に浮かび上がります。
蝟集する人々をいなし、かわし、振り払うタカヒコネさん。それでも人の輪は連なります。

カチッ。
伝家の宝刀、アオハカリ(神戸の剣)に手を掛けます。
「いい加減になされい!」剣を握る手に力が籠もります。今か今かと鞘に収まったままのアオハカリ。

振り払われた人々、キョトン然、虚を突かれます。
愛するワカヒコよ、なんで振り払われにゃならんのよ!

アマクニタマさん一族、これはマナー違反ですわな。一人ぐらい諭す方がおってもよろしかろに。いい加減しつこかったんでしょうね。
後世に伝える何かのメタファーではとも考えます。
声を荒げるタカヒコネさんに、まだ抱きつく方も2、3おられたような。

”シムの者(親族、近親者) 「君は生ける」と 寄ちかかり 
「八年たまゆら」と 惑ふとき 怒るアチスキ タカヒコネ”

「我が身はさておき、友を弔いたい一心で遠方に訪ねたが、その心、理解されず、我を亡き身に誤つとは。腹立たしくも穢らわしい」タカヒコネさん、清めのために剣を抜きます。その様たるやしなやかなれど威風堂々。
思議がつかずに立ちつくす人の群れを剣の威光で左右に分けます。
出来た合間をゆき、喪屋を去ろうとします。

伝家の宝刀アオハカリを鞘に収め終えたとき、
「お待ちください」タカヒコネさんを呼び止めるフェミニンな声。

つづく

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