何度告白しても「友だちとして好き」ととらえられてしまった件
「私も白井くんのこと好きだよ。音楽の話ここまでディープにできるのってクラスでもいないしさ。べつに音楽まったく知らない人がダメとかそういう話じゃないんだけどさ。なんていうのいろんなものに対するアンテナって同じかどうかって大事だよね」
「うん、わかる。やっぱり俺もそういう音楽の話もそうだし、中村さんと話してると落ち着くっていうか・・・いっしょに話してて一番しっくりくるというか」
「ね?お母さんにも白井くんのことよく話してるよ」
「え~、そうなんだ、どういうかんじで?」
「えっ、それはひみつ」
「なになに、それ、気になるなあ」
「いや、クラスに音楽の話いつもしてる人いて情報交換してるとかそういうこと」
「あっ・・・そうなんだ」
「音楽好きなひと、悪い人いないよね、ほんと」
「中村さんさ・・・」
「・・・・?」
「その・・・おれ・・・好きってそういう好きじゃないんだわ、中村さんのこと」
「あ、ごめん・・・共通の音楽が好きってこと?そうだよね、たしかに。ごめん、調子のって」
「ちがうちがう。逆だって。おれ、中村さんのこと、好きなんだよ」
「ああ、よかった、そうだよね。これだけ音楽ばなしで盛り上がってたのに」
「いや、だから・・・音楽抜きにして中村さんを恋愛対象として」
「音楽抜き?」
「とぼけないでよ・・・中村さんのこと愛してるってこと。もちろん音楽の話する中でいろいろ中村さんのこと知ったからだけどさ。だからおれとつき合ってくださいってこと」
「ちょっと待って、白井くんって私と音楽以外の話したことないし、わたしの話より自分の音楽の知識をひけらかすことに重きをおいてない?」
「・・・・いや、それは」
「わたし、白井くんの持つ音楽の審美眼には惹かれるけど、人間性には惹かれないかな。ごめんね、はっきり言って。白井くんは音楽もわたしも好きじゃなくって、その自分の感受性に惚れてるんじゃない?」
「・・・・・」