喫茶店でネズミ講の話を聞く男

「なるほどです、そうですよね~、私もそれすごいわかります。不安ですもんね?先ほどの話と重複するカタチになるかもしれないんですが、和田さんって、ぶっちゃけウチでどれだけの収益を得たいって具体的な数値ってありますか?」
「・・・・そうですね・・・ボクも実際にやってみないことには見えない部分もあるんですけど、実際に自分の周りにこういったネズミ講のようなことに警戒心のない人間っていうのはなかなかいなくて、やっぱりそうなってくると切羽詰まってお金が簡単に手に入るっていう売り文句にどれだけ乗ってくるかってことになるので・・・なかなか」
「いや、ちょっと待ってください、和田さん。おもしろいな、びっくりしちゃった。ウチ、ネズミ講じゃないんですよ」
「え、そうなんですか?」
「ちがいますちがいます、いいですか?さっき何度もいいましたけど、あくまで我々のやっていることってお客様への提案であって、それはこちらから強制するものでもなければ、ノルマのようなもので囲い込んでいくものでもないんですね。非営利であって、皆さんにお得で効率のよいライフプランを共有したいという代表の理念のもとに行っている慈善事業なるんです、ボランティアみたいな感じです」
「そうなんですか?でもそれじゃあどうやってこの組織は成り立つんです?きれいごとではやっていけないでしょ?」
「先ほど説明しましたよ。代表はもうすでに一生分、いや3世代分くらいの資産を形成しているんですね。代表は自分の哲学を共有することで新たなステージに立つことのできる人材を増やしたい、そして世界に貢献したいという思いでいるわけですよ」
「我々は養分ですよね?」
「我々って・・・私は養分ではありません」
「ほら引っかかった。ボクは養分という認識ですよね?」
「・・・・・」