GenAI Hackathon in Slalom
近年、Generative AI (GenAI) の応用が広がり、自然言語処理やコンテンツ生成分野でAIの活用が急速に進んでいます。SlalomでもGenAIを活用した取り組みについて日々議論が交わされ、デジタルトランスフォーメーション (DX) の推進にAIを活用できるかどうかが注目されています。そこで、Slalom Japan社内の有志を募りGenAIを実際に活用したアプリを開発するためのGenAI Hackathonを開催することに決定しました。
メンバーはソフトウェアエンジニアリング、データエンジニアリングなどの技術寄りの背景を持つ10数人が集まり、2チームで以下の2つのアプリを作ることにしました。
議事録作成アプリ
1つ目はZoomやTeamsなどのミーティングの音声をテキスト化したデータから議事録を自動生成するアプリです。
(※ZoomやTeamsのミーティングを録画していればテキストデータは簡単に手に入れることができます)
これはミーティングに参加できなかった人が後でミーティング内容を振り返れるようにしたり、英語ミーティングなどがあった時に英語が得意でない人にもわかりやすいように日本語で会議内容をまとめたりするためのアプリです。1つの議事録を作成するのにそこまで時間はかからないと思いますが、ミーティングがいくつもあれば議事録作成に費やす合計時間は無視できないものになります。それがAIによって一瞬で作成することができれば業務効率を改善することができます。
AI HRアシスタントアプリ
2つ目はプロジェクトにスタッフを配置する際に最適なスタッフ配置を提案するアプリです。
新しくプロジェクトを立ち上げる際にどのスタッフを配置するか考えると思いますが、プロジェクトはどういうスキルを持ったスタッフを必要としているか、今アサイン可能なスタッフはどういったスキルを持っているのかなどを考慮しながら人選をするのは簡単な作業ではありません。そこでAIにプロジェクトの内容や必要なスタッフの情報を伝えるだけで最適なスタッフを提案することができれば、スタッフアサインにかける時間を削減することができます。
Gen AI Hackathonの流れ
GenAIの調査
ブレインストーミング
作成アプリの決定とチーム分け
アジャイル開発でプロトタイプ作成
プレゼン
まず最初に我々が行ったことはGenAIの調査です。GenAIでどういうことができるのかを理解していないとアプリにどうやってGenAIを組み込むのかがわからないので各自GenAIについて調べてもらいました。
そしてブレインストーミングを行い、どんなアプリを作りたいのか各自アイデアを出してもらいました。その後、各アイデアについてディスカッションを行い、やりたいアイデアに投票をしてもらい、それをベースにチームを組成しました。
プロトタイプ作成にはアジャイル開発を適用し2週間のスプリントを2回行って約1ヶ月で完成させることを目標としました。(※各メンバーはそれぞれ別の仕事があるので丸々1ヶ月をかけているわけではありません。)
各スプリントの最終日にはスプリントデモを行い作成しているアプリの進捗状況を報告するプレゼンを行いました。
使用した技術
使用した技術としては以下のようなものになります。
OpenAI
Azure
Python
HTML/Javascript
Slalomでは、エンジニアが比較的自由に最新の技術を検証することができるクラウドのラボ環境があり、Azure OpenAI が使える Azure 環境で今回のデモを作ることにしました。
バックエンドにはAzure Functionsを採用し、プログラミング言語は多くのチームメンバーが使ったことのあるPythonを選択しました。 フロントエンドには素早くサイト立ち上げができるように、Azure Storageを利用して静的ウェブサイトを立ち上げました。
アーキテクチャはシンプルな構成になっており、フロントエンドからミーティング内容のテキストをAzure Functionsに渡し、そこからOpen AI APIを呼び出してミーティング内容をまとめたものを出力してもらっています。
チームメンバーの得意領域はそれぞれ異なり、Gen AIに詳しい人、アプリ実装に詳しい人などがおり、ペアプログラミングをしながら作業を進めていくという場面も見られました。
デモ
デモではアプリの概要や仕組みの説明、実際に作ったGenAI アプリのライブデモ、作るのに苦労したところやこれからの改善点などの発表を行いました。
議事録作成アプリのチームは、実際にミーティングの会話内容のテキストorテキストファイルをアップロードし、出力言語を選び、自動的に議事録が出力される様子をプレゼンしました。
開発に苦労したところとしては以下のようなものが挙げられます。
今回使用したOpenAI GPT3.5では長文テキストを扱うことができない
AIによって出力される内容を完全にコントロールするのは難しい
プロンプト修正の前後で出力内容が改善されているのか判断するのが難しい
これらの問題に対して議事録作成アプリのチームは以下のように対応しました。
長文テキストを分割して複数回OpenAI APIを呼び出すことで対応
プロンプト修正を試行錯誤し、出力のブレを減らす
Multidimensional Quality Metricsという評価方法を用いて出力内容を評価
今回は時間が足りず対応できませんでしたが、TeamsやZoomと連携してミーティング終了を検知し自動的に議事録作成、会議の種類に応じて出力フォーマットを変更する、などの機能が改善点として挙げられました。
まとめ
GenAI Hackathonを通じて、GenAIを用いたアプリ開発に関する知見を貯めることができました。実際のアプリとしての改善の余地はまだありますが、デモアプリの開発においては非常に効率的であることがわかりました。
ビジネスにおいてGenAIの活用がますます進展すると予測されています。Slalom JapanでもすでにGenAI関連の案件が進行中であり、今回の経験と知識を有効に活用できると考えています。今後もGenAIに関連するプロジェクトに取り組むことが楽しみです。
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