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石川県の有名旅館「加賀屋」を本から学ぶ『加賀屋の流儀』

皆さん、こんにちは。
ホテルマンひろさんこと大岡啓之です。

こちらのnoteでは、私自身が20年間のホテルマン生活から培ってきた経験や身につけた知識からビジネスマンの明日につながるヒントになるよう投稿しています。

過去の記事はこちらです。

普段はビジネスや生活に直結する本を紹介しているのですが、今回は旅館に関わる一冊を紹介します。

皆さんは旅館の具体名を思い出せるところはございますでしょうか?
最近だと星野リゾートの「星のや」や「界」、その他には箱根や京都の老舗旅館が思い浮かぶでしょうか。

第45回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(2020年)が発表され、七尾市の和倉温泉「加賀屋」が総合1位に選ばれた。加賀屋の総合1位は3年連続。北陸からは9施設が100選に入った。

そして、石川県和倉温泉の「加賀屋」は有名だと思います。上は2020年1月15日の朝日新聞記事より抜粋をしていますが、数々の賞にノミネートされ、温かい接客で有名です。

旅館『加賀屋』とは?

本の内容に入る前に旅館『加賀屋』についてご紹介します。加賀屋は1906年(明治39年)石川県和倉温泉に開業した旅館。また、2010年(平成22年)に台湾に進出するなど、日本のおもてなしを輸出していると言っても過言ではないほどの旅館になっております。

そんな加賀屋で実際にどのようなおもてなしをされているのかを教えてくれるのが、こちらの一冊です。

『加賀屋の流儀』からおもてなしを学ぶ

今回ご紹介するのが、2006年に出版された『加賀屋の流儀』。ルポライターの細井勝さん。旅館に届く宿泊者からの手紙を紹介するとともに、加賀屋で働く人々を丹念に取材からまとめられています。

宿泊業に勤めている方の「働き方」という観点で本書をご紹介します。

私たちは問題解決業だと思っています。

九州に住む初老のご夫婦が石川県を旅行した際に泊まったのが加賀屋。客室の造り、料理や温泉も素晴らしかったけれど、心にしみる接客で喜んでいたもののツアーでの宿泊だったのでゆっくりできず。この次は二人でゆっくり泊まろうと約束をしていたそうです。しかし、奥様はその3年後に他界。残されたご主人が当時の思い出と共に加賀屋を訪れ、客室係に接したときのこと。食事の際に遺影を出したところ、客室係の方がそっと陰膳を出してくれたのだそうです。

当時どのような気持ちでお客様に向き合ったのか、質問をぶつけたところ、客室係から返ってきたのが、

「私たちは問題解決業だと思っています。」

という一言。目の前にいる人の悩みを自分の持っているリソースで解決し、幸せに導くことはどんな業界で仕事をしていても変わらないテーマだと思います。そして自然な一言で仰ることができるその方にも光のような物を感じました。

接客十戒とは何か?

こちらは石川県の観光マイスターにも認定された客室係の方の言葉。講演にも引く手あまたの彼女が客室係の仕事を通して心に刻み付けたものが「接客十戒」として紹介されています。

その1 社員の働く気を起こさせる
その2 自分は経営者
その3 「マニュアル」プラスアルファ
その4 心のマッサージ師に徹する
その5 好きでなければいい仕事はできない
その6 「ありません」「できません」は言わない
その7 一生懸命には信頼がついてくる
その8   お客様の会社の一員として
その9   頭を下げるのにお金はいらない
その10 生きがいが人をつくる

小見出しを読んでみるだけでも仕事のヒントになるキーワードはあるのではないでしょうか?

この手の本を読むとおもてなしのエピソードばかりに目が行きがちですが、おもてなしの裏側にある職業観まで紐解いてみると自分たちのヒントになることが多いと思い紹介いたしました。



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